第6話 討伐クエスト
宿屋を出てミュウさんの案内の元、武器屋へ向かう、なんか楽しみだワクワクする。
『さっ 着いたわよ、どうしたのニコニコして』
『いや~ 初めての武器で嬉しくなっちゃって』
『いや15歳で、初めての武器とか・・・・・・・・・本当に不思議な人ねクオン君は』
店舗には、様々な武器が所狭しと並んでおり、50代ぐらいの男性が店番をしていた。
『いらっしゃい、見ねえ顔だな初めてかい?』
『はい、昨日この町へ来ました、俺でも使えそうなぐらいの大きさの片手剣で、お勧めってありますか?』
『予算はどれぐらいなんだ?』
『ん~ 防具も欲しいから金貨1枚ぐらいで、お願いします』
『そうだな~ そこの棚に並んでるやつで気に入ったやつ振ってみな』
両刃の剣で色々な長さの物が並んでいる。俺は手ごろな大きさの剣を選び、試しに振ってみる。う~ん、どれもシックリと来ない日本刀のように反りがなく、真っすぐだからかな?
『すみません、反りの入った剣ってありますか?』
『あるには、あるが変わってるね~ 片刃になるけど、こいつは、どうだ?』
おっ 日本で言う長ドスのような刀を渡されて、試しに振ってみる、あ~ これいいな。
『これにします2本でお幾らでしょうか?』
『それなら売れ残りだし2本で金貨1枚と銀貨7枚にサービスしてやるよ』
『本当ですか?ありがとうございます』
『しかし、さっきから見てたが刀の持ち方、逆だぜ?』
俺は小さい頃じいちゃんに剣道っぽいことを教わるとき、テレビで見たことのある忍者のように、刃の方が肘にくるように持つのが気に入って、剣を持つときは二刀流で「忍者持ち」って言うのか、その持ち方に慣れていた、じいちゃんも好きなように持てば良いと言ってたので逆なのは分かっていた。
『あはは 何故か、こっちのがやり易くて』
『変わった奴だな、まあ研ぎなおしも此処で出来るから、斬れないようになったら持ってきな、安くしてやるよ』
『分かりました、ありがとう』
俺は、2本の刀を腰のベルトに通し、店を出てからミュウさんに語り掛ける。
『ミュウさんは、買わなくて大丈夫なの?』
『うん私は持ってるから大丈夫よ、次は防具屋に行くねクオン君、普通の服だもんね』
ミュウさんの防具は布の帽子に、皮の肩胸当て、皮の籠手を装備していた。
『ありがとう、お金がなかったから買えなかったんだよ』
『あはは 私もお金が余りなくて最低限の物しか買えなかったから、良い防具があったら私も買おうかな』
『うん良いね、こういう買い物も楽しいよ』
『んふふ そうね私も好きよ、おしゃれは出来ないけど・・・』
そうこう話をしてる内に防具屋に着いた、今度は20代の女性が店番をしている。
『こんにちわ~ また来ちゃいました』
『あら確かミュウさん、いらっしゃい、こないだの防具壊れちゃったのかな?』
『いえ、そういう訳じゃないんだけど、今日は付き添いです』
『あらあら、ちょっと可愛い子じゃない、やるわね~ ミュウさん』
『そ そういうんじゃ、ないんですーー 今日からパーティを組むことになったクオン君だよ』
以前買い物に来て知り合いらしく、ミュウさんは顔を赤くしながら照れ隠ししていた。可愛いな~ ミュウさん。
『すみません、あまりお金はないんですけど、なにかお勧めはありますか?』
『う~ん、そうね~ お客さん小柄だから、あまり重たくないやつが良いわね、じゃこれかな』
定員さんが用意してくれたのは、布のバンダナと、皮の軽鎧、肘ぐらいまである皮の籠手だった。
『うんうん、良いじゃないクオン君に似合いそうだよ』
『うん、すみません、お幾らぐらいでしょうか?』
『サービスして、金貨2枚でどうかしら?』
『ありがとうございます、それにします装備していって良いですか?』
『ええ、サイズ調整するから、そこに座って』
『よし、ぴったりね、どお動きにくくない?』
『いえ、ばっちりです、ありがとう』
『ミュウさんには、こないだ在庫切れでなかった、この靴どうかな』
『ええっ うそ入荷したの?』
『今日届いたばかりよ、これなら軽いし皮も、しっかりして可愛いでしょ?お勧めよ』
『ちょっと高いんだけどサービスして金貨1枚と銀貨5枚で、どうかな?』
『買います!!!』
『あはは 即答ね、じゃそこに座って』
『うわ~ 丁度ぴったりです』
『魔法装備なら自動調整機能付いてるんだけど、高いしね今履いている靴、下取りしたら金貨1枚と銀貨2枚で、良いわよ?』
『うわー 良いんですか? じゃそれでお願いします』
二人とも防具の調整を終え、店をでた。
『夜まで、まだ時間もあるし、それまで薬草取りでも、どうかな?』
『うん、いーよー じゃギルドへ行こうかクオン君』
時間調整のためミュウさんとギルドへ向かう。
『カリーナさん、こんにちわ、また薬草採取ありますか?』
『あら、クオン君とミュウさん、こんにちわ』
『それが、今日は、もう十分集まったから明日以降になるわね』
『なるほど、ちょっと朝がんばりすぎたかな』
『んふふ でも丁度良い、お勧めクエストが、あるわよ』
『近辺のモンスター討伐クエスト!!!スライム・一角ウサギ・ワーム等、魔石5つが1セットよ魔石が討伐証明になるから、そのまま買い取りも出来るわ』
『一角ウサギなら皮と角、肉も買い取るわ』
『なるほど、どうかなミュウさん?』
『ええ良いわ楽しそうじゃない』
初めての戦闘だけどミュウさんは乗り気だ。
『じゃあ、それでお願いします』
俺とミュウさんはクエストを受注し、朝方に行った草原へ向かう。
『見た感じモンスターって、なかなか居ないね。今度はミュウさんが<サーチ>やってみる?』
『うん、じゃスライムから、やってみるね、えっと確か』
『<マップオープン!スライムを青色でサーチ>』
『あっ いっぱい居る、やっぱりこの<サーチ>って飛んでもなく便利ね、さっきは全然分からなかったのに』
『あ あれは、プルピョン(仮称)そっか、あれスライムだったんだ』
『ん、プルピョンってなに?』
『いや、此処に着いたとき見かけたんだけど、あれがスライムだったんだね名前知らなくてね』
『あはは でもプルピョンって』
『いや~ プルプルしていてピョンピョン跳ねていたから』
『んふふ なるほどね』
『さて、刀の試し切りを兼ねて狩りますか』
『そうね、頑張りましょ』
俺は、近くのスライムに近寄り横なぎに刀を抜く。いとも簡単に切断され水のようになり土へ染み込む、んっ これがスライムの魔石か、石ころみたいなゴツゴツしたやつを想像してたけどビー玉のような綺麗な球体だ。よし1つゲット!!!
