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超絶エリートの俺が異世界に行くなんて  作者: 吟遊詩人F
冒険と変わりゆく日常
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衝動買い

夜も更けてベッドに入るとシンと無音が広がる、シーツと身体が擦れる音がするだけ。なかなか寝付きが悪く何度も寝返りを打った、3代目のボンボンでも外科医は激務で先週は2日も休めたが、次の休みはいつになるのかと嘆きながら鈴木は目を閉じると眠りについた。


異世界側で目を覚ますと、宿屋の天井が目に入った。鈴木は伸びをすると部屋を出た。室外は昨日よりは湿度は低くなっていたもののあからさまに気温が上がっていた。


「暑い」


涼しい所から出て来たからと言うのもあるだろうがそれだけでは無い。屋外は40度は絶対超えてる暑さだと鈴木は確信していた。その証拠に何もしてなくても汗が滝の様に流れてくる。暑いがとりあえず村の様子を確認すべく宿屋を出た。外はピーカンの晴天、昨日の雨が太陽の光で蒸発し余計暑く感じる。


「地獄だな、暑過ぎるだろ」


鈴木は意を決して外に出た、突き刺さる日射に耐えながら村を見て回る。道具屋に武器屋、宿屋に神託者用の家。民家がチラホラ点在していて小さな集落と言ったところだ、とりあえず道具屋に入ってみる。道具屋の棚は必要最低限の品揃えだが鈴木の目を引くものがあった。


「これは?」


「オキャクサンオメガタカイソレズットツメタイヌノ」


「冷たい布...」


「テクビマクツメタイ、ワキノシタイレルツメタイ」


鈴木が店員に勧められ冷たい布を手首に巻いてみる。


「冷たくて気持ちいい!何これ?」


「コノヌノミズゾクセイフヨ、メズラシイイッピン」


鈴木はこの商品が気に入り道具屋の店主に値段を聞いた。


「ギンカサンジュウマイ」


鈴木は悩んだ、百均で売ってそうなコレに銀貨30枚を支払っていいものか。三人分となると銀貨90枚、先日路銀を無駄遣いするなとアンナに釘を刺されたばかりで昨日の今日では申し訳が立たないと思いつつ、手にはしっかりと冷たい布を三枚握りしめていた。金貨一枚を支払い銀貨10枚を受取り終えると鈴木は口に巻いてみた。


「涼しい〜全然体感温度が違って感じる。これは価値がある。しかも付与による効果だから永続的に使える事を考えたら経済的でいい買い物した!」


鈴木は深夜のTVショッピングで衝動買いした時の様に己の浪費を正当化して自己満足に走った。良い買いものを終え宿屋に帰るとアンナとリーゼはまだ部屋に篭っていた。鈴木はノックをし出発を促すが部屋から出て来ようとしない、どうやら一回は外に出ようと試みたようだが暑過ぎて断念した事を伝えてきた。


「入っていいか?」


「どうぞ」


鈴木が入るとアンナは椅子に腰掛け、リーゼはベッドにうつ伏せになりながらダラダラ寝転がっていた。アンナの装いを見る限り本当に出ようとしていた事は鈴木にも分かった。


「すみません、本当は今日にでも山岳地帯を越える予定でしたがこの暑さは危険レベルですね」


「今日は私、この部屋から一歩も出ませんわよ!」


何故かリーゼは半ギレで鈴木に宣言した。鈴木も強行軍を行い女性陣からの不況を買うのは得策では無い為、寧ろ喜んでその提案を受け入れた。女性陣の部屋を出た鈴木は一旦自室に戻り皮鎧を着てミハイルを携帯し、先程手に入れた冷たい布を手首に巻くとフロントに行き、連泊する為に泣けなしの銀貨15枚を先払いした。


「キョウモウマイモノモッテイク」


「楽しみにしてます」


鈴木は宿屋から出ると村周辺でモンスター狩りを始めた。先立つものが底を尽きかけているので周辺にいるモンスターを片っ端から倒していった。この付近に生息するモンスターは蛾に人間の顔みたいなのが付いてる人面蛾だったり、巨大カマキリや倒すのが躊躇われるワオキツネザルみたいなのまでいた。蛾はミハイルの炎で良く燃えたので数を倒せたが一匹銅貨50枚と渋かった。手こずったのは巨大カマキリ、動きが俊敏で偶に飛ぶので厄介だった。カマキリは一匹銀貨2枚とまあまあの成果だった。サルは見た目が可愛いかったが今まで出会ったモンスターの中で断トツに好戦的で、見た目のギャップで一瞬パニックになりそうになったが襲いかかるサル共をバシバシとミハイルで叩き落としてやった!成果は一匹銅貨30枚しけてやがる。


チャリンチャリン


合計銀貨20枚を手に入れた。鈴木は手に入れた銀貨20枚相当のお金を左手に持ち右手には冷たい布を持って無心に眺めていた。


「もっとだ!まだ今日分の宿泊費しか手に入れられていない。せめて後銀貨20枚は欲しい」


鈴木は希望金額を口に出して、冷たい布を口に巻き直すと炎天下の中で金策に夢中になった。銀貨20枚を手にした時点で既に2時間程経っていたが、更に2時間以上休み無く激しく戦闘した為、鈴木に異変が起きた。喉はカラカラ汗が出てこなくなっていた、目眩がして真っ直ぐ歩けない。


「まはか、だっすひしゅうじよう」


気づいた時には手遅れだった。鈴木はろれつが回らず倒れてしまった、モンスターが遠慮なく目前まで近づいてくるのが、霞んだ視界から見えた。


「うひょだろ、こんなひにはた」


鈴木は意識を失った。

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