第九章、戻れない思い返し
避雷針から..ファーストラブ オリジナル
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そして学校は春休み、聡の部屋にて..
聡の部屋に、真が居た。
真は聡のベッドに腰掛、両手を合わせて膝に置いて俯いていた。
ゆっくりと、階段の上がる音が“タンタンタン”その音が止まると、部屋のドア静かに開られた。
聡が缶ジュースを二本手に持ち、この部屋のテーブルに置き座った。
聡が、「飲めよ」、そう問いかけると、真は座っていたベッドから立ち上がり、
テーブルの方に座り直した。
もって来てくれた缶ジュースのふたを開けて、一口飲んだ。
聡も缶ジュースのふたを開けて飲んだ。
真は聡の顔を、チラッと伺った。
聡もジュースを飲みながら、真を見ていた。
真が、「で、どうする..」。
聡、「この前、大崎さんのスタンド寄って来たぜ!」。
そんな聡の表情を伺いながら、ジュースを飲んでいた。
聡、「どうするって言うより、どうなる?..だな!」。
真はため息を付く。
真はぶっきら棒に、「で..お前。今後続けて行くつもりは#?」。
聡、「小百合に電話してみたよ、昨日..」。
真、「で何て?」。
聡、「しょげていたよ、どうするって言ったら、
『続ける事で、同じ事が起きるのはもう嫌だ!』てっさ」。
真、「あれは偶然だろ、あいつには悪いけど..」。
聡、「違うよ!小百合の言いたい事は、浩二が死んだ事だけじゃねー、
頻繁に起きてた、バンドのトラブルの事もだ#!」。
真、「お前..恵美の事は?浩二は..バンドのお前の態度だけじゃーなかったんだろ#!
本とに言いたかった事は、恵美とお前と浩二との関係じゃないのか#?」。
聡は、ため息を付いて、「あー、その通りだ!どっち付かずの恵美の事を、お互いにな..」。
真、「この頃じゃー、斉藤もお仲間じゃねーか!」。
聡、「その話もこの間、大崎さんのスタンド寄った帰りに、
恵美と携帯で話し合ったよ。三年になったら、人が変わるぜきっと。少なくとも、俺の前じゃな..」。
真、「あいつに、何いったんだ?」
聡は、部屋の片隅に立てかけてあった、ホークギターを持って、
自分の机の椅子に座り、さりげなく“ポロロン”と、弦を指でなでた。
聡は黙ってさりげなく、ギターを弾いていた。
ギターを弾きながら、鼻歌で歌っていたが、弾くのをやめて、真を見ながら、「なー真」。
真は座りながら、窓の外を見つめて、「はー?」と、気の無い返事。
聡、「俺達今まで..自分の事しか、考えて来なかった様な気がしないか?」。
すると真は強い口調で、「ばかやろー#!俺はここまで、バンドの事だけ考えて来たんだ#!
お前らこそ、恵美の取り合いばっか、してやがって#!」。
聡、「そうだったな..すまん。俺が自分の事しか考えて無かったな..」。
そう呟くと、またギターを弾き始めた。
真が、ギターを弾いている聡を見て、「続ける気あるのか..?」。
聡はギターを弾く手を止めた。
そして、「恵美に言われたよ、聡君ソロでもバンドさえ居れば、
個人的人気が有るのだから、やれるとさ」。
真、「お前..」。呟いて、真は黙り込んだ。
聡は、ギターのベルトを肩から外して、机の横に立てかけ、手を組んで膝に置き、真を見ていた。
聡、「浩二中坊ん時、恵美裏切ったのか?」。
真は沈黙していた口を開いた。
真、「あー..病院運ばれてなー」。
聡はその時、目を細めた。
真、「年上の女の話だろ、ホテル代貸した金、あいつにまだ返して貰ってねーよ!八千円。
察しは付くだろー#!そう言やー」。
聡、「自殺..」。
真、「あー..母親が飲んでいた、睡眠薬大量に飲んで、手首少し切ってなー...
傷は浅かった!なぜなら、睡眠薬飲んで、意識もうろうとしている時の行動で、
力入ってなかったらしい。机に置いて有ったペン立てから、
カッターナイフ掴んで手首切って、ベッドに横たわっていたの、母親が見つけたんだ!
