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第98話 嫌な貴族


俺達が、気分良く食事を取っている最中、やけに身なりの良い執事のような者が店に入ってきた。



『いらっしゃいませ、お一人様ですか?』


『いいや、私は、客ではない、お前を私の主人が、いたく気に入ってな食事を共にしたいと、おっしゃられておるので、同行願いたいのだが』


『す すみません、今は、仕事中なので、申し訳ありません』



犬耳の可愛い定員さんは、酷く怯えながら話をしていた。



『そんな些細な事は、どうでも良い、さあ来て貰おうか』



執事のような男は、強引に定員の腕を取り、引っ張っていこうとする、その時点で俺の怒りが沸々と湧き上がって来ていたのだが、それはメンバーも同じようだったみたいで、なんとか自制できた。


今まさに店から連れていかれようとしたとき店主のような男性が出て来て、間に入る。



『す すみませんお客さん、その子は、従業員でして連れていかれると困るんですよ』


『ほほ~ 貴様、私達に逆らうと言うのか?』


『いえいえ、めっそうもありません、今日の所は、どうかこれで、ご勘弁願えませんか?』



店主は、お金が入った小袋を執事に渡そうとしながら、必死に訴えかけていた。



『貴様、そんなはした金で、我が主が納得すると思うのか、いい加減にしろ』



執事は、店主が用意したお金が入った小袋を地面へ投げつけ怒声を上げていた。


店主は、犬耳の定員と土下座をしながら、何とか勘弁願えるようにと地面に顔を擦り付けながら懇願していた。


そこに、更に身なりの良い、どうみても貴族のような男が護衛を引き連れて店へ入ってきた。


ろくに運動もしたことがないような太った体型で実に、偉そうな太々しい顔をしている。



『ええい、お前何をしている、あまりに遅いので来てしまったではないか、役立たずが』


『申し訳ございません、ここの店主が、愚図りまして』


『おい店主、私は、子爵家のガス・ゴーニュだ、そこの定員は連れて行くぞ、良いな?』



威張り散らしている貴族が、さも当然のように定員の腕を掴み連れて行こうとする。


店主は、必死になり土下座をするも無残にも頭を踏み躙られながら、罵られる』



『お前いい加減にしろ、お前達全員斬り殺して店を燃やされたいか?』


『す すみません、どうかご勘弁を』


『ふんっ 最初からそう言えば良いのだ、行くぞ』



貴族は、泣きじゃくる定員を強引に引っ張り店を出て行く。


俺達は、<パーティトーク>で店を出るまでは、自制するよう呼びかけ、何とか本当にギリギリで<魔王の威圧>が漏れ出すのが必死に抑えた。



『さて、そろそろ俺達も行こうか、もう無理だ』


『んふふ 私も、もう無理・・・限界よ』


『フーフー ニャアア』


『ワシもだ・・・』


『僕もです、許しませんよ』


『クフフ 皆さん殺しちゃ駄目ですよ』



俺達は、店主を宥めながら食事代を支払い店を後にする。


貴族は、護衛を4人と執事を1人の計6人だった俺達は、誰にも悟られないように処理するように打ち合わせをし<自然回帰>を発動した。


貴族は、定員を家へ連れ帰ろうとしているのか、段々と貴族街へ向かい歩いて行く、馬車を使ってない所を見ると近くなのだろう。


倒した後処理をするのが、めんどくさいので貴族の家へ着いたときに、定員を救出する算段となり、それまで我慢する事にした。


想像どおり、飲食店から、さほど離れていない豪邸へ入ろうとしたとき、俺達は、動いた、まず護衛のような4人が音もなく倒れる。


何とか殺さずに気絶させられたようだ、怒っている事もあり手加減が大変難しい。



『お おい、どうしたのだ?』


『わ 分かりません、いきなり倒れたのです』



次に執事が音もなく倒れる。



『ドサッ・・・』


『おい、お前までどうしたのだ、誰か誰かおらぬか?』



俺は、貴族の足を思い切り踏みつけた、店主へやった事の仕返しだ、足の甲は思い切り踏みつけたので地面に減り込まんとするほど原型を止めておらず骨は粉々に砕かれているようだった。


貴族は、その痛みのため声も出せずに、その場に倒れた。


その間、ミュウとムーアが定員を抱え、貴族街の入口付近まで連れて行った、おそらく本人には、何が起こったのか分からないだろう。


俺は、足を踏んだだけでは、気が済まなかったので、こいつが店主にやっていたように頭を踏みつけ顔が地面に擦り付けられ血だらけになるぐらい踏んでやった、これでもかなり手緩いが今は、これで勘弁してやることにした。


