都市への道のり
「もうこんな時間まで歩いたんだね。話しながら歩いてると時間があっという間だね」
真衣がそう言ってくれることは俺には本当に嬉しかった。俺自身も真衣との時間はあっという間に過ぎていく。現世で真衣が亡くなってからはずっと一人ぼっちで一日がものすごく長く感じていたからこそ一緒だとこんなにも楽しくて時間があっという間に過ぎていくんだなって実感していた。
「真衣と話すのはやっぱり楽しくて時間が過ぎるのが早いね。暗くなる前に都市まで行けるといいね」
俺は思ってる事を素直に伝えた。暗くなって魔物が現れると危ないし夕方くらいまでには着くといいなと思った。
「ありがとう。私もこの世界来てからは一日が長く感じる事多かったよ。町の人たちは優しくしてくれたしそこに不満は全く無かったけどそれでも心にポッカリ穴が空いたみたいに寂しさはあったよ。だからこそまた出会えて一緒に話せる時間が私にとっても幸せな事だよ。都市は多分そろそろ見えてくると思うよ」
真衣の素直で真っ直ぐな気持ちが俺の支えで戦う理由になっていた。俺は生まれ変わった事を心から喜んだ。そんな話をして三十分ほど歩くと少し遠くに大きな都市が見えてきた。
「都市はこんなに大きい場所なんだね。まだ距離あるのにしっかり見えるのすごいね」
俺は初めて見る大きな場所に驚いた。今まで行ってきた場所はどこか田舎のようなそんな風情があった所なのでこんなに大きくて栄えてる場所がこの世界にある事にビックリした。
「すごいよね。私も来たことは無かったけど町の人が行った時の話聞かせてくれて知ってはいたけどここまで大きな所だとは思わなかった」
真衣も来たこと無いようで俺と同じくらい驚いていた。だいぶ近くなってきたが、ここから見えるのは大きな門と門番の人が一組ずつ検査して門を通してるようだった。王宮と近い感じがしたが人がたくさんいて都市に入ろうとする人が多いのは王宮との違いだった。人の出入りが激しい場所なんだなと思っていると都市にだいぶ近づいていた。
「すごいね。こんなに人がたくさんなんだね。並んでるけど今日中に中に入れるかな?」
俺がそう言うと真衣は「まあ待つしか無いもんね。まあゆっくりお話ししながら気長に待とう」と言い時間がかかりそうなのを俺たちは覚悟した。
そんな話をしているうちに都市の前にある門の前まで着いた。都市の周りを高い壁が円状に囲ってあった。こんなに厳重に守られている場所なんてあるんだなと思いながら俺たちは門の前の列に並んだ。