母親が家で恵美を呼んだとき、帰って来ているのに、
返事が無いんで、部屋に入ってみたら寝てたんだと!
寝ている事を確認して、部屋から出ようとした時、不意に恵美の手首見たら、
薄っすら定規で横線引いたみたいに、血が出てた。
普通じゃない事に気づいた母親は、揺すっても叩いても起きない娘見て、119したっつー訳だ」。
聡は顔を強張らせていた。
真、「あー..それで解った。恵美がお前に、なに言ったか」。 聡は俯いた。
真、「お前に、靡くと思ってたんだ。お前..あいつに優しかったろ!
恵美が落ち着けば、バンドの落ち着きも、
いや..浩二も落ち着くと思っていたのだがな..」。
聡、「恵美があーなった現院は、そこなんだろ?」。
真、「知らねーよ#!あいつの気持ちなんか..」。
聡、「何しろ浩二が死んで、小百合は途方にくれている。俺とお前が張り切ってもな…」。
真、「そうだな、確かにお前の言うとおりかも知れん、どうするかより、どうなるかだ!」。
そして二人は、思いに更けて行くのであった。
数時間経った後、具体的な解決策が見つからないまま、真が聡の部屋を出た。
聡と真は、聡の家の玄関で….。
真、「とにかく、人気は有るけど一人失い、それでメンバー不振じゃーどうしようもない!」。
真は靴を履きながら、聡に問いかけていた。
聡は、「反感買う事言うが、クラウ結成当時の逆の問題だな!」。
真は靴を履き終えて、玄関に佇み、「はー..」と、ため息を付いて、「確かにな..」。
聡、「大崎さんが、言っていたよ、どの有名バンドでもここを通ると。
大崎さんもそれでバンド解散したとな」。
真、「絶望的かー?」。
聡、「だけど、そこを乗り越える事で、何かを得られるとさ!」。
真は巻き舌で、「あーあ、少なくとも..今の事態が、あと一年遅らせる事が出来たら..」。
聡、「同じ事だろ、一年先でも後でも」。
真、「ばーか!卒業してりゃーメジャーデビューで、スポンサー付きゃー。
メンバー補ってくれるだろー#!」。
聡、「お..お前なー#!結局、私利私欲じゃねーか」。
真、「インディーズのオリコンチャート、ここ一年、十位以下に落ちた事ないんだぞ#!」。
聡、「ほーぉ!そう言うんか!言いたかないけど、バンドの何を変えてからだ#!」。
聡は真を睨んで、そう言った。
真は少し、改めた面持ちで、「しょーがねーだろ#!あれだけ騒がれりゃー、
ここで夢壊したくないだろー」。
聡、「俺は人気より、まず浩二の死を悔やむぜ!仲間だろがー#!。
それに大崎さんが語っていた事に対しても、反省してるしな」。
真、「何だよそれ..?」。
聡、「仲間さ!何よりも仲間同士がお互いに、理解し合わなければ、何処まで言っても繰り返し
た過ちを、犯すだけだと言う事だ#!だからさっき言ったろ..
俺達..自分の理屈だけで行動していた。それが結局、自分の事しか考えて無いに繋がる。
今のお前もそうだろ、バンド盛り上げる事しか、考えてないように聞こえるがなぁー#!」。
真、「大崎さんの話が、参考になったのは解った!
だがお前のファンの期待、裏切るか裏切らないかは、お前次第だからなぁー#!」。
真はそう言って、玄関のドアを開けた。
出て行こうとした時、聡が、「お..俺は、お前の何なんだ#!小百合や、浩二わぁー#!」叫んだ。
そう言うと真は玄関を開け、ドアノブを持ちながら、聡に振り向き、
「クラウのメンバーの奴ら…」。
聡が、「だったら、少なくとも、小百合の気持ちも、浩二の死も、もっと深く考えろよ#!
浩二と小百合は、お前の中学ん時の、まぶだちだろーが#!」。
真、「あー昔はな..」。
そう言って、出て行った。
その時、聡はまた一つ、大切な何かを失った様な気がしたのだった。
この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。




