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琥珀の才能Blooming!

作者:仮名無し
「背田が飛んだら あの女をフロに沈めればええ」


 あたし達はレンタルビデオ屋で借りてきた『ナニワ金融道』に夢中だ。

「アンタも若いうちに怠けてると、いつかこの女みたいに騙されてソープランドに沈められるのよっ」

 お母さんはそう言いながら、大量の醤油とマヨネーズを振りかけた2合のコメを釜ごと掻っ食らう。

「経営っていうのは現金主義・無借金がセオリーや。調子こいてカネを借りるからコイツらみたいになるんや」

 安いウィスキーと100均で買ったサラミを食べながら経営のイロハを伝授してくれるお父さんは、最近勤めていた会社を辞めた起業家の卵だ。
 資本金を集めるために毎日パチンコを頑張っている。

「とにかくこはくは東大に行きなはれ!ワシは有能やのに高卒って理由だけで人生苦労してきたさかい。幸せになりたいんならちゃんと勉強して、医者か弁護士になるんや」

 ちなみにお父さんは生粋の関東人である。
 にもかかわらず、『ナニワ金融道』とか『ミナミの帝王』を観た後だけ突然関西風の喋り方をするのがこの人の特徴だ。

 ウチの家は父母で教育方針がまったく違う。
 女子大出のお母さんはあたしをパリオペラ座でプロのバレリーナにさせたくて、高卒のお父さんはあたしを東大に行かせたいようだ。

「ねぇ、あたしバレエと勉強一体どっちを頑張りゃいいのさ」


 あーあ。二人とも黙り込んでしまった。


「……まぁとにかくどっちも頑張ればいいのよ!アンタはまだ小学3年生なんだから暇でしょ?全部誰にも負けないように頑張るのっ」

「下を見たらお終いや。上だけ向いて自分と闘うんやで!」

 お母さんもお父さんも、お前は美人で賢いし才能があるから絶対に勝ち組になれると言う。
 ウチにお金なんて大してないはずなのに、どこからかお金を調達してきてバレエと器械体操と塾の月謝をたくさん払う。


(ソープに沈んでいくようなバカ女共を蹴散らして、あたしはエリートになるんだ……!)

 午前1時。大きな決意を胸に、風呂に入る気力もわかず髪の毛は脂まみれのまま眠った。

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