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超絶エリートの俺が異世界に行くなんて  作者: 吟遊詩人F
日常と異世界チュートリアル
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初戦

目が覚めると太陽が燦々と照りつける屋外にいた。周りを見渡すと、木造建ての平屋がポツポツと建ており、目の前にはローブを羽織った人間が立っていた。


「よく参られた勇者よ、これからお主は魔王を討伐するのじゃ」


顔は見えないがRPGのテンプレを囁く声は、老人の声だった。


「ここはどこだ?」


「お主の能力は固有スキル 勇者の威風により、常人より力は強いが油断しないように、死んだ場合はデスペナルティが与えられるので注意せよ。魔法スキルの素質は...あまり向いていないようだな。ただ回復系の才能はかなり高い、ホホッ、面白い固有スキルを持っておるな。それがお主を救うであろう。極めたならばまた来るがよい」


そう言った老人の顔はローブで隠れて見えなかったが、チラリと見える口元が笑っていた。


「どうなってる?ここはどこなんだ」


鈴木が老人に話しかけると、先程言っていた事を一言一句違わずに繰り返していた。


「なんなんだ、このボケ老人は!くそっ」


鈴木はある事に気づいた、身体は皮鎧に覆われ、腰には短剣、ポケットにはお金らしきコインが入っていた。


「俺は幻覚でも見ているのか?」


しかし鼻から取り込まれる空気は土臭く、家屋から出てくる煙を吸うと、香ばしい香りが食欲をそそる。とりあえず鈴木は近くにいた村人に話しかけた。


「すいません、ここはどこですか?」


「この村は始まりと終わりの村と言います」


「始まりと終わりの村?」


「はい」


鈴木が混乱していると女性の村人は、心配そうにこちらを窺っていた。


「とりあえずお困りでしたら、村長のベカスさんの家に行ってみてはいかがですか」


女性はにっこりと笑顔で会釈すると、向こうへ歩いて行った。困惑とパニックになりながら、とりあえず村長の家に向かう事にした。


「すいません」


「おお、これは見かけ無い方ですな、どうかされましたか?」


「ここに来れば、助けて頂けると聞きまして」


鈴木の動揺した顔を察した、村長は自宅へと招き入れてくれた。暖かいミルクを飲み終わる頃には、鈴木も少し落ち着きを取り戻していた。


「貴方が何者かはわかりませんが、ここで生活をするのであれば働かなくてはなりません。明日は村の仕事募集を確認をして生活基盤を固めましょう」


「はい」


「元気を出して下さい、生活が安定するまで我が家のあの部屋を使って下さい」


「ありがとうございます」


村長の家の一室に通されたが暑い、何もしていないのに喉が乾いてしまう、クーラーが欲しいと思いつつも、贅沢を言っている場合ではないので、鈴木は村の散歩に出た。村は疎らに人が行き交っていた、寂れたシャッター街くらいの人通りだ。よく見ると飲食店や宿屋だけではなく、武器屋なんてものもあった事に驚いた。とりあえず水飲み場を見つけたいので、近くにいた村人に話を伺った。


「すいません」


「何でしょう?」


「喉が渇いたので水を飲める所はありますか?」


「水でしたら村の井戸が干ばつで枯れているので、南の方に少し離れた川がありますよ」


「ありがとうございます」


鈴木は村人が指差した方角に向かって歩き出した、村を出て間も無く野犬に襲われた。野犬は数匹、体格はドーベルマン程度で目が野生的で恐い、腰の短剣を抜く。


「ガルル」


野犬が威嚇してくる、その唸り声は腹から出ていて危険だと鼓膜を刺激する。次の瞬間一匹が目前に迫っていた、鈴木は必死に短剣を突くと、野犬を見事に討ち取った。素早く短剣を抜くと体が勝手に、残りの野犬に向かっていた、額に一刺し。次々と野犬を退治していく、身体がこんなに軽く感じたのは、初めてで少し驚いたものの、鈴木はすぐに万能感を感じ、野犬を追い払う事に成功した。戦闘を終え血生臭い現場には、野犬の死骸から突如としてコインが現れた。


「なんだこれ?」


鈴木は現れたコインと自分が初めから持っていたコインを見比べると、同じものや類似したものである事が判明した。最初に持っていたのが銀色のコイン50枚、拾ったのは銀色のコイン200枚と銅のコイン100枚だった。


「これ、やっぱり金なのかな?」


鈴木はコインを眺めながら、首を傾げた。

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