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第二章、奇跡2

避雷針から..ファーストラブ オリジナル

http://blogs.yahoo.co.jp/kome125/folder/1498311.html

聡は何気にふぅ~と、起き上がった。

 

その瞬間、周りが静まる。そして母親の桂子


「聡..、あんた十日も意識が無かったんだよ」。母親の佳子が聡の両肩を、両手で押さえ、


「もう..意識が戻らないんじゃないかって、諦めかけてたんだよ..」。


母親は涙ながら聡に言い告げる。

 

その時いきなり何処からか、(何だよ..ちっぇ..) そんな声が脳裏に走る。

 

それは明らかに同じクラスの、斎藤茂の声であった。

 

ふとこの病室の窓際に居る、斉藤を見つけた。

 

斉藤は、何気に病室の窓の外を、眺めていた。

 

その時、彼女の白畑恵美の声が脳裏に走る。


(聡君、もうだめ..)


目の前にいた恵美の方に顔を向けると、恵美は聡の脳裏に走った言葉を口にする。

 

「聡君もう、だめかと思った..」。

 

その瞬間!複数の声が脳裏を走る、だが周りは誰も口を動かしている様子は無かった。


(良ったぁ~これで親御さん、関係者達にも面目が立つ..は~..)。


担任の吉岡政治が口を動かさず、ただため息だけが目に入る。

 

そして聡が初めてここで、言葉を発っする、「浩次..死んだのか...」

 

辺りが又、静まり返る。

 

皆な、聡のその言葉に呆然とする。

 

母親の佳子が、「あ..あんたし…知っていたの..」。

 

聡は徐に「別に...そんな気がして..」。

 

また誰も口を動かしてはいないのに、ざわめきだけが脳裏を走るので有った。

 

そしてこの事態を、生徒の一人が看護婦に報告しに、ナースステーションに駆けつけた。


看護婦達は驚き、慌ててどの医師に連絡するか相談していた。


婦長が脳内科担当の石川隆を、内線電話で呼び出すと、看護婦と担当の医師が、


聡の病室に駆けつけて来た。


医師としては、当然の言葉を、聡は脳裏に感じ取る。


(気分は、どう....)遅れて医師の口が動く、石川「気分は、どうかな?」。

 

聡は医師の問いかけに、ただ俯いているだけである。


そして医師は、問いかけに無反応な聡はを見て、右手の人差し指を唇に付け、


左手を胸に添えて考えていた。


周りに居た皆なはその聡の表情を、心配そうに見つめている。


その時母親が、「あ..あのー、さっき私達と少し話をしたんですが..」。


医師は黙ったまま、しゃがんで聡の表情を伺った。

 

すると聡はそっと医師に顔を向けて、「二人だけで話がしたいんだ..先生と..」。


そう答えると、担当の石川医師は自分の顔を指し、周りを見渡した。

 

石川が、「すみません、ちょっといいですか..」、


周りの人達に告げると、両親、担任、同級生達が顔を見合わせ、


静かにこの病室から立ち去って行った。


そして、医師は聡に今の状態を尋ねる。


「どう..頭痛..吐き気は無いかな..」。

 

聡は、下を向きながら「何処も痛い所は有りません..」、ぼそっと呟いた。


医師は、「君は、覚えていないと思うが、屋上で落雷に有ったんだよ、


通常避雷針に落ちるはずのイナズマは、


建物の中の絶縁されている銅線を通って、地中に流れるはずが


偶然が重なり、イナズマは避雷針から流電し、建物に流れ落ちる雨に混ざり、


君達の体を通ってシューズをはいて無かった、君の右足から、抜けて行ったのだと思う」


「...浩次死んだんですか」。


「全力を尽くしたのだが、運ばれて来た時には心臓も停止、脳波の反応も弱くてね、


搬送されて来て三時間後に….」。


石川医師は、聡の顔を見て小さく頷いた。


「君は、運が良った..普通なら、この状態だと、このまま生きを吹き返さない所だが、


たまたま、右足のシューズを、履いて無った事が、


脳や心臓に与えたダメージを、最小限にしたと思う、つまり電気が


体に蓄積せずに..右足から抜けたんだよ」。

 

聡は自分が助かった事より、今のこの状態に対して、


どう医師に問い掛けて良いか分からない..。

 

そして..「僕、おかしいんです。今までと違う...」。

 

そう医師に告げると、医師は当然..


「何か思い出せないとか、あ~何も思い出せない?どちらかの目が霞む、あるいは見えない、


手足が痺れる、動かしずらい、無論脳検査もこれから実施して行くけど..」。 


医師が病状の問いかけの最中、突然聡が...「超能力も?」そう言かけて、


「....いや別に..」 聡は下を向いてしまった。

 

医師はその問いかけに、少し躊躇たが、聡の顔を見つめて穏やかな口調で、


「あり得ない事では無いよ、現に落雷に有ってから、


特殊な能力が身についたと言う事例は、世界にも多く聞かれる話だよ。


例えば透視能力。実例を挙げると、人の患っている個所を、患者に触れただけで、


探り当てる能力を身に付けた人や、


予知能力を得た人、或いは相手の考えが、見透かせる事が出来る能力とか、


落雷によって、脳にそうした変化が現れる事は、けして不思議では無い..」。

 

そう言い終えると..医師は窓際に歩いて行った。

 

窓の外を眺めながら医師が、そっと呟いた。

 

「十年前、君と同じように落雷に遭って、そう呟いた方が居た。


その方は、五十代のサラリーマンだったが。


日曜日ソフトボールの試合中、落雷に遭い心臓は、かろうじて動いていたが、


かなり意識レベルも低く、脳反応も弱く、諦めかけていたが、


三日後..、奇跡的に意識が回復したんだよ。


だが彼は特殊な能力を身に付けてしまった。


心理透視能力...。人の心が脳裏に走る、


科学的にはまだ、解明はされていないのだが。


長い人生経験の後、多少は身につく人も居るが..その能力を身につけた人は、


『はっきりと聞こえる..』、『目の前に居る人の考えている事が、脳裏に浮かぶ』などの、


神霊的現象が起きると、聞かされてはいるが..」。


聡はその時、突然、「その人、それからどうなったんですか..?」。

 

徐に問い掛けると、石川医師はその問いかけに、口を閉ざしたのであった。


聡は石川医師の面持ちに、戦慄を覚えたのであった。



 

この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。

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