第八章、始まり4
避雷針から..ファーストラブ オリジナル
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日も暮れかけていた、車の通りの激しい環八通りの舗道を、一人で歩いていた。
数キロ歩いただろうか、また何気に後ろを振り返って見ると、あの三人の姿は無かった。
それを確認してまた歩き出す、数分歩き、なにかを思い出すように立ち止まった。
聡は自分の制服のズボンのポケットから、携帯を取り出した。
折りたたみ式の、ストラップが複数付いた携帯を開いた。
さりげなく“ピピピ”っと、メモリーアドレスを探す。
そして川坂香菜と、登録してある所で指を止めて、それを見つめて歩道に佇んでいた。
そして画面を一度戻し、メールリストを出した。
{こうな}と、ひらがなで書かれている、受信暦の返信ボタンを押し、
下の枠に返信メールを打つ。“ピピピ”と、手慣れた手つきでメールを打つ、
[今、何している?] そう打って、送信ボタンを押した。
画面にメールを送信している、画像を見つめていた。
数秒置きその画面が、[メールを送信しました]の、
表示に変わると聡は、終了ボタンを押し、“パタン”と、
携帯を畳んで、携帯を持ったまま、また歩き出した。
何気なく通り沿いのガソリンスタンドにたどり着くと、
そこで佇み作業している、従業員を見つめていた。
その店舗の中に居た店員が、聡のその姿に気づく。
その男性は聡より二十歳上の、スタジオ支配人の大崎義人だった。
「よ~なんだよ、しけた面しやがって!」
笑いながら、その店舗から出て来た。
聡は照れくさそうに、「いや別に..」。
大崎は聡の前に立ち、「まー寄ってけ!」。 大崎に連れられて店内入った。
大崎は聡に、「まー座れよ!」。聡は、「じゃー遠慮なく」。
そう言って、店内のテーブルの椅子を引いて座った。
大崎は、「ばーか、水臭せー事いうな!」。
そう言うと自動販売機から、缶ジュースを二本同じものを買った。
それを一本、聡に手渡すと聡は、「すみません、ゴチになります」と、
軽く頭を下げて、大崎もテーブルを挟んで、聡の向かい側に座った。
大崎が、「まあ飲めよ!」。そう言われると聡は、缶ジュースを開けて一口飲んだ。
大崎も同時に同じ様に缶ジュースを開け、グイっと飲んだ。
「大変だったなぁー」。大崎が何気に語りかけると、
聡が少し俯き「ええ..」と、一言答えた。
大崎、「お前らがあんな事になってるの知らずに、耳にしたの五日も過ぎてからだ」。
聡、「仕方ないっすよ俺もあんな事、予想外だったし何より、
パンクバンドじゃー伝える奴も、まともじゃない奴らだし..」。
大崎、笑いながら、「へへへ…言えてる」。
聡もその時、苦笑いをした。
大崎、「小百合しょ気て、スタンドの前を通ったの見かけて、なんか遭ったな?と、思ってさ。
そん時..仕事してたんだけど、従業員に任せて呼び止めたら、
大変な事になったとかで、事情歩道で聞いたら、そのありさまって事だ。
病院行ったんだぜ!でも関係者以外、面会謝絶でさ。それから十日くらい経った時かな?
息吹き返したって、小百合スタジオに来て、元気無かったけどな」。
聡、下を向きながら、「浩二の家族も田舎帰ったみたいで、誤る事も出来なくて」。
大崎、「まー、お前だけが悪い訳じゃーねーよ!運が悪いと言えば、それまでだけどな..」。
聡はその大崎の言葉に、下を向きながら軽く頷いた。
この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。




