第91話 大錬金術師 ベクター
それぞれの者が、着実に成果を上げながら3日立ち、待っていたロアさんからの連絡が来る。
『ふむふむ、明日の朝から時間を取ってくれるらしいよ』
『『『『『おお~ パチパチパチ!!!』』』』』
『でも、エリクサーの事なんて、ヒントだけでも教えてくれるかな?』
『それは、分からないけど駄目で元々だからね、それに久しぶりに会いたいのもあるし』
『それと、今日で3日目だけど、何か進展あったかな?』
『ふふふ(ニャニャニャ)』
『おっ ロック組に進展ありか?』
『ロック組って、聞いてください、ついにアダマンタイトのインゴットが出来ました!!!』
『『『『おお~ パチパチパチ!!!』』』』
『頑張ったニャー』
『見て下さい、これです!!!』
『『『『・・・・・・・・・・』』』』
『えっと、何て言うか、小さいね・・・』
『・・・はい、あれから一生懸命、原初の炎で冶金術頑張ったんですが、ようやくこれだけ・・・』
『でも、これでも、すっごい苦労したニャー』
『ほほ~ やはり幻の鉱石だけあって、一筋縄では、いかないようだね』
『でも見ていてください、少し魔力を込めて見ますね』
ロックは、言った通りカードサイズのアダマンタイトのインゴットに魔力を通すと、アダマンタイトの鉱石場で見たような淡く青い光が部屋の中を包み込んだ。
そしてインゴットは、半透明になり存在しているのか、幻なのか分からないような向こう側まで透けて見えるようなインゴットになった。
『おお~ これは、不思議な現象だな』
『綺麗ね~ 青く光りながら透けて見えるわ』
『これが、幻の金属、アダマンタイトなんですね、感動しましたわ』
『まさに、青幻!ブルーファントムって、言ったところか』
『頑張ったなロック、ムーア』
『えへへ 照れますね、でもまだまだです』
『ニャハハ そうニャ、頑張ってハサミ作るニャ、あたいは、そこからスタートニャ』
『んふふ そう言いながら、<裁縫術>のランクも、かなり上がってきたじゃない』
『当然ニャ、ロックを手伝いながら、あたいも頑張るニャ』
『ここまで、これたのもムーアの手伝いや皆のランク上げの、お陰ですよ』
『んふふ 私もロックのお陰で、新魔法作りやすくなってるし』
『あたいも、ロックのお陰で、<裁縫術>上げれるし』
『まあ、皆お互い様だよ』
『明日は、大錬金術師ベクターに会うのか、クオンと知り合ってから、驚きの連続だな』
『ニャハハ 全くニャ』
『私も知ってたんだけど、会っても分かんなかったわ、だってそんな有名人に会うなんて思わなかったしね』
『今思えば、ベクターって名前で気付くべきだったわ、私ったら・・・』
『あはは まあ良いじゃない、明日会えるしさ』
俺達は、明日の話に盛り上がり、いつもより遅くまで話をし眠りに落ちた。
翌日、早々に段取りをしロアさんの家?へ向けて歩き出す。
家が見えてきたところで、ロアさんが庭でウロウロしながら出迎え待ちをしてくれていたことに驚く。
『クオン君、遅いよ~早く早く~』
『ミュウちゃん、久しぶりだね~ 元気~♪』
何かめちゃくちゃテンションが高いロアさんの下へ俺達は、小走りをしながら近づいて行く。
『ロアさん、おはようございます以前は、お世話になりました』
『うふふ ミュウちゃん、相変わらず可愛いね~』
『えっ も~ お世辞から入るんですか?』
『うふふ でもライカちゃんだけじゃなくて、もう一人可愛い子いるじゃない?』
『ニャハハ 照れるニャー』
『ク・オ・ン・君、ど~してみんな巨乳なのかな~♪』
『ロアさん、勘弁してください』
『フハハ これは、面白いなクオンが、オロオロしてるとこが見れるとはな』
『クフフ そーでしょ♪』
『あはは リーダーでも、苦手な人が居るんですね』
『あら、クオン君より若い子もいるのね、うふふ 可愛いわ♪』
『えっ ぼ 僕ですか』
『んふふ ロアさん私達は、全員15歳よ♪』
『えっ 保護者じゃなかったの?』
『ワ ワシの事か?』
『クククッ オーラ駄目だって敵わないよ♪』
『さっ 入ってベクター様も待ってるわ』
『大人数で、すみませんロアさん』
『うふふ 良いのよ~ そんなこと全員に会って見たかったしね』
俺達は、前に来た時と同じ部屋に入ると、既にベクターさんが待っていてくれた。
『お久しぶりですベクターさん』
『久しぶりだね~ 元気そうで何よりだよ~』
『以前、頂いた錬金術の本とっても助かりましたよ』
『あはは、あれは、まだこの間なんだけど聞いたところによると飛んでもない成長だね~』
『本気なのかい?』
『はい、勿論です』
俺は、ニコニコしながら冗談でも何でもないとアピールしながら返答した、勿論、前と同じように聞き耳を立てている人が居たので、確信には触れないように。
『おっと、もう気絶させないでね~ ふふふ 彼等も仕事なんだよ~』
『それは、すみませんでした』
『しかし、この短期間で見違えるほど強くなったね~』
『あはは、あれからミュウと仲間を探して結構頑張りました』
『でも、ベクターさん噂を聞いて驚きましたよ、有名人だったんですね』
『あはは、私なんて全然有名じゃないよ~』
『んふふ ベクターさん謙遜しすぎですよ、以前会ったとき気付かないでごめんなさい』
