プロローグ
「待って。俺を置いて行かないで」
夢の中の彼女は俺に手を振り遠くに行ってしまった。
俺のよく見る夢。大好きだった彼女の長崎真衣が遠くに行ってしまう夢。
俺にとって一番大切な存在。
しかし僕は自分の弱さのせいで彼女を死なせてしまった。
俺、佐藤匠には五年間付き合ってしかも毎日会っていた大好きな彼女がいた。
そんな大切な彼女、長崎真衣を俺の弱さのせいで死なせてしまった。
俺は精神の病気を持っていて鬱になり死にたくなってしまう事が多かった。
そんなダメな俺だけどいつも真衣は励まして側に居てくれた。
こんな俺のことを見捨てずにいてくれて、しかも真衣は仕事もして忙しいのに毎日時間を作って会ってくれた。
俺はそんな真衣の優しさに甘えてばかりいた。
そんなある日、俺は人生がどうでもよくなって自殺したくなって一緒に死のうって真衣に言ってしまった。
今ではなんてバカな事を言ってしまったんだろうと後悔している。
一緒に死のうとした日、俺は家で彼女を待っていた。
薬を大量に飲み、家で彼女を待っていたらいつの間にか寝てしまっていた。
目を覚ますとお風呂場で亡くなっている彼女の姿があった。
俺の家の鍵は彼女も持っていて俺が寝てしまってる間に彼女だけが亡くなってしまった。
俺は気が動転してしまって救急車を呼んでしまって結局一緒に死ぬ事が出来なかった。
その後、俺は彼女のところに早く行きたい気持ちを持ち続けながらも死ねずに無駄な毎日を過ごしていた。
しかし俺も彼女のところに行ける日がきた。
毎日の日課だった散歩をしていたら信号無視した車が突っ込んできて俺は遂に彼女のところに行く事ができた。
次に俺が目を覚ますと真っ白な謎の空間にいた。
そこには見たことのない女性が立っていた。
「ここは一体どこですか? あの世に行けば彼女に会えると思っていたんですが」
俺がそう言うと謎の女性が口を開けた。
「ここは死後の世界です。私は女神ルキ、あなたの彼女はもうここにはいません」
俺はもう二度と彼女に会う事が出来ないという事実に肩を落とした。
そんな俺の気持ちを察したのか女神ルキが続けてこう言った。
「しかしもう一度あなたが彼女に会う方法はあります。それは彼女の行った異世界にあなたも行けば会えますよ」
俺は女神ルキが何を言っているのかを最初は理解すことが出来なかった。それでもまた彼女に会うことができるならどこにでも行けると思った。そのために俺は人生を終わらせたのだから。
「彼女に会うためなら俺はどこにでも行きます」
俺の強い言葉にルキがニコリと笑った。
「分かりました。ではあなたを彼女の行ったリグルという世界に送ります。しかしその世界は魔物もいる世界ですので気をつけてくだいね。最後にあなたには異世界に行くにあたって力を授けましょう。彼女を守り抜く為の力です」
俺は今度こそ真衣を絶対に守り抜こうと決心したのだった。




