第九章、戻れない思い返し 2
避雷針から..ファーストラブ オリジナル
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バンドと言う物が皆な、自分の人間関係を、引き裂いて行く様な気がしていた。
そして自分の部屋に戻り、飲み残した缶を片付け様と、缶を持った時だった。
机に置いた、携帯が鳴った。
聡は仕方なく、片付け様としていた缶をテーブルに戻し、
机の携帯を取り番号を見ると、小百合からだった。
聡は着信ボタンを押して、「もしもし」。
小百合、「話..したいのだけど」。
聡、「電話じゃなくてか?」
小百合、「うん..」。
聡は電話の声の感じから、いい話ではない事だと察知が付て。
聡はため息を付き、「何処で会う..?」。
小百合、「聡君の家でいい?」。
聡、「あー、いいよ!どのくらい掛かる?」。
小百合、「今..家だから、二十分くらい掛かる..」。
聡、「じゃー待ってるよ」。
小百合、「よろしく..」。
そう言って、お互い電話を切った。
そして、三十分くらい経った時、 聡は何気なく机の椅子で、
ギターを弾いていると携帯が鳴った。 携帯を見ると小百合からだった。
着信ボタンを押し、電話に出た、「今付いた..」。
聡、「直ぐ玄関、開けるから!」。
聡はそう言って、携帯を机に置き、ギターを机の横に立掛け、部屋を出て玄関に立つ。
玄関を開けると、覚束ない顔をした小百合が、玄関先で立っていた。
聡、「入れよ..」。小百合は軽く頷き家に入ると、
何も言わず玄関で靴を脱ぎ、二人は聡の部屋に足を運んだ。
聡の部屋を訪れると小百合は、聡の部屋のテーブル際に座り俯いていた。
聡もテーブルを挟んで、向かい側に座った。
聡、「ここの所、小百合と話する機会無かったな」。
聡が問いかけると、軽く頷いた。
小百合、俯きながら、「皆な、バラバラになっちゃったね..」。
聡、「あー、俺もそう感じているさ!」。
聡は座りながら、両手を体の後ろに回して、その手を床につけた。
聡、「さっき、真が来ていたんだ..」。
小百合、「昨日電話有った。『明日、聡の家で、あいつと話する..』って!」。
聡、「で、小百合はどうなんだ?今の気持ちは..ど..」言葉が詰まった。
聡は小百合の、その表情を見て、「どうする?」と言う、問い掛は彼女にとって、
より惑わす要因を引き起こすと思い、言うのをとっさに止めた。
小百合はいきなり、しくしく泣き出し、
「どうすればいいの..どうしたらこれから、皆で楽しくやって行けるの?」。
聡、「……」。
その小百合の問い掛けは、聡にとっては、あまりに無常な言葉だった。
それは自分の罪意識からである。
小百合、「初めからバンドなんて..やらなければこんな事に、ならなかったんだよ。
図に乗って真が..『楽器ならヤフオクで安く出ていたぜ!』って、言うから浩二その気になって。
真、『俺の部屋、広くて持て余しているからさー、
楽器は俺の部屋に置けるぜ!』って、調子こいていて..」。
聡はその話に対して、小百合に慰める言葉を失って、 前かがみになり俯いていた。
聡は急に、「俺のせいだ!俺が居なければな..」。
小百合、「聡君、知らないよね?」。
小百合は泣くのを止めて徐に..。「聡君、浩二がスカウト、強く押したと思ってるでしょ..?」。
その時、聡は俯いている顔を上げた。
小百合、「学校、入学して直ぐもめたのバンドの事で。問題は真の事..」。
聡、「あー、この間、真から聞いたよ..」。
小百合、「真が、『ボーカル、俺だめだからさ!』って、辞めたがっていたの..。
ボーカルも、それとバンドも..」。
聡、「そう言っていたな..真」。
小百合、「私は真のボーカル、悪くないと思っていた。
でも真が、『どうしても辞めたい!』って言うから私、焦って『カッコいい人居るよ!』って、
軽はずみに言ったの。
ただ、今のいざこざが終われば、私はそれで良かった、それだけの理由で..。
浩二かなり切れていて、『じゃー連れて来よー#』って」。
聡、「俺も..あん時は小百合、『何もんだ?』と、思ったよ!」。
小百合、「それから、『聡君に断られた』と、言ったら浩二、
『訳の解らん奴、スカウトしてくるな#!』って、切れて。恵美がその時、浩二の横に居たの」。
恵美と言う名をを口にした時、聡の表情が一変した。
小百合、「恵美..私に言うの、『小百合ぃー、ねー、どんな人だった?何組の人?』。
私、『2組に居る人で..イケ面だよ!』って言ったら、浩二に、
『ねー..入れようよー!』って、急にせがみ出して浩二、恵美に頭が上がらなかったの、
同時に恐れていた、あの日から。恵美中学の時、浩二君の事で」。
それを言い掛けて聡が、「知っているよ!今日、具体的な話は真に聞いた」。
小百合、「イヤとは言えなかった。浩二..」。
聡、「それで解ったよ、恵美の事で俺と話し合うと浩二、俺に強い態度出来ない理由が..」。
小百合、「聡君優しかったね!あんなに他の女にモテたのに、
必ず恵美、隣に置いて居たし。浩二君の時よりずっと、はしゃいでいた。
真、私に言うの、『恵美は聡なら、なんとかなるかもな..』って」。
聡は、急に激怒した。
「遅せーんだよ#!何もかも!浩二…浩二が生きている時に言わなければ、
何んにもならねーんだよ#!
奴が..奴が、生きている前で、俺と恵美と真と浩二とお前と、
それを話し合えば、解決したんだろーが#!」。
そう言ってテーブルを強く両手で叩いた。
小百合は肩をすくめて、「キャー」と、奇声上げた。
そして沈黙が、この部屋を包んだ。
目覚まし時計だけが、“チッチッチ”と、時を刻む音が聞こえていた。
そしてその夜、聡は携帯を手にして、ベッドに座っていた。
メモリーアドレスを見つめて…。
数秒その状態でいたが、さりげなく“ピッ”っと、発信ボタンを押した。
“プルルル、プルルル、プ”落ち着いた声で、「もしもし」。
聡、「今から会えるか?」。
恵美、「へ..何処で」。
聡、「環八..」。
恵美、黙り込む、一、二分の時が流れたが、「解った、何時?」
聡、「九時に…」。
恵美、「解った」。
ぎこちない口調で、返事が返ってきた。
この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。




