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超絶エリートの俺が異世界に行くなんて  作者: 吟遊詩人F
日常と異世界チュートリアル
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早朝の村にて

一睡もせずに回復魔法の可能性を探し続けた男は蘇生以外の考えうるほとんどを習得した。ただし例外もあり呪いつまり解呪に関しては習得出来なかった。そもそも呪いや怪奇現象の類は通って来なかったので、この世界に呪いがある事もミーシャの神託のお告げの時に知ったばかりで、なんの手がかりもない。ゆくゆく調べていこうと思った鈴木であった。


「さて朝になったし、ちょっくら買い物に行くか」


清々しい朝だ、静かだが鳥がさえずり雲が太陽を覆っている為、暑くない。この世界に来てやっと涼しいと感じる日だ。静寂を破ったのは鉄を打つ音、トンテンカンと小気味良い音が聞こえる。鈴木は鍛冶屋に行くと鎌を買おうとした。


「それなら武器屋に行ってくれ、ここは武具を鍛え直すところだ」


鍛冶屋は店先より道を挟んで向かえにある武器屋を入れ槌で指した。鈴木は武器屋に入ると鎌を一個買った。ついでにお金が貯まったら新しい武器や防具を新調しようと思い、店内を見渡すと樽の中にバーゲン品が入っていた。


「これはお決まりのあれですか!」


鈴木がウキウキしながら樽を覗き込むとお約束の伝説の剣は入っておらず、只の刃こぼれしたジャンク品がまとめられていた。


「ですよねー」


鈴木はほんの少しだけガッカリしたが、そもそもあまり期待していなかったので、すぐに気をとりなおした。次に向かったのが雑貨屋だ。ここには背負子を買いに来た。今回はソロで洞窟に入る為、あと松明とポーション系を買い足した。ミーシャとの冒険を思い出し野営用の香を値は張ったが、必要だと思い買い足した。鈴木はある事を思い出し、村長の家に一度帰るとそのまま魔法書を持って魔法ギルドへと向かった。


「こんにちは」


「こんにちは鈴木さん、まだ1日しか経ってませんがもしかして読み終わっちゃいました?」


「読み終わったというより、回復魔法が使える様になりました」


「またまた、冗談ばかり。僧侶でも長年の修行と教えによって行使出来るようになるんですよ」


「そうは言われましても」


鈴木が説明しても受付の人は全く信じておらず、埒があかないと思ったその時、冒険者と思われる集団が、ギルドに押し寄せて来た。


「助けてくれ!仲間がモンスターにやられた」


「おいっ、しっかりしろ!」


運び込まれた弓使いと思わしき男性はグッタリとして動かない。顔色は血の気が引き紫白くなっていた。処置が遅れれば命に関わるのは明白だった。


「ただいま僧侶、アークビショップは出ております。残念ですが、ここでは処置出来ません」


受付の人が断ると冒険者達は一斉に食って掛かった。


「なんとかしろよ!」


「このままじゃ死んじゃう」


「金なら払う、助けてくれ」


あちらで問答しているのを横目に鈴木が回復魔法のイメージを始める。まず顔色からして毒にかかっている可能性が高い、怪我は正面から刺された様だ。刺した剣に毒でも仕込まれていたか、解毒剤を注射し、輸血、傷の処置である。昨晩から夜通し魔法を使っている為、鈴木は精神力の回復効果のあるスプリットポーションを一気に飲み干すと運び込まれた男性に近づいた。


「おいっお前何してる?」


「あいつ昨日、広場で神託者様に掴みかかろうとした奴だ」


「離れろ!」


冒険者達が叫んでいたが、鈴木の方が近かった為、回復魔法を男性にかけた。男性は優しい光に包まれると、顔色がみるみる戻っていく。最後に抗生物質を飲ませるイメージで締めると男性は意識を取り戻した。


「そんなまさか、本当にたった1日で回復魔法を習得したの?」


「おい!大丈夫か?」


「ああ、ここは?」


受付の人は驚嘆し、冒険者は喜び鈴木に握手した。


「ありがとう、謝礼を払わせてくれ」


飛び込んで来たパーティーの頭目と思わしき男が袋に詰まったお金を差し出してきた。


「お礼はいりませんよ、そんなつもりでした訳ではありません」


「それではこちらの気が済まない、受け取ってくれ」


首領はサイフ袋を鈴木に強引に渡すと再度感謝を伝えた。


「仲間の命を救ってくれた、この恩は必ず返す」


そう言い残し魔法ギルドを出て行った。思わぬ収入があった為、そのサイフ袋を受付の人に渡そうとした。


「それは受け取れません、むしろ返金致します」


「えっ?」


「学費を年間分払って頂きましたが、今回は授業をしていない為、入学費のみです」


「じゃあローンも?」


「もちろん免除です」


鈴木は思わぬ形で大金を手に入れる事となった。

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