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超絶エリートの俺が異世界に行くなんて  作者: 吟遊詩人F
日常と異世界チュートリアル
2/352

始まり

時は遡り30年前


「唯美、行ってくる」


「はい、あなた行ってらっしゃい」


「パパー、バイバイ」


玄関を出て家のドアを閉めると、蒸し暑い日だった。家の中はエアコンが効いていて快適だが、梅雨の時期は、蒸し蒸しして嫌な気持ちになる。しかし車に乗れば大丈夫、国産の高級車は伊達じゃない、家にいるのと変わらない快適さだ。


「んだよ!早く行けよ!」


今日は月曜日ともあって混んでやがる、貧乏人が一人前に車なんかに乗りやがって、お前らの税金は俺達が半分以上払ってやってるんだから、徒歩と電車だけ使ってろよ。そんな事を思いながら勤務している病院に着いた。


「鈴木先生!」


「どうしました?田中看護師長」


「先日運び込まれた患者さんが、大部屋だと眠れないそうなので個室にしてほしいと」


「いいんじゃないですか、個室の費用が払えるなら移ってもらいましょう」


「それが...」


看護師長が言いづらそうにしていると。


「えっ!?まさか払うもの払おうとせずに、そんな事を言っているんですか?これだから貧乏人は嫌なんだ」


「でもあの患者さんは...」


「あのさ、田中さん何年看護師やってんの?クレーマーくらい上手くかわしなよ、別にいいんだよ、部屋代の差額を田中さんが払ってくれるなら。いちいちもって来ないでよ、そんな案件」


鈴木は田中看護師長を睨みつける。


「申し訳ございません」


田中看護師長は足早にその場を後にした。


「はぁー、疲れた」


「鈴木せんせ、今日はどこに連れて行ってくれるんですか?」


「高木か、気持ち悪い声出すなよ」


「気持ち悪いってひどいなー。合コンの女の子用意したの、僕なんですよ」


「わかってる、わかってる。そこそこの店用意しといたから。それよりそっちはどうよ?」


「今回は期待しといて下さい、モデルに某アイドルグループの卒業生が来ます。ちゃんと僕の分の部屋とってくれてますか?」


「どこまで俺に甘えてんだ、お前なんかラブホで十分だろ!」


「ええっ!ひでーっすよ。鈴木先生の悪い遊び、奥さんに言いつけちゃいますよ」


「下らない事言ってないで、早く仕事しろ!」


仕事も終わり、陽が暮れて夜になる。煌びやかな繁華街の中にある、合コン会場に到着すると、鈴木はハイブランドのスーツをビシッと着こなし、当たり障りの無い会話をしながら、上手く女性をもてなし、今回もお持ち帰りに成功したようだ。モテる男はがっつかない、ホテルの部屋に直行するのでは無く、最上階にある見晴らしの素晴らしいバーに連れて行く。


「彼女にカクテルを作ってくれ」


「かしこまりました」


バーテンダーは軽やかにシャカシャカと、カクテルシェーカーを振ると、水色に光るカクテルを、カクテルグラスに注ぎ女性の前に差し出した。


「こんなオシャレなお店に、いつも女の子連れて来てるんですか?」


「そんな事無いよ。ここはお気に入りの店で本当に好きな子としか来ないんだ」


「またまたー」


ホテルの最上階から望む夜景は、美しく夜のライトアップが、宝石の様に様々な色で輝きを放つ。宝箱のような眺望をサカナに美味い酒が進み、2人はホテルの部屋で休む事にした。2人が部屋に入りしばらくすると。


「ねぇ先生」


「ん?」


「先生既婚者でしょ」


「なんでわかった?」


「指輪の日焼け」


「ああ」


「奥さんに罪悪感とか無いの?」


「俺が食わせてやってるんだから文句を言う訳がないだろう」


「最低。。やっぱり大病院の跡取り様って感じね」


「うるさい、消えろ」


「死ねバーカ」


「見た目だけ良くて頭は空っぽ、価値がない」


女性が怒って部屋から出て行くと。


「今日は少し疲れた、ホテルで寝てしまおう」


外は大雨、その日不思議な夢を見た。父親から与えられたのは膨大な教科書と鉄拳制裁。母親から与えられたのはブランドの服や見栄の為だけの学歴。そんな中、ばあちゃんが両親の目を盗んで買ってくれたTVゲーム。隠れてレベル上げをしてたな、そんな世界にそっくりな夢を。

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― 新着の感想 ―
[一言] たかが医者の分際で何を言ってるのかと思うえば。そもそも論として病院として払っていても個人で見知らぬ他人の金を払ってる奴は居ないだろ(笑)
2021/09/12 11:55 退会済み
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