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追放兵士、領主になる  作者: セフィ
第2期 爆誕!無敵の王室騎士団(ロイヤルナイツ)
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第16話 ビリー、男を魅せる⑤

 キングブレイジオンの、金属でできた体が赤々とした炎に包まれる。

 その炎が少しずつ右手に集まり始めた。


「3体まとめて、炎に焼き尽くされるがいい……!」


 だが、キングブレイジオンが言い放った瞬間に、ビリーたちの足に地響きが走った。

 足のモンスター、ビッグフッドを召喚した青い髪の男が、ビッグフッドに語り掛ける。


「あの炎使いを踏みつぶせ。そして、炎の息の根を止めろ!」


「危ないっ!」


 ドタドタドタ……!

 激しい地鳴りとともに、ビッグフッドがキングブレイジオンに突進を始める。

 ビッグフッドがバトルフィールドを踏むたびに起きる突風で、キングブレイジオンの炎も揺らいでいく。


「炎よ……、邪悪なる身を打ち砕く風と……」


 キングブレイジオンが目の前に集めた炎に語り掛けるが、既にビッグフッドが目の前に迫り、炎を避けるように、キングブレイジオンの右に回り込む。

 キングブレイジオンも、向きを変えざるを得ない。

 だが、向きを変えた瞬間、キングブレイジオンは左側から突き刺すような気配を感じた。


「奴に死の光線を浴びせよ……!」


 白い髪の男が、大きな目のモンスター、ビッグアイに指令を下し、ビッグアイの目が緑色に輝いた。


「キングブレイジオン、盾の方がいい!」


 ビリーが、解き放たれた光線を指差しながら叫ぶ。

 キングブレイジオンも、反射的に右手の炎へと語り掛ける。


「炎よ、邪悪なる力を食い止めよ……! 燃えさかる盾バーニング・バックラー結成(フォーミング)!」


 キングブレイジオンが、光線に向けて炎を解き放つ。

 光線そのものを無効化する盾が、ビッグアイに立ち向かった。


「物理攻撃でもないのに、炎は効かない!」


 ビッグアイの光線が炎の盾の中で蒸発するも、一部が盾を突き抜けていく。


「くっ……!」


 キングブレイジオンは、後ろにジャンプして光線をよけるが、そこは光線を待っていたビッグフッドから数歩のところだった。


「動きづらい……」


 キングブレイジオンが、改めてビッグフッド、ビッグアイ、そして未だにアクションを起こさない鼻のモンスター、ビッグノーズの立ち位置を確かめる。

 ビッグアイが、再び死の光線を解き放とうとしていた。


「落ち着け……。

 1体ずつなら、俺は簡単に倒せるはず……!」


 そして、再び右手の炎の勢いを強める。

 フレイム・ヴァリアントの発射準備が整った。

 だが、そこに青い髪の男と、ビッグノーズを操る赤い髪の男が同時にうなずく。


「ビッグノーズ、そしてビッグフッド!

