第94話 試し斬りと試し撃ち
『じゃ 次は俺いくけど説明は、要らないよね、これです』
俺は、<アイテムBOX>から今回作ったエリクサーを取り出し皆に見せる。
『クオン3本あるみたいだが、それは以前宝箱から出たやつか?』
『いや今回3本作ったんだ、どうせなら<錬金術>ランク10になってから作ろうと思って上げていたら最近まで掛かってね』
『そしたら<オールクリエイター>と<エンハンス>もランク10に、そしていつの間にか<幸運>が<激運>に進化してたせいか』
『1つの「賢者の石」からエリクサーが3本出来たんだよ』
『そういえば、見過ごしていたけど<激運>になってるわね、これって凄いんじゃ・・・』
『ああ、それは、私が<合成>やってたとき「賢者の石」が出たら<幸運>のランクが上がりましたわ』
『そっか、ライカのお陰で上がったのか、しかし<合成>って凄いスキルだったんだな』
『ふあ~ なんやかんやでエリクサーも5本になったのね、「賢者の石」が後1つあるから3本追加出来るのかな』
『いや~ この「賢者の石」なんだけど、何か色々な可能性を秘めた凄い素材みたいなんだよ、だからストックしておこうかと思ってね』
『ふむ、ベクター氏も錬金術の最終地点と言ってたしな、<合成>で作ることが出来たのは僥倖だったな』
『ああ、ライカのお陰だよ』
『クフフ たまたまですわ、面白かったですし』
『ところでオーラも、何かしてたみたいだけど、ほらルームとか言ってたじゃない?』
『ああ、かなり練度が上がったぞ、クオンどうする?』
『うん、お披露目といこうかオーラ』
『よし、<ルーム>!!!』
俺達の目の前に半透明の扉が出現する、扉といっても只の枠なんだが中が見えない、どうやら中に入らないと見えないようだ。
『じゃ 入ってくれ』
『えっ 入ってくれって、オーラこれ入れるの?何なのよ?』
『まあ、入ったら分かるぞ、大丈夫だワシは何度も入ってるので危険はない』
『あはは さあ皆行こうか』
俺達は、オーラを先頭に<ルーム>の中へ入っていく、中は真っ白な世界で、その広さはなんと地平線が見えるほどだった。
『うわ~ 驚いたわオーラここは、何なの?』
『す 凄いです、真っ白で何も無いけど、ここは?』
『ニャー こんな真っ白な所あるんニャ、どこニャ?』
『怖いぐらい真っ白な所ですわね、そして広く何もない、何ですの?』
『フハハ ここは、クオンに依頼されて作っていた人も入れる異空間だ』
『しかし、オーラ凄いな、最初は部屋ぐらいの大きさだったのに、なんて広さだ地平線が見えるぞ』
『ああ、あれからランクが上がる度に広く作れるようになってな今では、御覧の通りだ』
『ここが、クオンの言ってた壮大な計画ってやつなの?そろそろ全貌を教えて欲しいんだけど』
『う~ん、まだ出来るかどうか分からないんだけど、予定でよければ?』
『『『『『予定で良い(ニャ)!!!』』』』』
『あはは じゃ言うけど、俺が今考えている計画ってのは、ここにサークル本部を作ることだ』
『えっ こんな何にもない所に?』
『ああ、今は、まだ何もない』
『クフフ 本部を作る前に、世界を作る訳ですわね』
『『『『えええっ!!!』』』』
『そ それは、確かに壮大な計画だな』
『あはは 驚いたなライカ良く分かったね』
『ちょっと本気なの?』
『ああ、本気だ山があり川があり海がある、緑に溢れた世界を、ここに作り本部を置く』
『『『『『・・・・・・・・・』』』』』
『ク クフフ それは、私の想像以上ですわ』
『な 何て壮大な、し 信じられない』
『く クオン・・・あなたって何て凄い事考えてるのよ』
