第2話
「あんた平民のくせに目障りなのよ!!!」
パチンッッ
痛々しい音が響き渡るが、私は殴られる寸前の所で受け流し、相手が見えていない位置で自分の手で音を出す。
(4回目の人生で学んだ技術が結構役立っているわね、、
それよりも、、、)
「ごめんなさい、、お姉さま」
9歳になったアメリアは腫れていない頬を押さえながら、血の繋がらない姉に謝罪する。
アメリアの5回目の人生は平民のしかも孤児だった。
あんな決意をして、やる気十分だったのに出鼻をくじかれた気分だ。
しかし、私が6歳の頃、伯爵家の人が養子を探していると訪ねてきて運良く私が選ばれた。
(神は私を見捨ててはいなかったのだ!!)
そう思っていた数年前の自分を今すぐぶん殴りたい。
このヒステリックな姉はマリー・クルーニー(12)
アメリアを拾ってくれたクルーニー家の1人娘だ。
1人娘だと甘やかされて育ったのだろう。3年前私がこの伯爵家に来てからというもの、なんらかの難癖をつけて突っかかってくる。
こんな些細な事はもう慣れてしまったが、厄介なのはこの家の者全員、私を目の敵にしているという事だ。
旦那様からは激しい差別、過度なお仕置き付きの家庭教師、お風呂は絶対に冷水、時々だが靴に刃物も仕込まれていることもあった。
アメリアは平和第一主義なので今まで目を瞑っていた訳なのだが、短い人生こんなつまらない事で悩んでいる暇はない。
3年もの間に屋敷の構造、使用人の特徴や移動範囲や行動時間、マリーや旦那様や奥様の習慣、癖全て把握済みだ。
(今夜あたり旦那様の部屋にでも侵入して見ますか。)
何故、孤児のしかも女のアメリアを養子にしなければいけなかったのか。
この謎を突き止めに、、