第97話 アイテムポーチ作成
ミュウ達が帰って来たからガデラスさんに、お礼を言いリーバイ家を後にする、クロワさんには、素材の確認をして貰うため家に来て貰うことにした。
『すみませんクロワさん』
『いえいえ、お気にせず、商品を見に行くのに、嫌なわけがありませんな、あっはっは』
『んふふ ほんと商人は、逞しいし商売が好きなのね~』
『私など、力もなければ才能もないので商人になるしか、なかったんですよ』
『あはは、あっ 着きましたよ、どうぞ入ってください』
俺は、クロワさんをリビングに通し、ムーアがお茶を入れてくれたので皆に座って話をする。
『それでは、クロワさん素材を見て貰いたいのですが、その前に話としておきたいのですが』
『はい、なんなりと』
『まず、俺達は秘密が多いんですよ、でも流石に完全に秘密を守る事は、非常に困難です』
『付き合いのある方々には、どうしても秘密を共有して貰う事になりますガデラスさんのように』
『私は、商人に誇りを持っています、そこは信用して頂くしかないですな』
『そうですね、そこは信用しています、それでなんですがクロワさんのカバンを貸して貰って良いですか?』
『あっ 中身は取り出しておいてください』
『カバンですか?先ほども言いましたが、譲れませんぞ?』
『あはは、ちゃんとお返ししますよ』
俺は、クロワさんに無理を言ってカバンを借り受ける。
『オーラ、ライカ限界まで頼みたいんだが』
『ああ、なるほどな、限界まで広げるなら全員でやろうか』
『分かった、皆頼む』
『『『『了解!!!』』』』
そう、俺達は、クロワさんのカバンをアイテムポーチにするために今、力を使っている、俺達が今まで取ってきた素材は、膨大な量になるため普通の方法では、目立ちすぎるためだ。
俺達の秘密を守るためにクロワさんに頼むにしても、流石に無理が出てしまう、かといって俺達がアイテムポーチを作れる事を知られる訳にもいかなかったため、ここに着くまで言えなかった。
今の俺達が出来る限界までアイテムポーチ内の容量を広げ、ライカをメインにアイテムポーチに時間停止を掛けた、容量を限界まで増やしたせいか時間停止にも苦労した。
ランク上げをしていなかったら、ここまでの物は作れなかっただろう、しかし6人がかりで大容量のアイテムポーチをついに作り上げた。
『よし、皆ありがとう』
『クロワさん、ありがとうございました、お返ししますね』
『私のカバンで、いったいなにを?』
『あはは、後で分かりますよ、すみませんが地下までご足労願って良いですか』
俺は、今まで取ってきた素材の量を考えると、とても此処では、出せないので広さのある地下へ皆と向かった。
『では、素材を出していきますので見て頂けますか?』
『えっ あ あの素材を出すと言っても、いったいどこにあるのですか?』
『あはは、今出しますよ』
俺は、過去に取ってきた魔物素材から採掘素材の売っても良い物だけ、皆と相談し既に分けていたので順番に取り出していく。
トロール
キングトロール
火ネズミ
火ウサギ
ファイアグリズリー
ラヴァサーペント
ラヴァタイガー
ハーピー
クイーンハーピー
ケルピー
スカイケルピー
マウントラヴァタートル
ミラージュバード
コカトリス
ツインヘッドクロコダイル
ギガントフロッグ
サンダーディーア
グランドヒポポ
最近取ったやつだけでも、結構な量になる、取り出していくうちにクロワさんの口が段々大きく開いていく、まあ普通驚くよな・・・
『大体こんなものですね、どうですかクロワさん』
『・・・・・・・・・・・』
あれっ クロワさんの意識が、どこかへ飛んでいるようだ見つめているのが素材なのか虚空なのかが分からない。
『あっ す すみません、それよりもこの量が入るとは、アイテムポーチいや、<アイテムBOX>ですか』
『そ それに、この素材コンパスとオリオンのダンジョンの素材しかも異常種ばかり・・・』
『高額で取引されているラヴァーサーペントの皮が、こんなにも・・・』
『マウントラヴァタートル、サンダーディーア、グランドヒポポ・・・全て異常種とは、いったいどれぐらいの値が付くのか』
『ど どうやってここまでの・・・』
『全部俺達が倒しました、その中で売っても良い物だけ出してます』
『・・・なるほど、私は、ガデラス様やクオン殿の話が、やっと分かりましたよ、確かにこれでは話どおり、いや話以上だ』
『し しかし、まさか、ここまでとは、何故、私の様な店も持たない様な者に?』
『俺達が信用できる人達は、数えるほどしかいないんですよ』
『俺達が、大手の商店に個人でこれを市場に出せば、どうなると思います?』
『なるほど、まず私を信用してくれた事に感謝します、これは、私の人生を掛けた商売になりそうですよ』
『あっ クロワさん勘違いしないでください、これは、現時点での素材です、これからは、もっと増えると思いますので』
『・・・ふふふ あっははは 良いでしょう私の人生の中でも、こんなに震えるほど嬉しい事は、ありませんよ私の全力を掛けて捌かせて貰います』
『では、収納して頂けますか?俺達も手伝いますよ』
