第82話 コンパスダンジョン攻略12 古代魔法
この湿原は、俺達には都合がよくサクサクと進めた普通のパーティなら、湿原特有の水場から不意打ちの嵐を食らうだろう。
道中で目に付いた魔物を倒しながら進み、地下47階で<マップ>に反応があった。
<サーチ>での価値のある物に引っかかったほうだ。
勿論、そこへ向けて歩みだすと<マップ>の反応地点に辿り着くが、何もない・・・
『う~ん、確かに此処なんだけどな・・・』
『ねーねー 地下じゃないかな?』
『とりあえず、探して見るニャ』
『むっ 此処から先へ進めぬぞ?』
『こ これは、結界かしら』
『凄いですね<感知之極>でも、何も分からないです僕が叩いてみますね』
ロックが<インパクト>を振り上げる、サークルの中でも攻撃力なら最強の一撃だ、振り下ろされた<インパクト>の一撃は轟音を上げ結界を破壊する。
『ドオオオオオオオガアアアアア~ン パッッリ~~~~ン!!!』
『『『『『おお~ パチパチパチ!!!』』』』』
『えへへ 壊れましたね』
『ほんと、何時みても恐ろしい一撃ね』
『これは、小屋か?』
結界が破壊された先には、木造の小さい小屋が立っていた、俺達は歩を進め扉を開ける、本当に小さな小屋だが中は、10畳ぐらいの空間だった、部屋の真ん中に台が置かれており魔法陣が描かれていた。
『魔導書ね』
『罠がないニャ?』
『ああ、今までのパターンなら罠があったんだが、簡単な部類になるのかな?』
『確かに、あの結界は分からないとは思いますけど?』
『ニャー やっぱり、あったニャ、しかも特大の罠ニャー』
ムーアの言葉で魔導書が置いてある台をみると、確かに罠があった1つだけだ、しかしその1つが禍々しいオーラを発するほど強力な罠だった。
『ムーア危険そうなら、無視して行ってもいいぞ?』
『ニャー凄い罠ニャー<罠師>取得してなかったら間違いなく無理だったニャ』
『ってことは、いけそうなのか?』
『少し時間が欲しいニャ』
ムーアが魔導書が置いてある台の前に立ち時間が流れる、5分・10分・30分・1時間、俺達は言葉も発せずジッと待った。
するとムーアが動き出す。
『行くニャーーーーーー<罠解除>!!!!!!!!!!』
何時もは、直ぐに解除されるムーアの<罠解除>が唱えてから時間が過ぎる、ムーアを見ると真剣な顔で汗を流している。
それを見ていると、俺も手伝いたくなりムーアの肩へ手を置き応援する、他のメンバーも同じようにムーアの肩へ手を置きだす2人・3人・4人・5人・6人、遂に全員がムーアの肩へ手を置いて応援する。
もし、罠が発動すれば全員巻き込まれるだろう、それが分かったのかムーアが嬉しそうに微笑む。
【サークルが飛翔の魔導書に掛けられた【消滅】の<罠解除>に成功しました。】
『『『『『おお~ パチパチパチ!!!』』』』』
『ニャアアアアアアー 疲れたニャアー』
『ふぅ~ しかし、【消滅】か、怖い罠も、あったもんだな』
『あはは 死んじゃうとこだったね』
『リーダー軽い・・・』
『私も、冷や汗ものでしたわ』
『さてさて、飛翔って出てたわよね?<鑑定>してみるね』
【アンサー 飛翔の魔導書:古代魔法<ウィング>が記された魔導書。】
『ほほ~ 凄いな、これは楽しみだミュウ頼む』
『んふふ 分かったわ』
ミュウは、魔導書を持って、ゆっくりと開いていく、すると古代文字が刻まれた魔法陣が魔導書の上に現れ、俺達6人の頭へ直接知識が入ってくる。
【サークルが無属性魔法<ウィング>を習得しました。】
俺達6人は、ハイタッチして喜びを分かち合う。
『名前で大体分かるけど<鑑定>してみるね』
【アンサー ウィング:飛翔魔法。自在に空を飛べるようになる。】
『えええっ こ これ空を飛ぶ魔法なの?』
『どうやら、そのようだな、しかし段々、人外になっていくな・・・』
『んふふ でも練習しないとね、落ちたら死んじゃうわ』
『人には、見せれませんよね・・・』
『パニックになりそうですもんね』
『あはは でも、今まで行けなかったような崖の上や下へ容易に行けるように、なるかもよ』
『あ~そっか、なにも移動用だけって訳じゃないんだ』
『さあ、進もうコンパスのダンジョンも終わりが見えてきた』
『『『『『了解!!!』』』』』
ウィングか、それにしても罠のレベルが高すぎるな・・・ひょっとして本当に秘境への切符なのかも・・・そう考えると楽しくなるな、うん楽しみだ。
地下50階まで来た、相変わらず此処は、俺達と相性が良い様だ、サクサク進める、もうすぐボス部屋前からと思っていたら巨大な蛙を見つけた、象ぐらいある・・・
『で でかいな・・・』
『ぱくっと食べられちゃいそうニャ』
『クフフ 私が行きますわ』
『うん、ライカもかなり慣れてきたね』
『ありがとうございます、でも、まだまだですわ』
『あっ それと後は、武器も手の延長だとイメージしたら完成すると思うよ』
『・・・・・クフフ フフフ リーダーには勝てませんわ』
『<エンチャット風>!!!』
ライカは、妖艶な微笑みを浮かべ、ギガントフロッグに向かい歩を進める。
とても同い年には、見えないな高い身長、抜群のプロポーション、長大な獲物、動くだけで華がある。
