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宇宙艦隊オッパリオン  作者: 桐生スケキヨとYOM
【第2部】【第7章】宇宙艦隊オッパリオン「王の軌跡編」
456/463

【第7章】宇宙艦隊オッパリオン446話「お守りシスターズ」

宇宙艦隊オッパリオン第446話の更新です!!


本日のオッパリオンは惑星ラメルでの一幕。

新たなる力、そして星。

ラメルのスーパーアイドルとなったボタンを支える二つの星は、どんな物語を紡ぐのか?

テロリズムと戦う為に立ち上がった異星人達。

ワンコニー星人の双子は、未来へ向かい走り始める。

【四四六 お守りシスターズ】


「曲終わりまで一八〇秒!」

「ステージ換装用意急いで!」


 ボタンのステージの裏側では華やかな表舞台とは違い、秒単位で動く裏方たちの喧噪があった。

 そんな中、垂れ耳を持つワンコニー星人のひとりは壁に背中を預けていた。見た目は子どものように幼いが、これでも立派な成人のワンコニー星人であった。

 腕には「専属警備」の腕章がある。これはボタン専属警備という意味であり、文字通り、ボタンの専属警備を行う警備員だった。


「うんうん、今回も盛況無事に終わるっ」


 壁との間で尻尾を振っていると、ひときわ大きいバタバタという足音が聞こえ、垂れていた耳がぴくりと動く。


「大変大変! ナデルちゃーん! 大変だよー!」


 自分の名前を大声で呼びながら走ってくるのは双子の姉、ペロルだった。


「ペロルお姉ちゃん! 大声出したらまた怒られるよ!」

「はっ!? そうだった! でも大変なことになってる!」


 ペロルの慌てまくった様子を見るに、またなにか怒られるようなことをしたのだとナデルは思った。


「今度はなにをやらかしたの? だれに謝ればいいの?」

「ちがーう! わたしじゃないよ! ちょっと耳貸して!」

「はい、どうぞ」


 ナデルが頭を向けると、ペロルは耳を持ち上げてこそっとささやく。


「この会場に爆弾が仕掛けられたんだって。しかも、テロリストも潜入しているんだって!」

「えぇええーっ!?」


 ナデルが大声で叫ぶと、舞台裏にいたスタッフの睨むような視線が向いてくる。

 ナデルとペロルは小さく頭を下げて謝罪を伝えた。それを見たスタッフはこんなことをしている場合ではないと、またそれぞれの仕事を再開する。


「お姉ちゃんそれ本当なの!? わたしたちにはなんの連絡もないのに!」


 ナデルは興奮した様子で、でも声を押し殺して言う。


「さっき外で警備の人が話しているのを聞いたから本当だよ」

「その情報源信用できるの?」

「できるよー! わたしが聞いてきたことに間違いってあった?」

「あったよ! 昨日も集合時間間違えたでしょ! ペロルお姉ちゃんの言うことは信じられない!」

「信じてよー! だって外にオッパリオンの機動兵器も降りて来たのを見たんだよ!」

「オッパリオンの機動兵器と爆弾になんの関係があるのよ! オッパリオンの皇女殿下がお見えになるのだから機動兵器が来てもおかしくないよ」

「あ、そうか……じゃあやっぱり爆弾なんてないのかな」


 そう言っていると、ふたりが持っている無線機が声を発する。


『警備本部より専属警備に通達事項』

「ペロルです」

「ナデルです」

『警備会場内に爆発物設置の疑いあり。なお、危険人物の侵入も危惧される。警戒するよう』

「えぇええーっ!?」


 ふたりはまた大声をあげ、また周囲から痛い視線を受け、また謝罪に頭をさげた。


「本当だった! どうしようペロルお姉ちゃん!?」

「ご主人様を早く安全なところに隠すのよ!」


 そう言ってペロルはいきなりボタンが歌っているステージに飛び出して行こうとした。


「待って!」

「ぎゃんっ!?


 ナデルはペロルの尻尾を掴んでそれをとめる。


「なにすんのよ!」

「ステージに出てきたら尻尾切るってご主人様言ってた忘れたの!?」

「そ、そうだった!」

「待ちましょう!」


 ステージへ続く階段前で、ふたりはジッと待つ。すると。


「曲終わり五……四……三……二……一……ボタンさん戻ります!」


 そのスタッフの声と同時、ステージからボタンが戻ってくる。


「ご主人様!」


 ふたりは同時に声をかける。


「どうしたの? 急いで伝えて。八〇秒しかないから」


 ふたりのご主人様――ボタンは水のボトルに口をつけながら言う。


「あのっ、会場に爆弾が仕掛けられてテロリストも侵入しているそうです!」

「安全な場所に逃げましょう!」


 ペロルに続いてナデルが早くにそう言うと、ボタンはにやっとした。


「それはできないわ。主催から中止の判断はでていない」

「そんなー!」

「危険ですー!」

「危険が起こったらそれをなんとかするのがあなたたちの仕事よ。そのための警備でしょう? そして、わたしの仕事は歌い抜くこと、皇女殿下皇太子殿下の歓待セレモニーの一環としてのステージを完成させることよ」

