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1ー3 : プリンセス、闇の扉を開ける



  ◇◆◇


 


 乙女の目の前にカードが浮かぶ。



 No.000

 ーーーーーーーーーーーーーー

 サーユ / エキドナ /

 ーーーーーーーーーーーーーー

 人族♀ / 低級 姫Ⅰ / タイプ 闇/


 戦闘力 1 / 魔法力 0+690 / 

 ーーーーーーーーーーーーーー


 身長:146 cm / 体重:46 kg

 装備:魔法の扇


 エキドナ国、第9プリンセス。

 一族の中で、一番小さく・弱く・非力。

 逃げ足は世界で一番・素早い。


 13歳なのに、支援魔法のプロフェッショナル。


 悪魔のウワサ……いざというときの勇気と腹黒は、無限の可能性を秘めているらしいヨ!

 ーーーーーーーーーーーーーー



 カードに新しい情報、支援魔法のプロフェッショナルという記述が記載される。



「……このカードは、私だ」




 ステータス魔法は、自分をそのまま、真似する魔法だ。


 しかし、その本質は、その効果でなければ、それによって生まれる情報アドバンテージでもない。




「……自分の心を、簡単に見える形で表現できることなんだ。」


 カードを大切に抱きしめるプリンセス。


 この「自分の」カードを、お互いに使って、名刺のように交換して、相手のことを深く理解できれば!



 相手の立場に立てる。



 それでもし、魔物や悪魔の考えていることが、人間の言葉と同じようにわかれば、共感もできる。

 共感ができれば、友達になれる。


 もし敵である彼らと、友達になってしまったら。


 友達になれて、しまったら。


 悪魔との戦いに意味がなくなり、戦争を終わらせることが出来る!



 悪魔を滅ぼす最強の万能魔法、それは!



攻撃魔法ではなく、ただ「友達を創る」という、日陰の支援魔法だったのだ!




「……これで、私は明日、戦争を終わらせることが出来る、」



 攻撃魔法の使えない、勇者になれない支援魔法の使い手の私が、主人公になれる!



「……影の私でも、光の当たる場所に!」



 が!



 プリンセスが、顔をあげたその瞬間!


 ガタンと図書館のドアが開いた。


 少女が振り返えると、そこには、攻撃魔法を覚えるよう命じた、あの勇者がいた。



「キサマ! その魔法は、一体なんだ!?」

 

 勇者は、叫んだ。


 その顔に浮かんでいたものは、好奇心でも、正義でもなんでもなく、ただの見栄とプライド、そしてエゴだった。



「……まさか、最初から盗撮魔法、かけていたの!?」


 勇者の体は、ぶるぶると震えていた。

 その顔にあるのは、正義の顔ではなく、地位や名誉の保身のために動く獣の顔だった。


 それを見て、プリンセスは、自分が失敗したことを悟った。




 悪魔とお話しして、友達になり、戦争をやめたら、やめてしまったら。



 ……悪魔を殺して戦争で利益を得ていた人は、職も、名誉も、何もかも失う。



 それどころか、世の冒険者や勇者たちは「友だち」を殺した、大量殺戮の戦争犯罪者になってしまう……


 そんなやつに、この魔法が見つかれば……私の命は――




 勇者は、警報魔法を発動して、お城の衛兵を呼んだ。


「こいつはサタンだ! 捕らえろ!」



 

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