『ニャハハ 流石リーダーニャ、発想が違うニャ』
『しかし、クオン本当に実現出来るのか?』
『うん、だからまだ分からないって言ったんだよ、でも皆見た事あるだろ?地下なのに世界がある空間を』
『そうか、ダンジョンか』
『あはは、正解』
『俺は、ダンジョンのシステムを解明して此処に太陽のある世界を作るつもりなんだよ』
『『『『『・・・・・・・・・』』』』』
『参った、クオンお前は、凄い!しかし、なんて心躍る計画だ』
『震えましたよ、流石は、リーダー僕はなんて、なんて小さいんだ』
『クフフ 楽しそうですわ♪』
『ニャハハ サークルの世界ニャ、面白いニャ』
『でも確かに、それが実現出来れば凄いわ、私達しか入れないんだもの、何でも出来るわ』
『まあ、俺が本当にしたい事のついでなんだけどね』
『『『『『えっ ま まだあるの?』』』』』
『そ それさえ、ついでなのか・・・』
『もう勘弁して、頭が追い付かないわ』
『あはは またゆっくり話をするよ』
『えっと、ライカは夕食のときで良いかな?』
『クフフ 良いですわ』
『も~ ライカの成果って食べ物なの?全然分からないわ』
『夕食時に発表した方が効果的だよ』
『よし、じゃさっそく訓練に行こうか』
『課題は、新装備に馴染む事、<ウィング>、<魔王の威圧>だ、』
『シンクロの練習もなんだけど、これは、数日掛けないとだからね』
『それなら人の居ない所へ行かないとですね』
『ん~ 私は、心当たりないけど、どこにする?』
『そんなときは、<マップ><サーチ>だよ』
『なるほど、人が居ない所を探すわけだ、本当に万能だな』
『そうだね、本当に助かってるよ、じゃやってみるね』
『『<マップオープン>人が居ない所を<サーチ>』
ブンッ!!っと音を立て目の前に<マップウィンドウが出現する。
『うわ~ すっごい範囲広がってるじゃない』
『えっ こ これ広いなんてものじゃないですよ、どこまで検索出来るんですか』
『ミュウと出会ったエルドラの町ぐらいは、余裕で入るよ』
『ニャー 凄いニャ、これならかなり広範囲に探せるニャ』
『おっ そんなに遠くない所に、良さそうな所があるね、行って見ようか』
『『『『『了解!!!』』』』』
本当は、<ウィング>で飛んでいきたい所だが、その<ウィング>の練習に行くのが、歯痒い所だな・・・
そして、走る、うん走るしかないよね・・・そろそろ馬車が欲しいな。
よし、作ろうロックと相談しよう。
『ここら辺かな?』
『はい、魔物と小動物は居ますけど人は居ませんね』
<マップ><サーチ>だけに頼らず<感知之極>でも反応は、無かったので此処なら安心して練習出来そうだ。
飛ぶことを考えて、背の高い木々があり、また武器を試す為に少し開けた場所を選んだ。
『リーダー何からやるニャ?』
『優先順位の高い装備から、やろうか』
『僕、試し切り用の的を作って来ましたよ』
ロックは、人型の的を6体だして並べてくれた。
『この人型は、今まで武器防具で使っていたダマスカス鋼を使い<付与術>で<硬度強化>を掛けています』
『僕のランクも上がっている事から、今までの装備より確実に硬いです』
『ありがとう、ロック用意が良いな』
『えへへ 僕も試したくて試したくて』
『じゃ、順番に溜めそうか、技とかじゃなくて、最初は軽くやろう』
『ライカから行こうか』
『分かりましたわ、軽くですね』
ライカは、ファントムデスサイズを、確かめるように素振りをした、すると風を切り裂く鋭い音が鳴り響く。
『ヒュン ヒュヒュヒュン』
『くふふ 気持ち良い、なんて気持ち良い武器なのかしら』
『行きますわ♪』