人が集まってくる前に俺達は、その場を離れ店員が無事、店に帰るのを確認して自宅へ戻ることにした。


自宅へ戻り、皆と相談するためリビングへ集まり今後どうするか相談することにする。



『少し皆と相談したいんだが』


『あの貴族の事よね?』


『ああ俺は、今までも同じような事をしていたのか調べようと思うんだけど』


『そして、同じような事をしていれば潰すってことだな?』


『そんな奴なら、要らないだろう?』


『そうですね、盗賊との違いが分かりませんよね』


『そうニャ、貴族でも容赦する事ないニャ』


『でも、私達がやった事がバレたら、めんどくさい事になりますわ』


『そこなんだが、俺達がやった事は、バレないように動こうか』


『そうね、私達なら、それが出来るわ』


『よし、そうと決まれば皆で調べよう、念のため、あの飲食店にも見張りを2人付けとこうか』


『そっか、彼奴らにしてみれば、定員が居なくなった事を不審がるかもですね』


『私が飲食店の方へ行きますわ』


『家に忍び込むから小柄の者4人で行こうか、じゃオーラとライカが飲食店に行って貰って良いか?』


『分かった、ワシもライカと行ってくる』


『残る4人で、もう一度調べに行こうか、人に聞くことが出来ないから潜入しかないけど』


『分かったわ、じゃ<パーティトーク>で連絡しましょうか』



俺達は、決めた通り二手に分かれて、それぞれの仕事をすることにした。


<自然回帰>のお陰で家に忍び込むのは簡単だった、忍び込んだ4人は、情報を集めるため散開し待機した。


俺が、思い切り足を踏み砕いてやった貴族は、僧侶を呼び<ヒール>を掛けて貰っていたが骨まで粉々に砕いてやったので回復に時間が掛かりそうだった。



『いたっ 痛いわ、もう少し優しくせんか』


『す すみません、もう一度<ヒール>しますね』


『ぐぅぅ ど どうなっておるのだ、全然治らんではないか』


『すみません、かなり骨が砕けており<ハイヒール>じゃないと完全には治らないと思われます』


『ええい、役立たずが、早く<ハイヒール>が出来る僧侶を呼ばぬか』


『は はい、今探しにいかせておりますので、暫くのご辛抱を』


『痛い、痛い、いったい誰がこのようなことをしたのだ、それも早く調べぬか?』


『申し訳ありません、気付いた時には、護衛共々気絶させられておりまして、今手掛かりを探しております』


『そんな役立たずの護衛など今すぐ首にしろ、そしてワシを守れなかったのだ賠償金を請求し一生扱き使え』


『はっ 今すぐに手配を』


『くそう、ワシを誰だと思って居る、許さん絶対に許さんぞ、探し出して八つ裂きにしてくれる』



俺達は、夕方まで潜入し情報を集めたところ、やはり今までも同じような事をしており理不尽な事を繰り返しているのが分かった。


メイド達にあっては、奴隷商人から買われたのではなく、全員無理やり連れて来られたらしい。


幸い、奴隷紋は入れられていないようなので開放するのは容易に出来そうだ。


ミュウが引き出しや金庫を調べた所、不正書類もザクザク出てきた、これも丁寧に伯爵ぐらいに送ってやろう。


さて、こんなクズに時間を掛けるのも勿体ないので、一気に仕留めるか俺は、メイド達を1つの部屋に集めて貰い貴族と執事だけを、もう一度気絶させた。


執事についても調べたが、虎の威を借る狐と言うか、色々と扱き使われていたようだが、こいつも権力を利用して結構好き放題していたようだ、まあつまり同罪だな。


貴族については、治りかけた足をもう一度踏みつけてやった、今度は、逃げられないように両足を粉々にしておく。


どうやら飲食店の定員の事など、もう忘れているみたいだったのでオーラとライカも此方へ呼んだ。


顔を見られないようにメイドを1部屋に集めるのは、大変かなと思ったが、<自然回帰>を発動しているかぎり大丈夫のようだ、魔物にしか使って来なかったが、かなり便利なスキルと言うことが分かった。


次に集めたメイドを開放するため、説明するのだが声を変えるようなスキルがないため、そのままの声で説明することにする。



『手荒なことをして、すみません、しかし安心してください俺達は、メイドさん達に危害を加える気はありませんので話を聞いて貰えますか』


『い いったい貴方達は、誰なのですか?何が目的なのでしょう?』



メイドさんは、全員で8名いたが、その中の代表なんだろうか1人が応対してくれた。



『すみません、先にお聞きしたいのですが貴方達は、無理やり此処で働かされているので、間違いありませんね?』


『・・・はい、私達は、全員無理やり此処へ連れて来られメイドをやらされている者ばかりです』


『見た所、奴隷紋も刻まれてないようですが、どうして逃げなかったのですか?』


『そ それは、彼奴に脅されていたからです、もし逃げれば、必ず探し出し家族も殺すと・・・』


『なるほど、しかし安心してください子爵家のガス・ゴーニュって言いましたか?今日で居なくなるので、もう皆さんは自由になります』


『えっ 助けてくれるのですか?』


『はい、結果的には、そうなります、この後すぐに家に帰れますよ』



8人のメイド達は、大粒の涙を浮かべて喜んでいる、よほど扱き使われていたんだろうと思うと、あの貴族への怒りが、また沸々と湧いてくる。



『それでは、解放したいのですが皆さん1人で家に帰れますか?』


『すみません、私と私の妹は、隣町から此処へ連れて来られたので、徒歩では帰れません』


『なるほど、アラゴスですか?』


『はい、そうです、どうか家に帰れるようにお願いします』


『8人全員に、お金を渡しますので、そのお金で馬車を雇い帰る方法で良いですか?』


『はい、ありがとうございます』


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