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超絶エリートの俺が異世界に行くなんて  作者: 吟遊詩人F
日常と異世界チュートリアル
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墓石に誓う約束

徹夜をして翌日は朝から魔法ギルドに行き、読み終えた魔法書を返却すると、新しい魔法書を受け取った。受付さんはあまりの早さに驚いたが、別の魔法書を5冊ほど貸してくれた。お礼を言いつつ、昨日から日課と決めた、洗濯物の依頼をしてギルドを出た。酒場に行きミーシャを探すが姿が見えない、村をウロウロ歩き回り、半刻ほど探すと小高い丘の上にある、手作りの墓石にミーシャは酒をかけて、何か喋りかけていた。


「.ならず、かた..うつ。ま...ろあ....わたしがみ...だ..つれ...る」


風の音で少し聞き取りづらいが墓の主に話かけているようだ。


「ミーシャさん、ここにいましたか」


鈴木が話かけるもミーシャは振り向かず黙って空を見上げていた。空は高く晴天。日光が強く暑いが風が時折吹いてくれるのでひどく暑くは無い気候だった。鈴木も黙って空を見上げていると、ミーシャが語り始めた。


「私には為さねばならない事がある、今日でこのクエストを終わらせてパーティーは解散だ。いいね」


ミーシャは契約の更新はせず、今日までにクエストを達成させなければ、明日以降はまた一人で行かなければならなくなる。


「そんな!昨日は村から出ていないのだから、契約は明日まででしょう?」


「昨日私がいなければ死んでたんだ、生きてるんだから儲けもんだろ?とりあえず今日中に終わらせるんだね」


ミーシャは鈴木とすれ違い様でも、目も合わせず足早に丘を降りて行った。ミーシャが話しかけていた墓石を見ると、アンソニーここに眠ると刻まれており、墓石のすぐ側には錆びた剣が一振り地面に刺さって、墓石の前には綺麗な生花と勲章らしき物が飾られていた。まさか恋人の墓石なのかと想像を膨らませながら、急いでミーシャを追う鈴木であった。徹夜明けの寝不足で、眠いのと怠さが容赦なく襲ってくる、軽い吐き気もするが気合いでカバーして、荷物を纏めると村を出た。村を出てしばらくすると人影が現れた。昨日の事もありノラ魔王を警戒しながら近くと。


「オークだね。一人で倒せるかい?」


ミーシャが指差す先にオークと呼ばれる、豚の亜人が立っていた。オークは血の付いたサイフ袋を覗きながらニヤニヤしてほくそ笑んでいる。


「あれを殺すんですか?」


「この辺にいる亜人は夜盗だ。亜人はモンスターよりも知能が付いてる分、厄介だ何を躊躇っているんだい?日和ってたら殺されるのはこっちさ」


ミーシャは親指を立て、ゴーサインを出してくる。鈴木が短剣に手をかけるとオークも臨戦態勢に入った。だがどう見ても人の様な知能と感情的なものを、ヒシヒシと表情から読み取れてしまい鈴木は戦意を失った。オークは警戒しながら林の方へ逃走した。


「あんたやる気あるのかい?」


「あれは人ですよ」


「あんたが今逃したせいで、ここを通る旅人や商人、村人を危険に晒す事になる。覚悟も無い奴が冒険者をするな!迷惑だ」


ミーシャに叱責されると鈴木はとても凹んだ。人にここまで怒られるのはいつ振りだろう、父親に怒られたり叱責を受ける事は日常茶飯事だが、研修医時代や医師になる頃には誰にもそんな事はさせなかった。今この目の前にいる小娘にいいように言われて、怒りを超え恥ずかしく思えてきた。洞窟に向かう途中、鈴木の出番は無かった。出てくるモンスターは全てミーシャが出会い頭に一撃で沈めてしまう為、ミーシャが取り分のお金を拾い終えると、落ちている余りもののコインを拾うという単純作業タイムに入った。


「あのー」


「.....」


鈴木が話しかけてもミーシャは返事をせずにスタスタと先に歩いて行ってしまう。こうなってくると鈴木も逆切れをしだした、わざとミーシャと離れて歩き、モンスターと遭遇した際は連携を取らずに勝手に戦うスタイルを始めた。


「ちょっと強いだけで偉そうにしやがって、ウゼー」


鈴木が聞こえるように独り言を言うと。


「何か文句があるなら目を見て言ってみろ」


「なんでも無いですよ!」


鈴木は投げやりな態度で返事をした。

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