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鮟偵>蠖ア
1日目、そいつは風呂場の窓に影だけが映っていた。
外はもう暗くなり始めていたが、そいつがぬらぬらと蠢くのだけは見えた。
そいつは包丁と杖を足して割ったようなものを持っていたが、何に使うでもなくゆっくりと、
中庭に移っていった。
その日見たのはそれだけだった。
2日目、存外に晴れていた。気分が良く、昨日見たものも忘れてしまうほどだったが、
気になったので中庭を覗きに行った。しかし何もなかった。
か?
よくよく見れば、黒くただれた小動物のゴミが打ち捨てられていた。
その晩、風呂に入ったがなるべく見ないように心懸けた。しかし、ぶつかる音、とても煩く、
振り向けば、昨晩の道具で窓を穿っていた。音はしきりに強くなり、
ガラスは限界に近づいた。遂に、
劈くような音がして、
目が覚めた。
ベッドの上だった。
「僕は統合失調症だった」