『あはは 良いんだよ本当に私なんて大したことないから~』
『ベクターさん、少しお願いがあるのですが、音だけ消しても良いですか?』
『うん~ ロアが入ってるなら、良いよ~』
『無理言って、すみませんベクターさん』
俺は、ミュウに視線で合図を送るだけで理解してくれた。
『<エアウォール>!!!』
『ふふふ もう普通に話が出来るね、さあ良いよ何でも聞いてくれて』
『ありがとうございます、では最初に、もう俺達を<鑑定>されましたか?』
『ふふふ あはは 流石だね』
『ちょ ちょっとクオン?』
『ああ、ごめん皆には、何も言ってなかったねベクターさんは<鑑定>スキルユーザーだよ』
『えっ でも・・・・・そうか』
『・・・なるほど、流石は、大錬金術師ですわね』
『あはは それ以上言うと自画自賛になるよ?』
『『『『『なっ!!!』』』』』
『ベクターさんこそ、流石ですね』
『ふふふ 長生きしてるからね』
『ってことは、もう俺の事は、バレてますよね?』
『ああ、初めて会ったときにね、しかし今日は、見てないよ見ても無駄だろう?』
『・・・どうして分かったんですか?』
『ふむ、君の言動でかな?』
『俺も、まだまだですね、それと、俺の事、今まで黙ってて下さって、ありがとうございます』
『あはは 言う訳ないよ、君達とは仲良くしたいからね』
『しかし、もう視る事は、叶わぬがユニークスキルとは、恐ろしいね』
『ベクターさんでしたら、他にも見たことがあるのでは?』
『いや、私の長い人生でも君が初めてだよ』
『そうですか、やはり相当珍しいんですね』
『君は、その事を良く理解してるじゃないか、君の年なら、自重を無くしかねないと思うがね』
『そうですね、慎重な方だとは思います』
『それは、正解だ、その力を公にするには、世界最強を名乗れるぐらいの強さが要る』
『俺も、そう思います、ベクターさんから学んだことでもあるんですよ』
『ほう、私からかね?』
『ええ、随分と話口調から、違いますし』
『ふはは、そうだね素の私を見せるのは、ロアぐらいだからね』
『ところで、エリクサーについては、どこまで行きついたかね?』
『はい、後1つです、どうしても、それが分かりません』
『そうだろうね、回りくどい事は、やめとこう、それは「賢者の石」と呼ばれる物だよ』
『「賢者の石」ですか?』
『そう、錬金術の最終地点とも言うべき素材だ、私でも作ることは出来ない』
『今の所、ダンジョンでしか手に入らない逸品だよ』
『・・・なるほど、俺達が手にするには、まだまだ早い代物なんですね』
『そうとは、限らないが相当な運が要るだろうね』
『ふふふ しかし今の私の話を聞いて、違う方向からの可能性を既に思いついて要るのではないのかね?』
『ベクターさんには、驚かされてばかりですね』
『おそらく、俺達が入手するには方法は、たった1つですね』
『あはは、1つあるだけでも驚愕ものだよ』
『しかし、ベクターさんには、貰いっぱなしですね、何か返さないと・・・』
『ふふふ 君は、若いのに律儀なんだね、そうだね、もし2つ目の「賢者の石」が手に入ったら、それでどうだい?』
『かなり、薄い可能性なんですが、それでも良ければ?』
『ああ、構わんよ、私が察するにユニークスキルが起因するのだろう?』
『参ったな、本当に何でもお見通しなんですね、怖い人だ』
『あの~ ひょっとして、これの事ですか?』
ライカが不意にベクターさんとの話に入って来て、小石を差し出す。
ベクターさんが、何か酷く驚いている、何だろう目を真ん丸に見開いて、いるのが面白い。
『こ これは、お嬢さん、まさか・・・』
『まあ、お嬢さんなんて、クフフ』
『いやいや、それより、これは?』
『ライカ、ひょっとして?』
『ええ、今話をしてた「賢者の石」って、これなのでは?』
『『『『『『『・・・・・・・・・・・・』』』』』』』
『ちょっと、ライカお嬢さんって呼ばれて喜んでる場合じゃないわよ』
『えっ ええ でも昨日頑張ってたら、3つほど出来たやつが<鑑定>で「賢者の石」って出てたから、これのことかなと思ったんですが』
『ら ライカ、そこら辺でストップだ』
『・・・・でっ では、お約束の「賢者の石」です、どうぞ』
『く クオン君、どうぞって・・・』
『錬金術の最終地点の・・・・・まあ・・・・良いんだけど・・・・・』
『あはは ベクター様のそんな様子見れるなんて、面白いですわ』
『ふ~ 予想していたとはいえ、飛んでもない子達だな』
『すみません、帰ってから頑張ろうかと思っていた事をライカが、やっていてくれたようで・・・』
『どうやら君達は、運も良いようだね』
『何は兎も角、これでエリクサーの作成に移れそうだね、これで君達の秘密が、たま1つ増えるわけだ』
『あはは、そこはまあ俺達は、世界最強になりますから』
『ふふふ 冗談には、聞こえないね クククッ』
『クオン君、この間笑っちゃってごめんなさいね、まさか本当に作ろうとしてるなんて』
『良いですよ、俺も出来すぎだと思いますし』
『そうだ、ベクターさん 少し俺達の手に余る事が、何れあると思うのですが、また、お知恵を借りに着て良いですか?』
『君達の手に余る事とは、興味深いね』
『君達なら、私を探し出せるだろう、連絡を待ってるよ』
『ありがとうございます』