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第十八話 勝ち目

その日の夜。私はヨハンに事情のすべてを話した。

ヨハンは黙ってその話を聞いてくれた。


「して、リズ様は如何様になされたいのですか?」

「無論戦う、そして勝つ」


ヨハンは静かに佇み、私の顔を見ずに言った。


「ご提案いたします、決闘を受けずに婚姻をなされてはいかがですか?」

「何故だ?」


それでもヨハンは私の顔を見なかった。

ただ虚空を見据えて言う。


「グランツ家は王室との友好のある名門中の名門。

 しかもわざわざ向こうから婚姻の申し出。

 リズ様の話が本当であるならば、貴方を彼は束縛することもないでしょう。

 断る理由がないと言っても過言ではありません」


「ヨハン」


「はい、わかっております」


実に優秀な男だ、自分の主張は明らかにするが

それが通らないことも理解している。


私は顧みないと強がったが

ヨハンの立場を思った時、少しだけ申し訳ないと思った。


「で、私が勝つ方法は?」

「……申し訳ございません、万に一つも厳しいのが現状です」

「素直だな。やはり魔法対策がなければ厳しいか」


初めてヨハンはこちらを見て言う。


「はい、セオドア様は過去の決闘でも卓越した戦いを見せており

 魔法対策なしでは無謀にございます」


「その言い方なら、魔法対策があるのではないか?」

「ないこともありません、ですが……」

「なんだ、もったいぶらずに言え」


そういうと、彼はテーブルに1枚の紙を出した。

それを広げると、そこには一つの文様が映し出されていた。



「これは?」

「魔封じの刻印でございます。これを盾に付与する戦士は多いです。

 しかしリズ様は盾はお持ちにならない……」


確かに私は盾は使用しない。

私の戦いに盾を使う戦闘方法はない。


「ならば武器に付与するのはどうだ?」

「武器でございますか。まったく実例が無いわけではないですが……」

「ならば私がいつも修練している槍の先端に刻印せよ」


ヨハンは唸った。


「作ることは可能です。しかし魔法を槍で弾くというのは

 おそらく凄まじい集中力を要求されます。

 それを一回ならまだしも何度もとなると……」


「そこは私を信じろ。あとこの防御は防具にも適用可能か?」

「はい、可能なら鎧を纏い、刻印を施すことを推奨します」


私は一瞬考えたがその答えを否定した。


「ならん」

「死にますぞ」

「鎧を纏えば動きが死ぬ。それは負けの引き伸ばしにしかならない」

「ではせめて衣服に加工を施しましょう」

「すまないな、頼む」


そういうとヨハンは笑っていった。


「リズ様に謝られる日が来るとは思ってもいませんでした」

「別に今までは言う必要がなかっただけだ」

「なるほど、では明日は雪かもしれませんな」

「季節外れだぞ」

「だから降るのですよ」


相変わらず減らず口の減らない男だ。


「制作にはどのぐらいかかる?」

「そうですな、今から突貫で取り掛かるとして最短で3日程度かと……」

「無理する必要はない、セオには1週間後と伝えろ。

 それまでに完成すれば良い、しっかりと仕上げろ」

「わかりました……」


言いたいことは今回敢えて言わせてやろうと思った。

「何%ぐらい勝率は上がった?」

「かなり贔屓目にみて3%程度でしょうか」

「わかった、では残りの7%程度を我が腕で見せつけてやろう」



私はその日から、念入りに槍術の鍛錬に励んだ。

兵器の王。きっちりと磨き上げる。


そしてそれはセオもきっと同じ。

どちらがより磨き上げられるか。


私は負け濃厚のこの戦いに高ぶりを感じていた。


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