貸したお金が返って来なくて司法書士を活用した話
親戚にお金を貸したら借りパクされそうになったので、司法書士を活用してみた話を綴ります。
まず、経緯から入っていきましょう。特別なことはなく、普通にメールで金を貸してくれと頼まれました。理由は、離婚したとか詐欺に遭ったとか、それっぽいものが並んでいました。離婚したのは本当だったようですが。
で、2ヶ月後に5万円上乗せして返すと言われて、乗ってしまいました。新しい仕事が見つかったから絶対返せるという、ありがちな決まり文句でしたね。
相手が叔母という比較的近い親戚だったことと、私自身、過去に兄に5万円貸して6万円で返してもらった(初めからこの約束だった)こともあったので、ほぼビジネスのつもりで貸しました。ぶっちゃけ、返って来なかったら裁判でもして人生経験の足しにしようかと思ってた部分もあります。ちなみに貸した額は、正確な数字を載せるのは避けますが、30万円以上50万円以下です。
あと、離婚した夫の実家の土地と家を担保にするとまで言われましたが、これは断りました。私にも実家があるし、行ったこともない場所の土地とかもらっても普通に困る・・・。なお、○○県△△市までは教えてくれましたが、大抵の人が一軒家を構えてそうな田舎です。売れる気もしない・・・。というか、元夫の実家の土地とか簡単に人にあげれるのか? もう別れたんだろ?
しかし「5万円プラスして返済」に乗っかって貸して、案の定、約束の期日を過ぎても返って来ませんでした。一応連絡は取れて、(消した覚えはないのに)もうメールが残ってなかったのですが、「ちょっと急な出費が入ってしまって…」「来月には絶対返します」といった、借りたものを返さない人の常套句が並べてあったと思います。
で、その「来月」の末を迎えても返って来ず、いよいよメールも無視されるようになったので、奪還作戦に乗り出しました。色々調べたところ、司法書士を活用するのがいいという結論に至ったので、また色々と調べて、ホームページの印象で信用できそうな事務所に電話。まずは喫茶店で話を、となりました。(お茶代は向こうの公費もち)
マジでその辺にあるチェーンの喫茶店で、周囲が世間話に花を咲かせるなか、こっちは借金奪還のお話。まずは、印刷してきたメールの文章を見せて経緯を説明。「あ~、これはお金を借りる人がよく使う口説き文句ですね~」とのこと。ですよね~。
そして奪還作戦ですが、まずは相手の住所を突き止めるところから始まります。以前は九州に住んでいた叔母、しかし関東進出したらしく現住所は不明・・・。
ところが、過去5年以内の住所が一箇所でも分かれば、司法書士の資格保持者であれば役所から直接住民票を取得することができ、現住所までの引越しの履歴まで知ることが可能とのこと。すげぇ。
(このお方、司法書士と行政書士の両方の資格を持ってるとのことですが、どっちを活用してのものだったかは忘れました)
九州の方の家には行ったことがあり、マンション名と部屋番号はメモが残っていたので、あとはネット検索でマンションの住所を取得。人にお金を貸す場合、相手の住所は確実に把握しておきましょう。そして、5年以内の住所が分からない相手にはお金を貸すのをやめましょう。というか人にお金を貸すこと自体やめた方がいいですね。
さて、相手の住所が分かりました。借金取りに直接乗り込むのも手ですが、余計なことをして状況が悪化しても困るので引き続き司法書士さんのお世話に。
次の手順は、相手の住所に「内容証明」という文書を送りつけることになります。内容証明というのは、「この人がこの内容の郵便物をその人に出しました」というのを郵便局が証明してくれるタイプの郵便です。
これは、お金を借りたという事実を相手に認めさせるための一手で、もちろん「私はあなたにお金を貸しました」といった内容になるのですが、これを出すことにより、もし裁判になった時に「そんな文書は受け取ってない」「そんなことは書かれてなかった」という主張を封じることができます。
内容証明の原案は、司法書士の方が考えてくれます。送る前に文章案のチェックはできて、こちらがゴーサインを出せば、相手に送りつけるところまでやってくれます。そして準備が整い、いよいよ送りつけようかというところで・・・、
相手からメールが届き、口座にもお金が振り込まれてました。
わーお返って来た。「来月返します!」以来ずっとこっちのメールを無視していたにもかかわらず、突然。
額は、貸した額プラス3万円で、当初の約束には足りないものの、貸した分は返ってきていることから、司法書士さんとも電話で話をして、内容証明は送らずに退こうという結論になりました。
突然お金が返って来たことについては、現住所の住民票を司法書士が取得した事実が自治体から本人に伝えられてビビったのではないかという推測になっています。お金を借りたという自覚はあったようですね。
結局作っただけで使うことのなかった「内容証明」ですが、受け取る側は結構ビビると思います。原稿用紙のように縦書きで1文字ごとにマスがあり、「(相手の現住所) ○○様」に始まり、お金を貸した年月日や返済期日、「○○様より連絡が途絶えたことにより」、「本書到着後7日間以内に」、「やむを得ず法的手続きに移行します」といったことが書かれ、最後に日付と私の住所氏名で締められます。
もちろん相手によってはこれでも解決しないようで、内容証明を送れば確実に取り戻せる訳ではないことは注意しておいた方がいいでしょう。
しかも私は、お金を貸したことを証明する道具は電子メールだけでした。これでは法的効力が弱く、司法書士さんからも借用書を書いた方がいいですねと言われました。
金を貸してくれと言われた時に借用書なんて単語を出すと「血のつながった家族を信用できないのか!」とか言われそうですが、私自身がどういった人間であるかを考えると、同じ血の流れる家族親戚なんて信用できたものではありませんね。友人についても同様。私自身がどういった人間であるかを考えると、気の合う人物であればあるほど信用できるはずがない。私は、「自分の家族や友人には誠実な人しかいないんだ!」と胸を張って言えるほど立派な人間ではありません。
さて、3万円プラスで返ってきましたが、司法書士事務所の費用に7万円近くかかったので結果として赤字です。人生経験とエッセイのネタを買ったと思うことにするしかないですね・・・。裁判や差し押さえまでは経験できませんでしたが、やむなしです。もちろん内容証明では、司法書士を使ったことによる損害金も請求できますよ。(出す前に終わったけど・・・)
もちろん、これ以来、人にお金は貸していません。兄の時のようにプラスになることもありますが、「本当に返ってくるんだろうな」というストレスを抱えること自体がマイナスです。
という訳で今回のまとめ。
・5年以内の住所を知らない相手にはお金を貸さない
・借用書に応じない人にはお金を貸さない
・そもそも人にお金を貸さない
の3本です。みなさん、気を付けましょう。