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1キャロットの指輪

作者: まえとら

ある国の人は結婚を申しいれるプロポーズの時に相手に指輪をわたすそうです。エンゲージリング。婚約指輪を。1キャラットの指輪をわたす人もいるそうです。


野ウサギはそれを見たことがありました。


雪うさぎ。

南天の赤い実おめめの雪うさぎ。

南天の緑の葉おみみの雪うさぎ。


野ウサギは雪うさぎを見つけました。

美しい雪うさぎの姿に見とれました。

「なんて綺麗なんだろう」


「雪うさぎ。野ウサギの僕と結婚しておくれ。白いうさぎの雪うさぎ」


野ウサギはニンジンの小さな指輪を雪うさぎにわたしました。

1キャロットの指輪をわたしました。


野ウサギが話しかけても雪うさぎは返事もしてくれません。

「キミが返事をしてくれなくてもかまわない。僕はずっとまってる」

野ウサギはそう言って目を閉じました。


やがて雪うさぎは溶けてしまいました。

リングとその横で野ウサギがめをさますことは2度とありませんでした。

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