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第八章、始まり3

卸本町の蜃気楼、パターン2(過去からの訪問者)オリジナル

http://blogs.yahoo.co.jp/kome125/folder/1515515.html

聡は、「浩二..俺を屋上に呼び出したのは、その事にムカついていたからだと思う。


俺をバンドに入れた時、恵美が浩二の隣に居て、浩二とイチャ付いていた。


俺は浩二に頼み込まれて、浩二と恵美に、スタジオ連れて行かされて、


そん時は、何がなんだか解らないまま、その場に居たのさ。


そうしたら浩二が.. 『携帯の番号教えてくれ!』って、


そう言うもんだから、何気に番号とメールアドレス教えたのさ、


まだ機種変えたばっかで、メールアドレスが携帯番号でさ!


いきなり恵美が 『電話番号がメールアドレスだと、迷惑メール、コテコテになるよ!』。


とか言われて。買ったばっかの、携帯の扱いが解らなくて、


たまたまそん時、恵美の携帯が俺と同じ機種だったんだ。


携帯ぱしぱし押していたら恵美、『やって上げる!』って、


いきなりいじっていた、携帯取り上げられて! 勝手にメールアドレス変えくれたみたいで、


勝手にセットアップされて手渡された..。


それで学校からの帰りに、コンビニで立ち読みしていたら、携帯が鳴るんだ。


メールが着信して来ていて、メール開いたら、[エミだけど、これから合える?…返事はメー


ルでお願い!\(^з^)y] って入っていた。


[いいよ] って。 返事返して、指定された場所が今のここだった。


奥くの席を選んで、いきなり、『付き合ってよ!』って、言われて..。


俺、『はー?浩二と付き合っているでしょー』。


そう言ったら、『あいつは、ただの友達だよ!』って言うんだ。最初は信じなかったさ」。


斉藤はその時、飲んでいたグラスをテーブルに置いて、表情を曇らせ上体を前に起こした。


そして聡の顔を見ていた斉藤は、話を真剣に聞く態度を示していた。


聡、「恵美..可愛いだろ?そん時まだ俺十五で無垢でさ、


言葉達者な恵美は、盛んに、自分をアピールするんだ。


時には、『寂しがりやで..』。みたいな事を口にして…、今思えば、出会い系サイトの、


走り書きみたいな事を口にして来ると、俺も自然と乗せられて行ったんだ」。


斉藤、「浩二...『つい..この間まで、気が付かなかった!』って、訳じゃねーだろ!まさか..?」。


聡、「ああ、『火はあいつに有る!』。浩二も知っていた。


何度も恵美と浩二は、その事で喧嘩して。恵美はどっち付かずで、


何時も俺か浩二、どちらかに責められると、言葉巧みに言い訳をして、最終的には、


何時も泣きじゃくって、責められ言い訳した方に三、四ヶ月くらい付き合う。




俺と浩二は、お互いやりあわないで、それでいて敬遠の中」。

 

斉藤、「ふっ..まさに、白畑マジックだな!」。

 

聡、「結局二股になったんだ、俺と浩二。そのまま二年さ!」。


その話を聞いた斉藤は、後ろの椅子の背もたれに背中を吸えた。


斉藤は、「は~」と、ため息を一つ付いた。

 

聡、「結局あいつとのトラブルの種は、そこだったと思う。


あいつは、バンドでの俺の態度の事を口にして、屋上でやりあったがな...」。


斉藤は腕を組み軽く頷いた。

 

そして窓の外を見つめた。


聡はその表情からあの時の..病院で脳裏に走った斉藤の言葉が蘇った。


(聡が死ねば恵美は..)。


自分が意識を吹き返した時、窓際で今と同じ表情で、


(何だよちぇ….)と、舌打ちした斉藤を見ながら、脳裏に走った言葉が..。


聡はそんな斉藤を、見つめながら、「同じ事、繰り返したくないんだ」。


斉藤は何も言わず、窓の外を見つめているだけだった。


聡が、ポツリと呟いた。


「死んで欲しかったんだろ..」。


その時、斉藤の目じりが“ピクリ”と動いた。


斉藤はうつむき加減で、聡の方にゆっくりと顔を向けた。


その面持ちのまま、「お前、あれから変だぜ#!臆病になった気もしたが、


人の心の中、妙に見透かす様な感じになって!」。


聡は、「別にそう言う訳じゃないさ、ただ臆病になった事は確かだけどな..」。


斉藤、「まあ、お前の気持ちは解った。俺も、お前の話し聞いてあいつの事、凡そは承知した」。

 

斉藤はそう言って立ち上がり、透明の筒に入った伝票を取り、


レジに向かって、歩いて行きかけた時、何気に聡が、「俺、今..」。


そう言い掛けて、「いや何でもない..」。


斉藤はその時、立ち止まり掛けたが何も言わず、レジに歩いて行った。


聡はその時、何気に言葉が脳裏に走る…。


(聡君、降りたのかなぁー?)。


(白畑先輩にメール打とう….)。


聡は店内を見回した。


奥の席で同じ学校の女子生徒の、制服姿の三人組を見つけた。


その三人組は、こちらを見ている事に気づき、咄嗟に下を向いた。


聡はため息を付き、この場を立ち去って行った。


外に出るともう、遠くの方に歩いて行った、斉藤の姿が見えた。


それを何気に見届け、斉藤の歩いて行った逆の方角に歩き出した。


数メートル歩きふと、後ろを振り向くと、さっき店内に居た、


同じ学校の制服姿の女子生徒が、咄嗟に物陰に隠れた。


それを見た聡は、また静かに歩き出した。


この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。

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