『ちょ ちょっと待って下さい、いくらなんでも、この量では、数十回に分けて運び出さないと』
『ニャハハ クロワさんのカバンに入れるニャ、そのために頑張ったニャ』
『んふふ 騙されたと思って、入れて見て』
クロワさんは、目を白黒させながら、カバンを広げてカバンの何倍もある素材を収納する。
『なっ なっ アイテムポーチですと、まさかアイテムポーチが作れるとは』
俺達は、皆でクロワさんのカバンへ素材を全て収納した。
『・・・・・・いやはや、私は、もう一生分は驚きましたぞ』
『そのカバンの性能がバレただけでクロワさんは、狙われるでしょうから十分気を付けて下さい』
『し しかし、こんな高価な物をお借りする訳には』
『あはは、本当に期待どおりですねクロワさん、そのカバンは譲らないのでしょう?俺達は、クロワさんのカバンを少し改造しただけですよ』
『ふふふ、不思議な事を聞くと思ったら、この布石でしたか、あはは こりゃー参りましたな』
『それと、もし理不尽な輩に、絡まれるような事があれば俺達へ連絡してください』
『後は、この指輪を常にしといてください、<敏捷強化><HP回復>が付与されてます』
『次は、このシルバーリングを、これは、<即死防御(1回)>が付与されてます』
『これも、あげるニャ、シャツだけど、防御力が凄く高いニャ』
『クロワさん、何かあればとりあえず逃げて下さい、このアイテムが役立つと思います』
『これは、何といって良いか・・・致れり尽くせりですな』
『ああ、そうだ大事なことを言い忘れてました、そのカバンには、時間停止を掛けています、クロワさんなら、その意味が分かりますよね?』
『い いったい、貴方達は、何者なんですか?』
『えっ 冒険者ですよ?』
『ふふふ このカバンだけでも商人にとっては、夢の様なアイテムなのに、それを無償で貸して頂き、高価な商品の数々を預けて貰い、私の保身まで考慮してくれる方が只の冒険者と言うのですか?』
『ふふふ、公爵家いや、王族でも無理かもしれませんぞ』
『俺達の秘密を守って貰いながら、素材の買取をしてくれ、その上マジックアイテムまで考慮して貰うんですよ、そりゃー俺達も出来る限りのことはしますよ』
『あはは、その出来る限りの事が、デカすぎるとは思いますが』
『それに1つ疑問があるのですが、魔物素材の中で食材が何もありませんな、最初は、腐るからと思いましたが、時間停止も掛けて貰っている所、そうでは無さそうですね』
『あはは、リーダーは、食材は売らないんです、全部僕達で食べちゃうから』
『んふふ そうねクオンは、美味しい物が大好きだもんね、お陰で私達も、嬉しいんだけど』
『クロワさんも、リーダーの料理一度でも食べたら、全財産投げうってでも、また食べたくなるわよ』
『あはは、御冗談を』
何故か、俺以外の者達が、クロワさんをジッと見る。
『じょ 冗談では、無さそうですな・・・』
『とりあえず俺達からの話は、以上ですね、これから宜しくお願いします』
『私の人生に掛けて、承りました、そして私を信用してくれた事に感謝しますよ』
話が終わると、クロワさんは楽しそうな雰囲気に、何かを決意したような複雑な表情をし帰っていった。
死蔵していた素材も、ようやく買い取って貰える目途が付き、俺達の当面の目的も1つずつ解決していく。
『さて、そろそろ昼だし食事にしようか?』
『ねーねー クオン久しぶりに外食にしない?』
『そういえば、リーダーの食事が美味しすぎて、全然外で食べてませんね』
『うん、面白そうだね、行こう行こう』
ミュウの提案から、俺達は久しぶりに外食に出掛けた、どうせなら初めての店を探して町を練り歩くことにした。
もう結構な期間ここに住んでいるが、こうやってブラブラと店を探しながら歩くのは初めてなので、何か新鮮な気分がした。
いつも歩いている通りから奥へ進んで行くと、家並みも少し高級感が出てきて、中級階級の雰囲気を感じるようなところで1軒飲食店を見つけた。
昼時なのに客は、疎らにしか入っておらず空いているのもあり、ここで食事を取ることにした。
『いらっしゃいませ6名様ですか?』
俺達が近づくと、十代ぐらいの可愛らしい女性が直ぐに出迎えてくれた、ピコッと生えた犬耳がとても可愛い、背が低い事もあり上目遣いで見つめてくる顔も整っており子犬のような愛くるしさがある。
体型も低い身長には、似合わないぐらいの立派な双丘が服の上からでも、その存在を主張しており、そのアンバランス差が逆に良く似合っている。
まさに看板娘って感じだな、この子目当てで通う客も少なからず居るだろうと思うほどだ。
『はい、6人ですいけますか?』
『はい、こちらへどうぞ』
小さ目の尻尾がプルプルと揺れており、笑顔で気持ちよく対応してくれるので、こちらも気分が良くなる。
俺達は、一番奥の席へ座りメニューをみて、それぞれが好きな物注文した、勿論ムーアは、魚料理だ。
しばらく待つと料理が運ばれて来て、味を見てみると非常に美味い、こりゃー良い所を見つけたなと皆と談笑を繰り広げていた。
しかし、久しぶりの外食を気分良く楽しんでいた俺達に、実に嫌な気分にさせられることになる。