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白金貨=金貨100枚

「ミロの魔法は神の祝福、邪悪なお前達に裁きを」


「いつ見てもミロさんの魔法エゲツないわ」


「ねー」


「八つ裂きにしたかった」


ジリジリとフレアバーストが高木に迫る、サウナの中で間近で団扇を扇がれる様な熱が時間と共に上昇する。


我を呼ぶ者は誰ぞ!共に修羅とならん


高木の頭に直接響く声に導かれ、手をフレアバーストに向け命じる。


「消えろ」


フレアバーストは何事も無かった様にあっさりと雲散霧消した。


「へっ?」


「何が起きた?」


「フレアバーストはどこに消えたんだ...」


呆然となる勇者一行だったが、いち早く立ち直ったのは大魔法使い勇者であった。


「手品を使いやがって、ならこれも消せるか?」


大魔法使い勇者が混合魔法を詠唱し魔法を放つ。


「ファイヤミスト!アースニードル!」


次々と放たれる上位魔法だが、高木は言葉も使わず、ただ手を向け意識をするだけで全てを打ち消した。


「ばっ、馬鹿な!何が起こっている」


大魔法使い勇者は勝利を確信していた為、想定外の流れに平常心を無くしてしまった。


「お前の力、存分に使わせて貰うぞ!」


高木が精強な声で命じるとミリスの身体がほんのりと金色に輝いた。


「まさか...」


「ひっ!」


「逃げた方が」


勇者達が逃走を図る前にミリスが一気に大魔法使い勇者との間合いを詰め首を刎ねた。そこからは怒涛のペースで勇者達を全滅させ、討伐軍をミリス一人で蹴散らした。


「戦神だな」


藤色のサラサラとした髪が揺れ、気高き勇姿は神々しく、高木の目に焼き付いた。美しい戦の女神に視線が釘付けになっていると、ミリスが高木の視線に気が付き笑顔で応えた。


「可愛い」


高木は意識せずにポロっと口から出てしまった。勇者達の星金貨を回収した後、全て財産を請求し白金貨5枚を手に入れた。


「カモネギですな」


「カモネギですか?」


「美味しいって事」


高木は莫大なお金をぶん回し、終わりと始まりの村を復興させる行動に出た。近隣の村や街からも大工を集める様に手配し、住居の材木の買付けを村人に依頼した。


「ありがとうございます」


「守護者様、ありがとー」


「おう、父ちゃんと仲良くな」


高木は魔人の子どもと父親に家を建て与える約束をした。村人全員の約束を履行するには、白金貨が後何枚も必要だ。金策せねば。


「守護者様」


「どうしました?ミリスさん」


ミリスが嬉しそうに高木に駆け寄る。


「村人達が子どもが飢えず、家族とまた暮らせる家が出来ると喜んでいます。この様に我々魔人を気にかけて頂いた方は守護者様以外おりません」


ミリスは褐色の肌に白い歯が、また映える笑顔で微笑んだ。可愛い。


「とりあえず金をどんどん作らないと」


「では村を出て魔物を倒しましょう。勇者程の大金は得られませんが、低リスクでお金を手に入れられます」


ミリスに連れられ村の外に出た。空気はカラッカラで湿度が低い、夏なのに少し肌寒く感じる。高木とミリスは村の北東にある密林地帯の魔物をエンカウントする度にお金に変えた。


「きもっ!」


密林には目が三十個あるクモにヌルヌルの肌をした蛇っぽい奴、多種多様な種族のモンスターが出るわ出るわ。しかし高木の絶対庇護が発動しているミリスには全く敵では無かった。


「これくらいで如何でしょうか?」


三時間程密林で狩りを行ったが、金貨三枚に達するくらいだった。


「これだけ戦えば凄い金額でしょ?」


「そうですね、魔物討伐で金貨三枚なら成果としてはかなり良いですよ」


白金貨は金貨100枚相当である事をミリスから聞き、高木は絶望した。


「全然足りないじゃん」


「魔物がドロップする金貨や銀貨で、一日でこれだけ稼げれば十分ですよ」


ミリスは肩を落とした高木を優しく慰めた。


「やっぱり勇者を狩った方が早いなー」


「勇者を倒せるのが特殊ですからね、ハイリスク、ハイリターンです」


高木は足が棒の様になりながらミリス宅に帰宅した。


「お疲れ様です」


「お疲れ様でした」


家に入ると高木とミリスは付き合って間も無い、カップルの様に他人行儀に挨拶して座った。


「しかし白金貨って稼ぐの大変なんですね」


「殆どの人は一生お目にかかれませんよ」


「綺麗だもんなー」


数日後に大工達に渡す予定の白金貨を高木はマジマジと眺める。


「食事の準備を致しますね」


「そんな、ミリスさんも疲れてるでしょうから、僕にも何か出来る事は無いでしょうか?」


高木の提案にミリスはやんわりと断った。


「守護者様は座っていて下さい。守護者様が降臨されて二日で、この村は息を吹き返しました。それだけで私は感謝しきれません」


台所に立ち炊事をする女性の後ろ姿を見れる事は男冥利に尽きる。高木は欲情を感じながら雑念を払う為、村の復興の事を考え瞑想した。


トントントントン


小気味良い包丁とまな板が奏でる音と、スパイシーな香りに集中力を掻き乱されて、チラッチラッと目を開けてミリスの後ろ姿を見てしまう。煩悩マシンと化す寸前に高木はある事に気が付く。


「あのミリスさん」


「はい」


「お風呂はどこにありますか?」


そう体臭がするのだ。別に臭くは無いが風呂に丸二日入って無いとなると自分でも、ん?何か臭うな。なんて思ってしまう、決して臭くは無いけど。

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