ライカが的へ近づいて行くに連れてファントムデスサイズが淡く青い光に包まれていく、半透明に輝くファントムデスサイズは、幻想的にすら見える。
『ヒュン ポト・・・』
『『『『『えっ』』』』』
『あれ・・・切れましたわ』
『どうだったライカ?』
『どうって、素振りと感触が変わりませんわ』
『『『『『・・・・・・・』』』』』
『そんなにか・・・ロック凄まじいなアダマンタイト』
『ええ、僕も驚いてます、あの的すっごく硬いんですよ、なのに感触すら無いなんて』
『オーラ、ライカの的に<ライトシールド>掛けてくれライカもう一度行こうか』
『分かった、3重にして硬めにしよう』
『分かったわ』
今度は、3重<ライトシールド>付きで、やって貰うことにする。
『行きますわ』
『ヒュヒュヒュン ボトトッ』
『なっ フハハ <ライトシールド>も紙のようだな』
『ロック凄い物作ったな』
『はい、感無量です』
俺達は、順番に新しい武器の試し斬りをしていったが、どれも感触が無かった凄まじい武器だ。
ロックのジャイアントインパクトのときは、凄まじい轟音で的が弾け飛ぶと予想していたにも関わらず、音がしなかった。
固定していないダマスカス鋼の的が、ジャイアントインパクトの形に削ぎ落されている、いったいどれほどの破壊力があれば、こうなるのか・・・
ミュウの的は、既に無くなっている、軽く振ったにも関わらず、その凄まじいスピードで切り刻まれた。
『気持ち良い、すっごく気持ち良いわ、最高の武器よロック』
『ありがとう、でも予想通り手加減は、不可能だね』
『じゃ、次は、防具のテストニャ、皆の洋服に使ったやつと同じ奴を持ってきたニャ』
ムーアは、的に服を被せてきた。
『準備出来たニャ、皆の防具と同じように<コクーン><硬度強化>を掛けてあるニャ』
『なるほど、じゃまたライカから行こうか』
『分かりましたわ』
ライカは、一度目と同じような攻撃を放つ。
『キンッ キキキンッ』
『クフフ 流石ですわ、ムーアこの武器を防ぎきるとは』
それから、全員試していったが、流石に最後の方では、糸が解れて来たが強度については、十分だろう。
ロックが試したときには、的は吹き飛んだが服は無事だった。
『しかし、ムーア魔糸とアダマンタイトの融合なんて、どうやったんだ?』
『ニャハハ 苦労したニャ、今説明するのは難しいニャ』
『なるほど、俺達は、攻守共に今までとは、比べ物にならない力を手に入れたみたいだな』
『では、最後にオーラの盾を試しましょうか』
『うむ、頼む、以前に比べてかなりシャープになっているが、杭が無いようなのだが』
『はい、盾も一新されました、意識的に盾に魔力を通してみてください』
『こ こうか?』
オーラが盾に魔力を流すと、光と半透明になるだけではなく、一瞬で大盾が現れた。
『おお、これは、便利だな、しかも半透明なので視界的にも邪魔にならん』
『同じような要領で、靴に魔力を流すとスパイクが出るようになっているので固定するときは調整してください』
『盾を試す為に質量が欲しかったので、大き目の鉄球を用意しました、これを僕が投げますね』
『分かった、では頼む』
ロックは、大きな鉄球を軽々と持ち上げ、オーラ目掛けて投げた、それは、信じられないようなスピードで飛んでいきオーラに当たるが、驚く事に鉄球が半球状になり地面へ落ちた。
『ロックのパワーも凄いが、その分なら盾でも攻撃出来そうだな』
『ああ、今程度なら、スパイクも無くても良さそうだ』
『これも、凄いな、ありがとうロック礼を言う』
『えへへ ありがとう、大体の説明は、全員にしましたから、後は、慣れるだけですね』