【第7章】宇宙艦隊オッパリオン447話「案内する人」
宇宙艦隊オッパリオン第447話はペロルとナデルの回。
ワンコニー星人のペロルとナデルの双子の姉妹、通称「ボタンのペット」・・・ではなく、「お守りシスターズ」
二人は一目散に対テロ対策のケールパットとレーナ親衛隊長に会いに行く。
ボタンの親善ライブを脅かすのは何者なのか?
そして、ライブを無事に終え、オッパリオンとマーラの講和会議は行われるのか?
翔平眠る今、宇宙の行方は小さな尻尾を生やした二人の力に託される。
【四四七 案内する人】
ペロルとナデルがものすごい早さで待ち合わせ場所に着くと、そこにはまだ誰もいなかった。
そこは意外にも静かだった。爆弾騒ぎが起きていることなど、言われなければわからないほどだった。
「……ペロルお姉ちゃん」
「なに? どうしたの?」
「よく考えたら、テロリストの相手だなんて……大丈夫かな?」
不安げなナデルの言葉に、ペロルは胸を張る。
「大丈夫だよ! 訓練は受けてるし! ふたりならなんでもできるよ!」
「……お姉ちゃん!」
なんの疑いもない、自信満々な返事にナデルも自信がわいてくる。
「もしなにかあったら、みんなはわたしが守る! ご主人様も守るけど、ナデルのことも守る!」
「ペロルお姉ちゃん……それは心強い、わたしもそう思わないといけないと思うけど……わたしたち、実際に危険に対処したことなんてなかったし」
「誰にだってはじめてはあるよ! すごく強い戦士だって、最初からすごく強い戦士として生まれてきたわけじゃないもの」
ペロルの自信にはどんな根拠があるのか、ナデルは一瞬そんな疑問が頭をよぎったが、そこは言ってはいけないし、今はそういう自信も必要な時だと思い、納得した。
「ナデルちゃんだって上手くできる!」
「そ、そうだよね。できるよね!」
「できるできる!」
ふたりが盛り上がっているところに、人影が近づく。ふたりはすぐにそれに気がつき、振り返る。
「ケールパット主任!」
「おつかれさまです!」
ふたりはケールパットにビシッと敬礼をする。
そして、そのケールパットのとなりにはオッパリオン人がひとりいた。
「早いな。こちらはオッパリオンの皇女親衛隊、隊長のレーナ隊長だ」
「レーナだ。よろしく頼む」
「専属警備のペロルです!」
「専属警備のナデルです!」
「まぁこいつらはふたりでひとりみたいなものです。ワンコニー星人は真面目で誠実なんですがね」
ケールパットがそう言うと、レーナはふたりを見る。
「他の隊員はそれぞれケールパット主任の部下と同行することになった。ふたりには、わたしを案内してもらうことになった」
「えぇーっ!?」
ペロルとナデルは同時に大声で驚く。ペールパットはうるさそうな顔をした。
「いちいち大声を出すな」
「すみません!」
ふたりの声が揃う。
「隊長様自ら現場に出るのですか!?」
ナデルが言うと、レーナは頷く。
「あぁ。わたしも現場に出たい主義なのでね。そう言ったらケールパット主任もそれなら同行すると言って」
「主任もですか!?」
ペロルが驚くと、ケールパットが面倒くさそうに頷く。
「なんだ、俺はいつものように上から指示だけしてろってことか?」
「ち、違いますよっ!」
「冗談だ。まぁレーナ隊長、この建物はわりと複雑になっていてな。地図で見ただけじゃ把握できない通路も多いんだ。このお守りシスターズはその点に関して言えば適任だな」
ケールパットがどこか得意げに言うと、シスターズのふたりも胸を張った。
「ふたりは詳しいのか?」
レーナが問うと、ペロルが応じる。
「ご主人様――ボタンがいつも練習の合間に抜け出して街に遊びに行く時、誰にも見つからないように抜け道を使うんです!」
ナデルが続く。
「わたしたちはそれについて行くので、この建物のあらゆる通路を覚えました!」
ふたりは誇らしげにしている。
「警備対象を建物から出して街まで行かせてるのはどうかと思うが、構造を把握しているという点では利がある、だろう?」
「そうだな」
レーナは苦笑する。
「さっそく現場に向かおう。でかい柱の周囲が爆破の候補になってる。この近くにもある」
ケールパットが端末を開くと、ペロルとナデルがのぞき込もうとするが、ふたりは身長が足らず、見えない。
すると、レーナは数回頷いた。
「レーナ隊長?」
ペロルがそれを不思議に思ったが、ナデルは気がつく。
「ペロルお姉ちゃん、レーナ隊長の生体通信だよ。軍用の最新は声に出さなくても声を相手に送れるんだ」
「へぇ、すごい!」
「主任、先行した親衛隊隊員が当たった場所二カ所は空振りだったらしい」
「なるほど。そうなるとやはりでかい柱を狙うか。客席周囲はどうなってる?」
「そちらは別隊が向かっている。すぐにわかるはず」
レーナのやり取りを見て、ペロルとナデルは尊敬のまなざしを向けていた。レーナがそれに気づく。
「ど、どうした?」
「さすが親衛隊隊長です!」
「かっこいいです!」
「……は?」
レーナは思わず拍子抜けする。
「親衛隊という響きもかっこいいです!」
「なんだがすごくなんでもできそうです!」
「そ、それは……実際の仕事を見てから評価して欲しい」
レーナ隊長もやや困惑する。
「おいシスターズ、親衛隊はアイドルじゃないんだ。さっさと案内をしろ」
「わかりましたっ!」
「でも主任、この近くの大きい柱っていうと三カ所あるのですが、どこから確認しますか?」
ナデルは構造を理解しているようだった。ケールパットは一瞬考え、応じた。
「一番近いところからだな」
「わかりました。でも、一番近い柱が面している通路は、一般のお客さんが通れる場所と、関係者通路に挟まれています。どちらから見ますか?」
ケールパットは一瞬レーナを見た。そのレーナは頷き、応える。
「関係者通路の方だ。爆発物を持ち込んだものは、残念だが関係者の中にいると思った方がいい」
「わ、わかりました!」
「ご案内します!」
「おいペロル、ナデル」
振り返ったふたりをケールパットが呼び止める。
「なんですか?」
「銃を使えるようにしておけよ。今回は、いつもとは違うんだ」
「は、はいっ」
ふたりは慌てて、腰のポケットの中にある小型拳銃を取り出し、確認する。拳銃など、当然訓練でしか撃ったことはない。それも数回程度。
「なにか見つけても不用意に飛び出すな。慎重さが大事だ」
「わかりました!」
ふたりの声が揃う。
ケールパットの指示は的確だが、このふたりは本当に新人のようだとレーナは思う。
「急ごうレーナ隊長。時間は俺たちの味方じゃないんだ」
「あぁ、そうしよう。ペロル、ナデル、頼む」
「はい! 行きます!」
ペロルとナデルは、かつてない緊張感を覚えていたが、なにか役に立てるのではないかという思いも少なからずあった。
お守りシスターズの活躍の行方は次話にご期待ください!!
宇宙艦隊オッパリオンはまだまだ元気に連載中です。
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