第87話 クオン本気の料理!3
『なに、なんなの、これ幻なの、でもどうして味があるの、何故こんなに幸せなの?』
『ああ、もう何も分からないわ、只々美味しい』
『では、次で最後になります、これも俺の国のデザートです』
『アイスクリームのブランデー掛けです』
『これは、ハチミツとホットラッチの甘さに加え、乳を加工した物から出来ています』
『暴力的な甘さにしました、どうぞどうぞ』
『なんて鮮烈な匂いだ、何故、酒のような匂いが?』
『ああ、香り付けで、ブランデーって言う、お酒を少し掛けてますから』
『大人のアイスクリームですね』
『つ 冷たい甘い、なんて甘美な・・・』
『そうだわ夢なんだわ』
『しっかりして、味わうのよ』
『溶ける、氷じゃない、柔らかい甘い、でもくどくないスッキリしてる、魔法のようだわ』
しばらくして全員完食してくれたようだ、お腹大丈夫かな?少な目にしたけど俺達、冒険者は良く食べるから普通の基準がいまいち、分からないし。
『食事の方は、以上になります全員、綺麗に食べてくれて、本当に嬉しいです、ありがとう』
全員が立ち上がり拍手をしてくれた、何故か言葉以上に嬉しいな。
『後は、希望者だけに、とっても美味しいお酒があるんですが、どうですか?』
はいって言うような手が全員から挙がる、あはは嬉しくなるな。
『では、強いお酒なので、少しずつ飲むようにしてください』
『じゃ、ミュウお願い』
『分かったわ』
ミュウはオリオンの聖杯から作った水を<ウォーターボール>で全員の前に浮かべる大きさは、テニスボールより少し小さいぐらいだ、全員の眼の前に浮かぶ水玉がフヨフヨと漂っていて全員が驚いているようだ。
『えっと、今から目の前の水が凍りますので凍ったらグラスへ入れて下さい』
『えっ 凍るって?』
『<アイスロック>!!!』
ミュウの<アイスロック>で浮かんでいた水玉が気泡の入っていない透明な氷玉になる、とても綺麗だ。
ミュウの魔法に、皆からの歓声が上がる。
『これが、魔法使いなの?なんて綺麗な魔法、とても素敵だわ』
『こんな魔法見たこと無いわ、きっとミュウさんが特別なのよ』
『えへへ 皆さん褒めすぎですよ♪』
『では、コップに入れたらブランデーを注いでいきますね、強いお酒なんで注意ですよ』
『これは、先ほどの匂いだな』
『はい、そうです先ほどは数滴だったけど今度は、氷だけなんで少しずつ飲んでくださいね』
『本当は、氷無しの方が、美味しいんだけど、皆さん初めてなんで試してください』
ロックが嬉しそうに飲んでいる、あはは 幸せそうな顔だな、リーバイ家の方達も、少しずつ飲んで香りを楽しんでいるようだ。
『ああ、なんて鮮烈な匂いだ、喉が焼けるそして口の中いっぱいに広がる高貴な香り、喉が美味しい、香りが旨い、なんて酒だ』
『ふふふ 世界は、広いな今日の体験は私の宝になりそうだ』
『ローニアも、この若さで、こんな体験をしたら、これから大変だなメイド達はもっとか』
『うふふ お父様、私料理とお酒が美味しすぎて商談の話を忘れてましたわ』
『おお、覚えていたか流石ローニアだな、こんな体験をして覚えているだけでも称賛ものだ』
『しかし、商談をするには、少々酔ったようだ』
『あはは 良かったら、明日の朝にしませんか?』
『今日は、このまま泊っていってください』
『メイドさん達も、寝所を用意しますので』
『ふふふ 良いのか?飲み明かしてしまうぞ?』
『あはは ロックがお酒大好きなので、良かったら俺達と飲み明かしましょう』
『私も、参加しまーす』
『まあ、お母さまったら酔ってますね』