 いま、炎に立ち向かう爆風を巻き起こせ!」


「爆風……!」


 ビリーの脳裏に、疾風神とのバトルが蘇る。

 あの時、フレイム・ヴァリアントがあっさりと爆風に飲まれてしまった。

 相手の力が確かなら、それを放とうとしているキングブレイジオンにはかなり不利となる。


 そして、キングブレイジオンが炎を解き放つよりも早く、二人が2体のモンスターに同時に指令を下した。


「「風の共鳴ウィンド・シンフォニア!」」


 ビッグフッドについた目が、ビッグノーズの居場所を確かめた。

 ほぼ同時に、ビッグノーズの鼻から爆風が解き放たれる。

 それに合わせて、ビッグフッドもこれまで以上に強くバトルフィールドを叩きつけた。


「これはもう、ハリケーンだ!」


 バトルフィールドと観客席を分けるガラスも吹き飛んでしまうかも知れないほどの強い風が、キングブレイジオンに襲い掛かる。


「爆風なら、爆風で返すしかない! 烈火の疾風ブレイジング・ウインド発射(ファイア)!」



 だが、キングブレイジオンが炎に語り掛けた瞬間、この数十秒間全く動かなかったビッグアイが、死の光線をキングブレイジオンに解き放った。

 爆風に耐えようと足に力を入れていたので、ビリーも気付くのがやや遅れた。


「あっ、まずい!」


 ビリーの声に、キングブレイジオンが反応した時には、キングブレイジオンの金属の体にビッグアイの光線が命中し、金属を溶かしていった。

 ところどころ、金属のボディに穴の開いたキングブレイジオンが、ビッグアイに目を細める。


「まだ……、顔をやられないだけマシだ……。

 ボディを貫かれたぐらいなら、まだ何とか戦える……!」


 だが、ほぼ同時に赤い髪の男と青い髪の男の声が、キングブレイジオンの耳に響く。


「「風の共鳴ウィンド・シンフォニア!」」


「まずいっ……」


 キングブレイジオンが、慌てて炎の爆風を放とうとするも間に合わない。

 すぐ近くで共鳴した風が、キングブレイジオンの体に命中し、投げ飛ばされた。



「くそっ……、1体だけなら……!」


 バトルフィールドに投げ飛ばされ、それでも何とか起き上がろうとしているキングブレイジオン。

 その姿に、ビリーは下を向いた。

 本来、最終戦はビッグフッドだけだったにもかかわらず、アリスの思い付きで圧倒的不利な状況に置かれた。


 ビリーは、今度はちゃんとバトルフィールドでおとなしくしているアリスに、少しだけ目をやった。

 アリスは、空に手を伸ばしたくてもできないと、もどかしい表情を浮かべている。


「あっ……!」


 ビリーは、作戦を思いついた。一か八かの賭けだ。

 再び爆風を浴びせようとしているビッグフッドとビッグノーズに体を向け、手を高く伸ばした。


「なぁ……。

 僕が1体しか召喚しちゃいけないなんて、アリスは言ってなかったよな……!」


 アリスからは、何のツッコミも入らない。



「不可能を斬り裂く風を呼び、未来へと導く光を纏う、誇り高き女剣士よ。

 我が大地の命運を、いまその腕に託す。

 その魂が許すなら、我が声に応え、凛々しくも勇ましき一撃を下せ。

 そして、この地にもたらせ! (けが)れなき、正義の輝きを!」


「ビリー……、まさか……」


 アリスは、聞き覚えのある詠唱を耳にし、うなずいた。

 領主替えの日、自らフラミンゴを大量召喚させたように、ビリーも複数召喚をしようとしているのだった。

 ただ、片方は96年前の世界から呼び出そうとしているので、消費される魔力がはるかに強いのも事実だ。


 アリスが見守る中で、ビリーが叫んだ。


「降臨! 剣の女王クイーン・オブ・ソード、トライブ・ランスロット!」


「「「なにィ!!!!」」」


 突然、バトルフィールドに沸き上がった青白い光に、3体のモンスターが身構える。

 これまで一度も呼ばなかったはずのビリーが、最強の女剣士をこの地に呼び出そうとしていた。

 青白い光の中で長身のシルエットがうなずき、その光がフェードアウトするとともに、トライブが姿を見せた。


 トライブは、ダメージを負ったキングブレイジオンの横に立ち、その手を取り合った。


「大丈夫……?

 これだけの敵を、一人で戦ってたわけ……」


「あぁ……。

 あの足と、あの鼻が……、爆風で俺の炎を簡単にかき消し……、体もこの通りだ」


 トライブが、キングブレイジオンから伝えられた情報にうなずき、「もう大丈夫」と小さな声で告げた。

 そして、二人は同時に叫んだ。



「「我ら、アレマ領を守る正義の力、王室騎士団(ロイヤルナイツ)!」」



「まだ、3対2……。

 こっちのほうが、圧倒的に有利だ!

