第二十話 入院
日差しが眩しい。
私は顔に当たる日差しを防ぎたくなり
起き上がろうとしたときだった。
全身の至る所から激痛が走った。
「ってて」
「リズちゃん?! よ、ヨハンさん! リズちゃんが!」
何やら周囲が騒がしい。
体は全身が痛くてろくに動かせないが
その視界にはヨハンとノエルの姿が写った。
「リズ様、ご無事で何よりです」
「リズちゃん、よかったよぉ!」
ノエルが私に飛びついてきた。
全身が痛む。
「痛いから少し離れてくれ……」
「ああ、ご、ごめんなさい!」
なんだこれは。
よく見れば私は包帯まみれのミイラのような姿だった。
そしてようやく思い出した。
私は決闘で……。
「そもそもここはどこなんだ? 屋敷ではないようだが」
そう言うとドアの奥から、セラといけ好かない黒髪の男が入ってきた。
「なんだ、お前らもいたのか?」
「お前らとは随分な挨拶ですわね。
何より貴方の治療に尽力してくれたのは
アルフォンス殿下のおかげでしてよ?」
……あの私を蔑んでるこの王子が?
正直意外だった。
ヨハンが語る。
「リズ様はあの決闘で負った負傷は一つ一つは大きくはありませんでしたが
あまりに怪我が多すぎました。特に腕と脚のダメージが酷く
一部は筋肉が焦げて焼け落ちてるような場所までありましたので……」
どれだけ酷い有様だったのかは
その説明を聞いただけで理解は出来た。
「正直私の手に余るほどの有り様だったのですが
アルフォンス殿下が選りすぐりの治癒魔法の専門家を
リズ様にあてがってくださったおかげです。
それがなければリズ様の回復はここまで早くなかったでしょう」
「ひょっとして今日は決闘した日じゃないのか?」
私の問にセラは呆れたように言った。
「今日で三日目よ。全く人がどれだけ心配したと思ってるのかしら」
そんなとき、私はふとセオの姿がない事に気がついた。
私はその事を尋ねた。
「セオはどうしてる? まぁ私よりは軽症だとおもうが」
すると場の空気は一気に重くなった。
そこで初めて王子が口を開いた。
「セオは、一昨日付けで退学したよ」
「……そうか」
王子は私を貫くような目で見た。
その目は、いつもの見下すような目ではなく
何かの意志を秘めたような、強い目だった。
「君の面倒を見ているのは、彼の頼みだったからだ」
空気は重いままだった。
「アルフォンス殿下、リズ様への寛大な処置、重ねて感謝いたします」
ヨハンは王子に頭を下げていた。
「だが、少しばかりエリザベート嬢と二人で話をさせてほしい。
よろしいだろうか?」
ヨハンは私の顔を見てきた。
私は構わないと合図を送る。
「エリザベートはやめろ、リズと呼べ」
「ちょっと、リズ、流石に殿下にまでその態度は」
「よい、わかった。ではリズ。少しだけ話に付き合ってほしい」
王子はノエルやセラにも目配せをすると
全員が病室の外に退席していった。