『うふふ ローニア今日は、私最高に気分が良いわ飲むわよ♪』
『分かったわ、皆さん聞いてください、今日は、朝まで飲み明かします、遠慮なく飲みましょう』
『『『『『『『『『『『『『『『飲みますー!!!』』』』』』』』』』』』』』』
メイドさん達も、既にかなり酔っているようだ、キャーキャーと喜んでいる。
『ふふふ ザルガ、アーチカ飲み明かそうか』
『『はい、旦那様』』
『ふふふ しかし旦那様、こんなに気分が良いのも久しぶりですぞ』
『すみません私も、美味しすぎて飲みすぎてしまったようです』
『あはは 当然だ、こんなにも美味い物は、国王でも用意できまい』
『今日は、メイド達とも酒が飲めて良かった、見ろあの嬉しそうなメイド達を』
『うふふ 旦那様、実は、殆どのメイド達は、お酒を飲んだことが無いのです』
『それは、幸か不幸か、嫌でも酒を覚えてしまったな』
『うふふ お父様私も、お酒が大好きになりましたわ』
『しかし、予言しようお前達、次に酒を飲むときは、幻滅するだろう、こんなに美味い酒など、どこにもないぞ』
『その時は、クオン様のところで売って貰いますわ』
『あはは、クオン殿は、食材は売らんぞ売ってくれても、我らでは買えんよ』
『まあ、お父様そこまでですか、クオン様本当ですか?』
『ああ、俺は、食材は売らないよ、でも俺達となら、また飲めるよ』
『うふふ 私、通ってしまいそうですわ♪』
『まあ、ローニアったら、さあ飲みましょう♪』
しばらくすると、アーチカさんを含むメイドさん達は、飲み潰れてしまった、でも皆幸せそうに寝ている。
さてと、流石に全員、個室って訳にはいかないので、特大ベッドを作ることにする大広間に円形の枠を作りコカトリスの羽を大量に入れた、<クリーン>を掛けて綺麗にして寝心地を試してみると、フッカフカだ。
女性陣に、メイドさん達を運んでもらい、特大羽ベッドに寝て貰う。
おっと、ローニアさんとミレーナさんも、酔い潰れたようだ、二人には個室に寝て貰おう。
ガデラスさんとザルガさんは頑張っているが、ロックと同じように飲んでいたら流石に潰れちゃうよね。
あっ 二人共やっぱり寝ちゃったか。
『ロック、飲ませすぎだぞ』
『あはは ガデラスさん達も強いんで、僕もついつい飲んじゃいました』
『さあ、個室まで運ぼうか』
『はい、男性陣は少ないから楽ですね』
『ふ~ 終わったわよクオン』
『全員、気持ち良さそうに、寝てるニャー』
『クフフ 私も少し酔いましたわ♪』
『今日は、皆ありがとう、俺も満足だ』
『しっかし、クオンの本気の料理って凄いわね、いったいどれぐらいの種類が作れるの?』
『う~ん、1000や2000は、作れるよ』
『でも、現時点での本気だから、俺としては、まだ全然5%ぐらいかな』
『『『『『・・・・・・』』』』』
『今、俺が考えている計画がうまくいったら、手に入ると思うんだよ、それがあったら本気が出せる』
『クオンの100%の料理って<魔王の威圧>より恐ろしいわ』
『幸福死するニャ』
『僕も、幸福死する自信あります』
『フハハ 贅沢な死に方よな』
『くふふ 楽しみですわ♪』
『でも、もっと強くならないと実現出来そうにないから、まだまだ先の話だね』
『フハハ 人外ぐらいでは、足りぬか望むところだ』
『クオンと居たら、魔王になっちゃいそうだわ』
『『『『『あはは!!!』』』』』
俺達は、軽く飲んでから、それぞれの部屋で眠りに着いた。
俺は、1日中、料理をした疲労感と達成感で心地よく眠れた。
翌朝、俺は、眼が覚めて下へ下りるとミュウが朝食を作ってくれていた。
『おはようミュウ、朝食ありがとう』
