第八章 始まり2
卸本町の蜃気楼、パターン2(過去からの訪問者)オリジナル
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そして授業が終わり二人は約束通り、世田谷の環状八号線沿いを、無言のまま歩いていた。
通り沿いの、ファミレスの緑の看板が見えてきた。
二人はそそくさ店に急いだ。
店内に入ると、一学年下の女子生徒が、三人付けて来ていた。
その女子生徒達は、ファミレスの店内にそっと入り、
見つからない様に、こそこそ店内の置くの方の席に着いた。
斉藤と聡の様子を伺う様に。
斉藤と聡は、黙ったままであった。
店内の置くの方の席に着いた、三人の女子生徒は、
なにやら携帯を掛けながら、チラチラ、二人の様子を伺っている。
店員が斉藤、聡の席に、水をトレーに乗せて持ってくると、即座に斉藤が、
「俺、アイスコーヒー」。
続いて聡が、「俺、コーラ」。
二人はお互い、適当な物を注文する。
店員は電子メモを、ポケットから慌てて取り出し注文を参照する。
「アイスコーヒーとコーラですね、以上で宜しいですか?」。
二人は軽く頷く。
そしてこの二人は、しばらく沈黙していた。
聡は、窓の外を見つめ、斉藤は腕を組み、ため息ばかり付いていた。
しばらくすると、店員が二人の注文のドリンクを持って来た。
店員、「以上で宜しいですか?」。
そう答えると、また二人は軽く頷いた。
店員が去った後、斉藤が切り出す。
「で、別れるんだろ?」。
その時、聡は窓の外を見つめていたが、顔を斉藤の方に静かに向けて。
「ああ」、と言いながら頷く。
斉藤はアイスコーヒーに、シロップだけを入れて、
その横に置かれたストローを、アイスコーヒーに刺し、かき混ぜながら。
「さっきの話の続きなんだけどあいつ、かなり思わせ振りなんだよな」。
聡も何気に、コーラを一口直接グラスから飲み。
「恵美クラウ結成前に、浩二と付き合ってたんだ」。
そう聡が斬りだすと、斉藤はストローに口を付けたまま、聡を見ていた。
聡も、斉藤の顔をチラッと伺った。
この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。