ミュウさんは、ムチか~ そこそこ離れているスライムに器用にムチを当てる。
は 早い、見えないや3匹ほどいたけど一撃であっと言う間に狩っていく、新体操のリボンのを見ているような美しさまである。
確かムチの先端は音速を超えるって言うけど、あれは痛そうだ。ミュウさんには逆らわないようにしよう・・・
約1時間ほど狩っただろうか、ミュウさんと合流し魔石を数えると50個ほど溜まって良い時間になる、俺もミュウさんもレベルが2になった。
『スライムしか狩ってないけど良い時間だし、そろそろ帰ろうか?』
『そうね、良い汗掻いたわ帰りましょうか』
ゆっくりと歩きながらミュウさんと町へ向かう。
『しかしクオン君、変な持ち方なのに綺麗に剣を振るうわね、踊っているようだったわ』
『ミュウさんこそ器用にムチを操るね、綺麗な舞に見えたよ』
『んふふ ねえ気づいた?昨日に比べて攻撃力が格段に上がってたし、今日の戦闘は気持ちよかった!昨日は、スライムも一撃では倒せなかったもん』
『ああ、なるほど、そういえば体が軽かった。ステータスを確認してみよう』
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【ステータス】
名前:クオン
LV:2
種族:ヒューマン
HP:30/30(+15)
MP:40/40(+25)
攻撃:17(+8)
防御:17(+8)
敏捷:20(+9)
器用:26(+11)
魔力:25(+14)
精神:23(+14)
ユニークスキル:<+>
潜在能力:<直感>
ユニークパーティスキル:<能力開眼><ウィンドウ>
パーティスキル:<神の声><ステータス><マップ><サーチ>
戦闘スキル:<剣技+1><格闘+1>
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『・・・・・・凄いわ二人のレベルアップしたステータスも加算されるのね、これ順調にレベル上がっていったら、飛んでもない数字になるんじゃない?』
『それだけじゃない、おそらくだけど潜在能力も共有してるんだ』
『えええっ なんで分かるの?』
『戦闘もそうじゃなかった?どう攻撃してくるのか<直感>で大体わかる!おそらく俺の潜在能力が発動してるんだ』
『ミュウさんの<原理>も簡単に言うと「全ての事象を成り立たせる根本的な法則」って意味だから効率の良い体の動かし方とか、敵の弱点とか、なんとなく解るようになったんじゃないかな?本当のところは、色々な意味があるのかも知れないけど』
『そっか、だから体のキレが、いつもよりずっと良くて一撃で倒せたんだ』
『ユニークスキルって、飛んでもないわね』
『ミュウさんの<原理>も、飛んでもないはずだよ、今まで封印のような効果が、あったんじゃないかな?落ちこぼれって言ってたけど個別ステータスも、結構上がってるでしょ』
『パーティを組んでユニークスキルが発動して、文字どおり<能力開眼>されたのね、ホント感謝しても、し足りないわね』
『こちらこそ感謝するよ、俺は1人では何にも出来なかった・・・・』
俺はミュウさんが俺なんかとパーティを組んでくれた事に本当に感謝した。
『ねーねー クオン君』
『ん、どしたの?』
『これパーティ解散したら、全部元の能力値に戻るのかな?』
『んー 個人のレベルアップしたステータスやスキルは変わらないと思うけど、加算とパーティスキル、潜在能力は解除されるかも?』
『んふふ クオン君とは、ながーーーーーーーーい、付き合いになりそうね』
『おぃおぃ 俺のユニークスキル目当て見たいじゃないか?』
『あはは まさか、いくら凄いスキル持ってても、それだけでパーティは組まないわよ』
『ほんとかなーー???』
俺は、ミュウさんをジト目を向ける。
『んふふ ほんとだよ!貴方は、すごく優しくて良い人だよ!私が絡まれた時、全然敵わないのに助けてくれたじゃない?』
『あれは、もうちょっと何とかなると思ったんだ・・・・今思い出しても悔しいな』
『とにかく私は貴方が気に入ったわ!ずっとパーティを組んでいたいと思うぐらいに』
『ありがとう、そう言ってくれると嬉しいよ』
『でも、ミュウさん忘れてない?パーティ解散したら俺も元に戻っちゃうんだよ?』
『あはは そういえば、そうよね、つまりお互い様かな?』
『そーいうこと、まだ全然わからないことも多いし、これから二人で色々と検証して強くなろう、よろしくねミュウさん』
『んふふ よろしくねクオン君』