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第七章ファーストラブ3

避雷針から..ファーストラブ オリジナル

http://blogs.yahoo.co.jp/kome125/folder/1498311.html

香菜は視線を逸らす。

 

聡は人差し指で、涙を拭って上げた。

 

「泣きたいのは、俺も同じさ..」。

 

そう囁くと、香菜は小さく頷いた。


さりげなく聡は、香菜の手を引いた。 この二人は歩き出す。

 

目的も言わぬまま、ただ。

 

二人は代々木公園を後に、公園の道路沿いの歩道に出ると、


地下鉄千代田線、代々木公園駅前に出た。

 

そこから渋谷方面に向かうと、香菜はチラっと、聡の顔を見た。


聡は黙ったまま、香菜の手を引いていた。

 

次第に派手な様相の十代が騒ぐ風景へと、街並みが変化して行く。


香菜は俯き加減になる。

 

聡はその香菜の様子を見つめると、繋いでいた手を少し強く握った。

 

香菜はその時、聡に顔を向けた。

 

聡は微笑んで、「心配するなよ..」。

 

香菜は強い安心感と同時に、愛と言う物が何かを実感した。

 

憧れが今、現実に変わった瞬間を覚えたので有った。


訳もなく集まる若者の街、渋谷。

 

決して儲ける訳でもなく、大金を落とすでも無い十代が戯れる街。

 

メディアはこの街を煽り立てる。

 

何が魅力か、ひたすら同じ様相の、店が建ち並ぶ建物。


十代はここに、身を委ねる不思議な街。

 

夜になれば麻薬、売春、ぽん引き、酔っ払い、けんか、警察、やくざ。


スクランブル交差点は、クラクションのオンパレード。


臭く汚いガード下。一歩入れば古びた飲み屋が建ち並ぶこの街は、


本音とたてまえがはっきりし 過ぎた、東京を表す原点だと言える。


金と欲望が見え隠れする狭間に、飾りつけた張りぼて。

 

まるで街中が、仮幻想の塊な街。


それが都会..。


二人は賑わう街中を抜け、渋谷駅にたどり着くと、聡は香菜に「疲れた?」。

 

そう尋ねると、香菜は聡の顔を見た。

 

心の中でだけで呟く..。


(大丈夫、何時もっと歩くから)

 

聡が微笑んだ。

 

そして聡がまた香菜の手を引いて、歩道橋の階段を上がると、渋谷の交番方面に向かう。

 

長い階段を下りて、少し上り坂になる。

 

そこは元東邦生命ビル。

 

この二人は、何かに導かれんとするか、自然とここに向かうのであった。

 

短い歩道橋を渡ると、そこは、この二人を癒す場所だった。


すでに沈みかけていた夕日が、今まさにビルの谷間に落ちて行く。

 

二人は、ここに佇み、その光景を見届けていた。


この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。


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