「曲開始一〇秒前!」

「行ってくるわ。こっちのことは頼んだからね、ペロル、ナデル。お守りシスターズはペットじゃないんだからね」


 そう言ってボタンは水の入ったボトルを放り投げ、ステージへと戻っていく。すぐに歌声が聞こえはじめる。

 残されたふたりは唖然としていたが、ペロルが震える声で言う。


「聞いたナデルちゃん」

「き、聞いた……お守りシスターズはペットじゃないって!」


 このふたりは専属警備ということからボタンにお守りシスターズと言われていた。が、今まで役立ったことがなかったため、周囲スタッフからはボタンのペットと揶揄されていた。


「これは活躍して来いって意味だよ!」


 ペロルは興奮していた。ナデルも興奮する。


「わたしもそう思う! どうしよう!?」

「ケールパット主任に聞いて、現場のお手伝いに行こう」

「手伝わせてくれるかな?」

「わたしたちだってちゃんと訓練を受けた警備員だよ? ペットじゃないってことを、今日こそ見せてやろう。緊急時だから生体通信を使おう」

「う、うん――」


 ペロルとナデルは生体通信をオンにする。


「ペロルです」

「ナデルです」

『馬鹿野郎! ステージ裏で生体通信なんて使うな! ステージ音響にノイズが入ったらどうする!』


 すぐに返ってきたのはケールパットの怒声だった。


「し、失礼しましたーっ!」


 ふたりはものすごい勢いでステージ裏から通路へと飛び出る。防壁を閉じることで、ノイズは入らなくなる。


「ペロルです」

「ナデルです」

『こっちは忙しい。お守りシスターズがなんの用だ?』

「わたしたちも爆弾捜査に加えてください?」

『これはお遊戯じゃないんだ。オッパリオンの皇女親衛隊も協力してくれていた、人員は間に合ってる。そこで尻尾の手入れでもしてろ』

「えぇーっ!?」


 ふたりは同時に驚きの声をあげる。


「皇女親衛隊だってよナデルちゃん!」

「すごい! かっこいい!」

「ケールパット主任! お願いです! その親衛隊さんたちと一緒に捜査をさせてください!」

「お願いします!」

『おまえたち話を聞いてなかったのか? ん? あ、あぁ、専属警備の……え、本当か? わかった、そう言うのなら……おい、お守りシスターズ、回線にオッパリオン親衛隊長のレーナ隊長が入る』

「えぇーっ!?」

「っつ、いちいちうるさい双子だ。レーナ隊長、音量を絞って通信するといい」

『こちらオッパリオン皇女親衛隊、隊長のレーナだ』

「専属警備のペロルです!」

「同じく専属警備のナデルです!」

『ふたりともこの施設の地理は詳しいか?』

「それはもちろん!」

「毎日のお散歩は欠かせません!」

『そうか。それなら、ふたりには親衛隊の隊員と同行して道案内を頼みたい。協力してもらえるか?』


 ペロルとナデルは輝いた瞳を向け合った。そして返事の言葉が出る前に何度も頷く。


「も、も、もちろんです!」

「協力させてください!」

『感謝する。では隊員とは十二番ホール係員入り口裏で合流してほしい。急げるか?』

「わかりました! ワンコニー星人足は速いです!」

「迷わずにすぐ迎えます!」

『わかった、よろしく頼む』


 レーナの言葉で通信が切れた。

 ペロルとナデルは思わずその場でぴょんぴょん跳ね出した。


「任務だ!」

「仕事だ!」

「行こうナデルちゃん!」

「行こうペロルお姉ちゃん!」

「行くぞー!」

「急げー!」


 ふたりはものすごい早さで、レーナに指定された場所へと向かった。


ちょっと頭が弱そうなワンコニー星人のペロルとナデルの登場回でした。

この二人がボタンと共に活躍する未来はあるのか!?

翔平が眠り続けるこの宇宙で、新たなる火種が燻ぶる。

再びの戦いは近いか!?


桐生スケキヨ次回予告。

親衛隊の任務に合流するお守りシスターズ!

その実力は果たして……本当に大丈夫なのか!?

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