第八章、始まり7
避雷針から..ファーストラブ オリジナル
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聡はやるせない面持ちのまま、自宅に向かっていたが、後悔だけが頭を過ぎる。
今解る皆の心の真実。それは皆、自分の事だけを考えて、行動していた代償が、
自分の関係している者達全員に、降りかかっていた。
そう..浩二の死で。
聡は又歩き出す、重苦しい面持ちのままさり気なく。
すでに七時を過ぎていた頃、肌寒い風が聡に吹きかけた。
より一層、聡を孤独にさせて行った。
聡は何かを思い出す様に、立ち止まった。
またポケットから携帯を取り出すと、携帯を開いてメールの着信暦を見た。
独り言で、「返事、返してなかった」。
そう言いながら、香菜の着信メールに返事を打っていた。
[ごめん、返事遅れた、色々あってさ、今日ブルーだ、もう家に居るよね?]
そう打って送信。
その時すでに聡は、自分の家の近所にたどり着いていた。
家の玄関先に佇んだ時、携帯が鳴った。
聡は家の玄関前で、携帯を見た。
[今日学校の展覧会に出展する絵を、間に合わせたいから、
遅くまで描いているの、だからまだ学校なの]。
それを見て聡が、返事を書く、[学校って何処なの?]
それを打って家に帰宅すると、母親の圭子が、「お帰り、遅かったね」。
聡は気の無い返事で、「ああ」。応えて自分の部屋へと、そそくさ階段を上がり、制服の上着を
脱いでそれを、無造作にベッドに置いて机の椅子に座った。
やるせない面持ちのまま、目を見開き椅子に座り、椅子を上下に揺らしながら何を思うでもなく、
顔を天上に向けていた。
静かなこの空間が、聡を安らげていた。
そしてその格好のまま、目を瞑るまたあの光景が蘇ってきた。
「気にいらねーんだったら、止めてやるよ#!」。
その光景を思い出し、静かに目を開けた。
今日スタンドで、大崎に言われた事を思い出す。
「聡..終わりじゃないぜ!始まりなんだ今は..。これがお前の、人生の一つの展開なんだ!」。
その時携帯が鳴る。聡は顔を戻し、携帯をズボンのポケットから出して携帯を開いた。
香菜からの返信が帰って来た。
[東京都目黒区 葵都立芸術高校だよ]。
聡は送られてきたメールを見て、急に私服に着替え始めた。
そして脱いだ制服のズボンの、後ろポケットに入っていた財布を、
着替えた私服の後ろのズボンのポケットに押し込んだ。
一目散に階段を下りて、玄関で靴を履き外に出ると、突っ走り駅に向かった。
この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。