 ビッグノーズとビッグフッド、二人を貫く爆風を!」


 赤い髪の男が、モンスターたちにそう告げる。

 だが、ロイヤルナイツの二人の戦士も、短い時間で作戦を立てる。


「爆風は、私が止めるわ。

 鼻と足を直接狙う。

 キングブレイジオンは、1体に集中したほうが、強い炎を放てるはず」


「分かった。

 クイーンの分析は、相変わらずすごいな」


「言われるほどじゃないわ」


 トライブは、そう言葉を残して動き出す。

 右手にアルフェイオスを従え、ビッグノーズに斬りかかっていく。

 そこに、2体のモンスターから爆風が湧き上がった。


「「風の共鳴ウィンド・シンフォニア!」」


「バスターウイング!」


 トライブに向けて風が解き放たれた瞬間、トライブがアルフェイオスを高く掲げ、空へと駆け上がった。

 猛烈な風を一気に飛び越え、そのままビッグノーズに斬り込んでいく。

 即座に、ビッグフッドもトライブを踏みつぶそうと迫るが、トライブは攻撃直後にも関わらず落ち着いていた。


「はあっ!」


 ちょうど踏みつぶす一歩で、トライブの真上に駆け上がったビッグフッドに、トライブがアルフェイオスを高い位置で一振り。

 そして、それを避けるようによろけながら着地した瞬間、トライブはさらに一撃を加える。


 その展開に、キングブレイジオンがうなずいた。

 風という障壁がなくなったいま、倒すべきはビッグアイだけだ。


「炎よ、我が怒りに共鳴せよ! 勇敢なる炎フレイム・ヴァリアント発射(ファイア)!」


 爆風でダメージを負った体も何のその、キングブレイジオンから解き放たれた激しい炎が、ビッグアイに立ち向かう。

 ビッグアイも光線を解き放つが、キングブレイジオンの必殺技の前に形から崩れていった。


『グアアアアアアアアア!』


 ビッグフッドが粉々になると同時に、ビッグアイも激しい炎に包まれ、やがて息絶えた。



~~~~~~~~



「ビリー……」


 ただでさえ、王室騎士団(ロイヤルナイツ)の二人の戦士を両方召喚したビリーは、勝負が付いたと同時に胸を押さえつけており、アリスがやってくるよりも早く、戦士たちを元の世界に戻すほかなかった。


「アリスさぁ……、悪い意味で楽しいバトルだったよ……」


「最後は、ロイヤルナイツが圧勝したじゃないですか。

 観客は、それを待っていたのかも知れませんね」


「……ったく、他人事だと思って……。

 キングブレイジオン、ダブル爆風でどれだけダメージを負ったか、アリスは遠くからだと見えなかっただろ?」


「あのイケメンが、かなりボロボロになってましたね」


 アリスの表情はあっけらかんとしたままだった。

 ビリーは、アリスを見ながら、ボディが爆風でダメージを食らった直後のキングブレイジオンの体を、思い出した。

 キングブレイジオンの体は、とても人間の体とは思えないほど、太い金属で骨組まれていたのだった。

 逆に、そうであったからこそ、爆風で粉々にならずに済んだと言ってもよかった。


「そう。キングブレイジオンがもし人間だったら……」


「え……?」


 ビリーが何気なく言った言葉に、アリスは真っ先に突っ込んだ。

 だが、ビリーは首を横に振り、小さな声で「違うな」と言い残した。


「キングブレイジオンだって、人間ですよーっ!

 なにビリー、変なこと言ってるんですかー!」


 ビリーは、アリスのツッコミに無理やり笑った。

 だが、あの時見てしまった、絶対にあり得ない体は、ビリーの脳裏からしばらく消えなかった。


今回のバカ大会の収穫=ビリーが二人召喚できる


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