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琥珀の才能Blooming!  作者: 仮名無し
8/10

第8話 こはく、受信料の集金人にビビる

※この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません

※違法行為は決して真似しないでください


「見てお母さん、御台様〜!」


 我々はNTKの大河ドラマを観ている。どうやらお母さんは最近これにハマってるらしい。

 着物を着た女達がいっぱい出てきてそいつらが奇妙な言葉遣いをするものだから、それがおかしくてあたしもついつい見入ってしまう。


 そんな訳であたしは茶色の毛布を肩から着物のように羽織り、御台所のモノマネをしているのだ。


 ちなみにこの毛布は赤ちゃんの時からお気に入りで、経年劣化による破れが酷いものの、もはやこれが無いと安心して眠れない。


「あら御台様〜!ワタシもやるから毛布よこしなさい!」


「お母さんはデブだからお着物がよーくお似合いですこと!」


「失礼ね!お母さんって着物着ると松坂ケーコにそっくりじゃない〜?」


「もうっ、日本一美人なデブを引き合いに出さないで頂戴よね!あれは例外中の例外よ!お母さんはちびまる子の友蔵みたいな顔してるわよ!輪郭が米っぽい!アハハ!そっくり〜」


「ほんとアンタは意地が悪いわね!何でワタシからこんな嫌な子が産まれてきちゃったのかしら!」




 翌朝あたしは風邪をひいた。



「お母さん、今日学校行けない」


「昨日あんなに元気だったじゃない。どうせまたサボりたいだけでしょ」


「今日は違うわよ!ホントになんか熱っぽいの。多分昨日体操で咳してた奴から移されたのよ」


「軟弱な子ね!もうお母さんしょっちゅう学校に欠席連絡してるから、教師達からきっとバカにされてるわよ!」


 お母さんはムッとしながらパソコンを立ち上げる。

 欠席の際には、Wordでお母さんがこしらえた「欠席連絡」のテンプレに今日の日付を入れ、それをファックスで送るのが未咲家のしきたりだ。

 電話で連絡すれば一瞬なのに、どうやらそれは気まずいらしい。お母さんは内弁慶なだけで案外恥ずかしがり屋なのだ。


「はい、送っといたわよ。しっかり休んで4時のバレエまで英気を養っておきなさい」


「はいはい〜」


 はぁ…学校は休めるのにバレエは絶対休めないんだから残念だ。どちらかと言うと休みたいのはバレエの方なのに。


(よしっ夕方までにもっと熱を上げてバレエも休んでやる!)


 春に不相応なダウンコートとマフラーを着込んで汗蒸幕よろしく毛布の中で身体を蒸し温めることにした。




ピンポーン


 誰か来たようだ。

 もう目が覚めてしまったではないか……あー頭が痛い。



ピンポーン


(……)


ピンポーンピンポーン


(ああうるさい!イライラする!!!) 


 あたしは頭をフラつかせながら、リビングにいるであろうお母さんのところへ向かった。


「ちょっとお母さん。うるさいから早く出てよ」


「どうせろくな用じゃないわよ。居留守使っとけばそのうちどっか行くわ」


ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン


「もううるさくて寝れないじゃない!こっちは頭が痛くてしんどいの!今すぐどうにかしてよっ!」


「あー!もう仕方ないわね!」


 お母さんは渋々インターフォンに応答した。


「……」


「NTKの者です。お宅、受信料ずっと払ってませんよね?今すぐ払って頂けますか?」


 やばいNTKだ!どうしよう…。

 昨日大河を観てしまっただけに大変気まずい。


「えぬてぃーけーってなんですかぁ??いまぁ、おかあさんがいなくてぇ、よくわかんないですぅ〜〜」


 お母さんが幼児のフリをし始めたではないか!

 情けない気持ちで胸がいっぱいのはずが、何ともおかしくて笑いをこらえきれない!


「チッ。……そうですか。ではまた伺います」



「やれやれ、居なくなったわよ〜!アイツ舌打ちしやがった!あーむかつく!受信料なんか一生払ってたまるか!」


「恐ろしいわね〜借金取りみたいだわ〜」


「それにしてもワタシの迫真の演技凄かったでしょ!ちゃんと見てた??」


「え〜?ババアが芝居こいてるって絶対バレてるわよっ」


「そんなことないわ!ワタシ若い頃演劇やってたからこういうの得意なのよ!」


「もうおかしくて仕方なかったわ!ちょっとさっきのもう一回やってよ!」


「フンッ、いいわよ。いまぁおかあさんがいなくてぇ〜〜わかんないですぅ〜〜えぬてぃーけーってなんですかあぁぁぁ???」


「ギャハハ!!お母さん最高よ!!バッカみたい!!」


「フフッ。今度また来たらやってあげるわ」


 あーあ。


 NTKとお母さんどちらが悪いのかあたしには分からない。いや、多分お母さんが正しいと思う。


 だってこのマンションで玄関にNTKのシールを貼っている家なんて誰も居ないもの。みんな払ってないのだ。


 それとお母さんが日頃言っている「払わなくても良い受信料払ってるヤツと、ろくに読みもしない新聞取ってるヤツは見栄っ張りなだけ」という言葉をあたしは心底共感している。

 

(こっちは貧乏なのに私立行ってて大変なんだよ!はした金の使い途にお困りの見栄っ張り共、せいぜい受信料をたんまり払いやがれ!)

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