『おはよー クオン昨日は、楽しかったわね』
『他の者は、起きてるのかな?』
『ロック以外は起きてるわよ、ムーアはロックを起こしに行ったわ』
『ふむ、リーバイ家の方々には、ゆっくり寝て貰おうか』
『んふふ そうね』
◇ ◇ ◇
<アーチカ視点>
私は、やたらフカフカのベッドで目が覚めた、寝ぼけているのか見覚えのない場所だ周りをみると大量の鳥の羽の中で他のメイド達が眠っている、皆幸せそうだ。
どうして、此処で皆と寝ているのか考える、いや思い出そうとすると、頭から血の気が引いていくのがわかる・・・
や やってしまった、ここは、クオン様の家だ、私昨日の夜、酔いつぶれて寝ちゃったんだ・・・
ど どうしよう、大変だわ急いで皆を起こして、謝りにいかないと。
『み 皆起きて、大変よ』
『ん ん~ どうしたのよアーチカ?』
『皆お願い、早く起きて大変よ』
『『『『『ん う~~ん、おはよー アーチカ』』』』』
『お願い、早く起きてーーーーーーーーーーー』
『どうしたのよアーチカそんなに慌てて、えっ ここは?』
『そうだわ、昨日あれから寝ちゃったの?ど どうしようアーチカ』
全員起きてくれたのは良いけど、皆は、真っ青な顔をして、どうして良か分からずオロオロしている。
『皆よく聞いて、寝ちゃったのは、もうどうしようもないわ、急いで謝りに行くわよ』
『許されることじゃないけど、皆、誠心誠意で全力で謝るわよ』
私は、覚悟を決めて扉を開け、メイド達全員で謝りに行く。
すると、昨日食事を頂いた円卓に朝食が並べられていた、な 何て事に・・・あんなに美味しい食事を頂いた上に酔い潰れて寝てしまい、なおかつ寝坊して朝食の用意まで手伝えなかったなんて・・・
私は、取り返しの着かない事を嘆き、余りの焦燥感に立ち尽くしてしまった。
そこに、ミュウさんが現れたが、謝る機会を逃してしまい、テーブルに着いてしまった。
『おはよー アーチカさん、皆さんも、テーブルへ座ってくださいな』
『あ あのミュウさん、昨日は酔い潰れて寝てしまい、申し訳ありませんでした、また朝食の手伝いまで出来ずに寝坊するとは、本当にすみません』
私達は、全員立ち上がりミュウさんに全力で謝った。
『あはは、何言ってるのよ、お客さんに手伝わせる訳ないでしょ?』
『クオンの朝食って、すっごい美味しいのよ、皆楽しみにしてて』
余りの焦燥感に佇んでいた私達をミュウさんは、何でもないような事のように笑い、接待してくれている、ああ、きっとこの人達には、身分差なんて関係ないのかもしれない。
『あっ そうだアーチカさん』
『は はい』
『良かったら、リーバイ家の皆さんを、そろそろ起こして貰って良いかしら、私が行くよりは身内の方が良いかと思って』
『あっ ザルガさんは起きてるから、残りは3人ね扉を出て右端からの3部屋よ』
『は はい、分かりました』
私は、急いで旦那様、奥様、お嬢様を起こしに行き丁寧に朝の挨拶をした。
円卓へ戻るとサークルの皆さんが既に揃っていて、私達が最後だった。
『皆さん、おはようございます』
『クオン殿申し訳ない、どうやら昨日の酒が美味すぎて寝坊してしまったようだ』
『あはは、飛んでもない朝食を食べて貰いたくて、こちらの我がままで起こしたんですよ』
『うふふ それは、重ね重ね申し訳ありませんわ』
『クオン様、何から何までありがとうございます』
『いえいえ、さあ食べて下さい』
昨日の食事にも驚いたけど、今日の朝食にも1口食べるごとに感嘆の声を上げてしまうほど美味しかった。
冒険者とは、毎日こんなにも美味しい物を食べているのかしら。