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追放兵士、領主になる  作者: セフィ
第2期 爆誕!無敵の王室騎士団(ロイヤルナイツ)
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第18話 ドタバタの恐竜イベント①

 「ビリー単独ライブ」とも言われたコロッセオでのバトルから数週間後には、次の大会が行われた。

 アリスたちは自ら召喚することなく運営側に徹していただけで、多くの収入が手に入った。

 ファイトマネーとスタッフへの支払いを差し引いて、その金額は2万リアだった。


「あと75回これを開催できれば、お菓子工場の金額になりますね」


「なんか、久しぶりにお菓子工場って言葉を聞いたような気がするけど、まだ諦めてなかったのかよ」


 コロッセオから領主の館に戻りながら気楽に呟いたアリスの顔を、ビリーが覗き込む。


「お金が入らなくなったら諦めましたけど、なんかコロッセオを手に入れたらこんなこともできるんだー、って思ったんです。

 というか、ロッジ食品じゃなくても工場があったらお菓子食べられますし、そもそももらったお金でお菓子を買えば何の問題もなくないですか?」


「それは、今でもダメ。

 アリスはお金を全部お菓子に変えちゃいそうだから……」


「じゃあ、どれくらいだったらお菓子に変えていいですか?

 90%? 93%? 99.99%?」


「オイオイ、どんどんパーセント上がってないか?」


 アリスが舌を出しながら頭を撫でる。


「ビリーが釘を刺してくれないと、上限なくなっちゃいますから……」


「まぁね……。

 それはそうと、僕たち、コロッセオ以外に何かビジネスを見つけた方がいいのかも知れない。

 例えばさ、このアレマ領、税金ってないじゃん」


「えっ……?

 そう言えば、ここに来て税金という言葉を聞いたことないですね……。

 この世界(アレマ)を作った人が、この4ヵ月半、税金の存在を教えてくれなかったんですよ。

 これが物語だとしたら、作者が責任を取らなきゃいけないレベルです」


 悪かったな。


「アリス。勝手に、物語とか作者とか出しちゃダメ!

 僕たちは、永久転送とは言え、あくまでも現実世界の中で生きてるんだからさ」


「そうですね。あっ……!」


 アリスは、手を叩いてビリーに振り向いた。


「何か思いたの?」


「思いついたとかそういうレベルじゃないです。

 アレマの伝説を学べるテーマパークとか作りませんか?」


「テーマパーク……。

 きっと、アリスの言うテーマパークと言うと、『オメガピース』の近くにある『ワールドヒーローパラダイス』とか、そういう感じの巨大なテーマパークとかじゃない?」


「私の時代にはそんなのないですけど……、たぶんビリーの言ったようなテーマパークでいいと思います」


 アリスは、小声で「なんだろなー」と呟きながら、ビリーの表情を伺った。

 するとビリーは。ため息をつきながらアリスを見つめる。


「で、やっぱりここにも建設費の問題が出てきちゃうんだよね……。

 おそらく、お菓子工場よりもはるかに高いお金が必要になっちゃうと思うよ」


「ドキッ……。

 あああああ、たしかに作るのにお金がかかりそうですね」


 アリスは唸り始めた。

 妙案だと思って告げたテーマパークすら、お金のことを何一つ考えない砂上の楼閣に過ぎなかった。


 だが、しばらく経って、アリスの中で何かがひらめいた。


「領主の館の前にステージを作ればいいんですよ!

 そこにみんな集まって、私たちがアレマ領に昔いた伝説の生物とかを召喚で呼び出す」


「アリス、アレマ領の昔なんて知らないじゃん……。

 信頼関係がない召喚は聞き入れてもらえないって、ジルの召喚でさんざん思い知っただろうに……」


「そこは、領主権限です。

 というか、未来のこのどうしようもないアレマ領を見せてあげると言えば、ついてくると思います!」


「このどうしようもない、が余計。

 僕たちは、このどうしようもない、の部分をどうにかしなきゃいけない立場なんだからさ……」


「アレマ領に生まれた人、どの世代だってそう思ってませんか?

