出会い
朝日が昇る。
木々の間から流れる爽やかな風のおかげで俺の気分は最高に良かった。
この調子なら帰りもすぐだなと気になっていた。
まあ、現実は違うんだけどね。
そんなことを思いながら俺はまず川のほうへと足を運ぶ。
「この辺りに……よし水だ」
水を補充しギルドへと向かう。
正規の道をズレることになるがこっちのほうが帰り早いじゃんと俺は思いその道を行くことにした。
「ゼ……ゼ……」
肩で息をする。
正規の道よりも凄く歩きづらく体力の消耗が半端じゃないオマケに下級ではあるがモンスターまでいる始末だ。
ばれない様にそっとそっと俺は歩く。
相手はスライムでもFランクの任務外詰まるところEランクより上ということだ。
ふぅ、なんとか見つからづにすんだなと思っていると途中でこの世界で見たことも聞いたこともない生物に出会った。
「ピァピァ」
と鳴く。
これはもしかして……。
日本での俺の記憶の中でこれによく似たものを見たことがある。
間違いない竜だ。
凄く幼く弱っているが確かに竜だった。
「ピァピァ」
最初聞いたよりも弱った声で鳴いてくる。
ひどく痩せ細っており食べ物を食べてないのだと分かった。
「しー、静かにしてくれ」
この辺りにはモンスターが居る
鳴き声を聞かれて襲われたら俺もお前も大変だ。
そして俺は干し肉を収納箱から取り出すと幼い竜に与えた。
固いかと思ったが流石幼くても竜だ。
干し肉の固い繊維をもろともせず美味しそうに食べる。
「美味しいか?」
俺がそう聞くと幼い竜は「ピァ」と小さな声で返した。
この時にベルのような音が鳴ったと思ったのだがモンスターが来たのでそれどころではなくなり残りの干し肉もすべてあげ俺は速攻でその場から立ち去った。
「ふぅ、びっくりしたな、もうちょっと小さかったら俺が運んで一緒に逃げれたのにな」
幼い竜といえ40~50cmはあったと思うこの幼い体じゃ運べない。
この辺りの魔物だとせいぜいEランク程度だし大丈夫だよな……とおれは不安になりながらもあのキレイな赤色の鱗をした幼い竜の事が忘れられなかった。