デスサイズを高々と掲げた様は、獲物の長さもあり、やけに大きく見える、まるでアンダースローの様な構から優雅にすら見える振り抜きを見せ構を解く。
『クフフ リーダー如何でした?』
『ああ、綺麗な振り抜きだった、まるで斬鉄剣!そうだな名前を付けるなら一閃そう<閃>ってのは、どうかな?』
『ありがとうございます、そうしますわ』
『えっ どういうことなんですか?』
『も~ ロックちゃんと見てなかったでしょライカの新技が完成したのよ♪』
『ああ、あの距離で届いたのが驚きだな』
『えっ うわ~ ギガントフロッグが斜めにズレてる、凄いあの距離で届いていたんだ』
『これで、全員に技が出来たね、ライカおめでとう!』
『『『『おめでとう、ライカ!!!』』』』
『ありがとうございます、少しずつですが皆さんに追いつきますわ』
『あっ ライカちなみに、その技続きがあると思うんだ、<閃>から進化する時、恐ろしい技になるかもしれないよ』
『えっ 』
『よし、じゃ後は、ボス戦だな、頑張ろう』
『『『『『了解!!!』』』』』
『・・・ねえ皆さん、リーダーって本当に何者なんでしょうね?』
『フハハ ああ、あの目には、どこまで先が見えているんだろうな』
『不思議な方ですよね』
『ニャハハ あたいには、神様に見えるニャ』
『んふふ そうかもね♪』
後ろの方で、何か話してるけど、また何か勘違いをしているような・・・まあ良いか。
少し歩くと最後のボス部屋前に着く、えーっと今日で3日目だったかな、思ったより長かったな、いや早い方か。
俺は、扉を潜ると同時にボスを確認し<鑑定>を使う。
見た目は、カバみたいだった、巨大な体躯で確か狂暴だったような、いやそれは日本のカバか・・・
色は、豚のようにピンク色に近く口がでかい。
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【ステータス】
名前:グランドヒポポ
LV:50
HP:450/450
MP:400/400
攻撃:249
防御:249
敏捷:251
器用:250
魔力:260
精神:250
スキル:<威圧+4><打撃強化+5><HP回復+5><HP吸収+5>
種族スキル:<剛腕><剛体>
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『ふむ、どうやら力押しのボスのようだな』
『うん、でも油断なく行こう、これは感でもないんだけど、狂暴かもしれない』
『えっ 感じゃないの?』
『う~ん、言うならばイメージかな・・・とりあえず油断だけは、しないでおこう』
『オーラ、いつもどおり行こうか』
『ああ、任された』
3重<ライトシールド>を張ったオーラが、先制攻撃に移った瞬間、怒号を唸らせグランドヒポポがオーラへ突進する。
は 早い、オーラも盾を出す暇もなく突進を受け、弾き飛ばされる。
『ゴオオオオオオオオオオーーーードドドドドドドドドドド ドゴン!!!』
『グ グオオオオオオオッ』
『オ オーラ、全員散開オーラをサポートするぞ』
『『『『『りょ 了解!!!』』』』』
ボスの突進を真面に受けたオーラは、壁に背中を打ち付けられ動きを止める、ミュウが回復の為に駆け付け、他の者が、ボスの動きを止めるため魔法を撃つ。
『オーラ、<ハイエストヒール>!!!』
『<スタン>!!! 行くニャアアアアー』
『オオオオオオオオオオーー』
俺は、オーラの下へ行き声を掛ける。
『オーラ、大丈夫か?』
『グウウ す すまん油断した、体は、大丈夫だ』
『ミュウ、オーラを頼む』
『わ 分かったわ』
俺は、妙に冷めていた、いや冷静さを失った、自然と怒気を発していたのか<威圧>を掛けていた。
いつのまにかボスは俺の方に意識を向けていた、動きは止まっている。
『り リーダー・・・・』
『な なんて怒気・・・いえ殺気なの』
『く クオン・・・クオンを包んでいる、あのオーラは何?』
『クゥゥ な なんたる殺気だ、身体を貫く寒気、あ 汗が止まらぬ』
『ど どうしたんニャ、あ 足が振るえるニャ』
『皆下がっていてくれ、俺が殺る』
俺は、<縮地>を使いボスの下まで一瞬で移動し同時に、右腕からの腹パンを繰り出す、アッパーに近い斜め下からの拳は、ボスの巨体を浮かし、壁まで叩きつける。
『ドゴオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!!!!!!』
『ゴガアアアアアアアアアアアアアーーー』
ボスは、壁に叩きつけられながらも、フラフラと立ち上がった瞬間、俺の左腕からの拳を受ける、今度は、反対方向へ弾き飛ばされ、壁に叩きつけられても勢いが止まらず地面を転がっていく。
『ドゴオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!!!!!!』
『ドガアアッ ドンッ ドンッ ドドン!!!』
間髪入れず蹴りを放つと放物線を描き、ボスが前方へ飛んでいくが落下地点に<縮地>で回り込み、止めとばかりに<双牙>を叩き込む。
『ドゴンッ キンッ キキキキンッ!!!』
一瞬で繰り出した<双牙>の数は5発、目の前には断末魔も出せず、輪切りにされたグランドヒポポが横たわる。