 私たちの生まれたところはどうしようもなくダメなところで、でも未来がもっとダメだから希望が持てる」


 ビリーは、アリスの言葉に思わず吹き出してしまった。


「アリスさぁ、それって昔の人にとっては逆効果だよー!」


「私もそう思いました。

 やっぱり、私はダメ領主なんですね……、ってつくづく思います」


「でもさ、アリスがそういうテーマパークを考えたんだから、一度はやってみない?

 本当に、一度きりのテーマパークというか、テーマイベントとかさ……」


 意外な方向に進み始めた話の流れに、アリスは息を飲み込んだ。

 それから、ビリーに向かって大きくうなずいた。


「分かりました。

 アレマの生物の歴史を知るスペシャルイベントを開催します! 来週!」


「えっ……、えっ……?

 もう来週やることにするの? ステージとか組まなきゃいけないんだし」


「ステージは、考えてますよ。お金掛けずに作れます!」



~~~~~~~~



 アリスは、領主の館に戻るなり書庫に入り、アレマ領に現れた歴史上の生物を調べ始めた。

 ビリーも一緒になって、本を探し出す。


「このアレマザウルスという恐竜、すごくよさげですね。

 赤い体がイラストに描かれていますし、翼の形とか、なんか強そうです!」


 アリスは、ビリーに生物図鑑を見せる。

 ビリーも初めて見たかのように驚き、思わず図鑑を手に取って目を丸くした。


「これ、実際に呼べたら本当に驚かれるんだろうな……。

 領主が召喚術を使えるってことはみんな知ってるだろうし、太古の恐竜を呼べたらよりポイントを上げられると思うよ」


「えっ……。

 私が司会で助手がビリーだから、アレマザウルスはビリーが呼んで下さい。

 たぶん私は、何万年も前の世界から転送できるだけの魔力を持っていないと思います」


 ビリーは、アリスに人差し指を向けられた瞬間、一歩後ずさりをした。


「そこだよな……。

 僕だって、どこまでの世界から恐竜を呼べるか分からないもの……」



 96年前の世界からトライブを呼ぶだけでも相当の魔力を使うだけあって、何万年も前の世界から恐竜を呼ぶときに召喚にかかる魔力がどれだけになるか、ビリーもようやく思い知った。

 そもそも、アリスが今の今まで恐竜という太古の時代の生物について何も伝えていなかったからなのだが。


「恐竜を呼ぶのは、無理。

 僕たちの魔力じゃ、ホント無理だから……」


「ですねぇ……」


 アリスは、ビリーから戻ってきた生物図鑑をそっと閉じ、棚にしまって壁に寄りかかった。


「楽に作れるテーマパークなんて、意外にもないですね。

 せっかく、バルゲートへの地下トンネルの出口という、絶好のステージが手に入ったのに……」


「あ、そこなの? アリスが考えてたステージというのは!」


「そういうことです。

 だから、ショーは簡単にできてしまうんですよ」


「じゃあ、他に出し物になるものを考えようよ。勿論、コロッセオでできること以外で」



 すると、館の入口で鐘が鳴った。来客だ。


「また、ごはんのお供が来た――っ!」


 アリスは、急いで階段を降りていくが、目に飛び込んできたのはこれまで見たことのない青髪の青年だった。


「ど……、どなたですか……」


 食べ物の匂いを感じなくなった途端にゆっくりになったアリスは、恐る恐る入口に近づいた。

 すると青年は、アリスに深々とお辞儀をした。


「あ……、アレマ領主様、初めてお目にかかります。

 わ……、私は……、す、スワール領から来た……、ソイ・ダーナと申します……」


「スワール領……。

 もしかして、こんなアレマ領に逃げ出してきたとか、そんな訳ないですよね……?」


 ソイは、アリスの質問に首を横に振る。


「そ、それは違います。

 せ、せっかくアレマ領から生き延びた恐竜を飼っているので、アレマ領のみんなに見せてもいいかなって……。

 それで相談に来たんです……」


「アレマから生き延びた恐竜……?」


 アリスは、ソイの言葉に膝を震わせた。

 先程まで調べていたものが、現実に見られるのだから。

18話と19話は恐竜イベントになります!

応援よろしくお願いします!

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