第65話 ギルドマスター
『分かりました、出来るだけ協力しますが理不尽な事を言われたら俺達は、従いませんよ?』
『ああ、分かってるよ、まあこれからよろしく頼む』
『後は、俺の試験をやって貰えませんか?』
『んっ 合格してるのに、わざわざやらなくても良いだろう?』
『ザーランさん、さっきから謙虚なこと言ってますが、強いでしょ?』
『俺達は、強い方と対人戦やった経験が無くてお願いしたいんですよ』
『物好きなやつだな、どの道ここでは無理だな、格闘場の方へ行こうか』
『分かりました、お願いします』
俺達は、歩いて格闘場に向かう、俺は一度強い方と対人戦をやってみたかったから、このチャンスを逃すのが惜しかった、強い魔物とは今まで何回か戦闘をしたが、対人戦の経験が少なくザーランさんを鑑定したところ、俺が今まで見た中では、一番の強者だったからだ。
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【ステータス】
名前:ザーラン
LV:35
種族:ヒューマン
職業:冒険者ギルド長
HP:310/310
MP:150/150
攻撃:174
防御:165
敏捷:176
器用:180
魔力:175
精神:155
戦闘スキル:<剣技+8>
特殊スキル:<身体強化+9><敏捷強化+8><腕力強化+6><切断強化+8><気配感知+8><縮地+6>
耐性スキル:<毒耐性+7><魔法耐性+7><物理耐性+9>
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ステータスは俺達の方が上だが、スキルが凄い熟練度だ、それに<縮地>!噂には、聞いていたが初めて、このスキルを持っている人に会えた、なんとかコピーしたいもんだ。俺は、木製の剣を2本借りて戦闘の準備をする。
『さー着いたぞ、言っておくが軽くだぞ』
『分かりました、よろしくお願いします』
『皆、付き合わせて悪いな見ててくれ』
『んふふ 分かってるわ頑張ってね』
『リーダーあたいも、よく見てるニャ』
『ワシも、ちゃんとやりたかったのだが、リーダーの戦闘も見たいしな』
『僕も、よく見てますね』
『私も、よく見て勉強さして貰いますわ』
『ありがとう、じゃ軽く行って見るよ』
俺は、木製の剣をいつものように逆手に持って、まずは軽めに斬りかかる。
『カカカカツッ カカツッ カカカカツッ』
『おいおい、どこが軽めなんだよ?』
『あはは でも全部凌いでますよね?』
軽めとはいえ、初動の連撃を全て1本の木剣で受けられる、しばらく軽めに攻撃していたが、楽しくなってきてギアを1つ上げることにした。
『カカカッカカカカカカカッカカカカカカカカカカツッ』
『は 早い わ 私には、なにをやってるか殆ど見えないんですけど・・・』
『んふふ エイトールさんには、見えないかもねリーダーも、ちょっとずつスピード上げて来てるし』
『ちょ ちょっと、本気を出しすぎじゃないか?』
『ちょっと、楽しくなって来ました、どんどん行きますよ』
『リーダーの攻撃って綺麗ニャ流れるような太刀筋まるで踊っているようニャ』
『ああ、しかし流石ギルドマスター強いな・・・リーダーの攻撃をここまで凌ぐとは』
『ふ~ 強いな受けるのが、しんどいわ』
『ギルドマスターも流石ですね、ちょっとだけ本気を出しますね』
『フフフ まあ良いだろう、しかしちょっとだけか、まだまだ隠していそうだな』
『行きますよ』
俺は、<威圧>のスキルを全開にした、今までのように怒気や殺気を含んだ<威圧>ではなく、集中力を上げるような気持ちで使った。
むぅぅ、ビリビリと来るこの気合、フフフ 久しぶりに手に汗を掻いているな・・・なるほど他の冒険者達が恐れる訳だ、しかしこの若さで、ここまでの気合を乗せるとは、本当に何者だ?これは俺もちょっと本気を出さないとか・・・
『ドカッ』
俺は、更に2段階は上げたスピードで右からの斬り上げを放ったが見事にガードされた。
『ふぅぅ な なんてースピードだ、しかもまだ本気じゃないのか、仕方ない俺も少しだけ見せてやるよ』
ゾクッ!!! や ヤバい俺は、久しぶりに感じる危険察知とも言える<直感>を感じてバックステップで、その場を離れる、そこには信じられないほどのスピードでギルドマスターが上段からの斬り下ろしを放っていた。あ 危なかった、ここまでギリギリの回避も久しぶりだ。
『な なんだとガードじゃなくて回避だと、一応剣を狙ったんだが必要なかったようだな』
『今のは、危なかったですよ冷や汗を掻きました、でもなんか楽しくなってきました、行きますよ』
『カツカカカカカッカツカカカカカツカカカッカッカカカツカカカッカカカカカカカカカカカカカカカカカッカ』
俺は、これ以上スピードを上げるのをやめて、ひたすら連撃を放った上下左右あらゆる方向から繰り出しフェイントを織り交ぜていく、途中何回か今も俺の目でも追いきれない動きで見失うが<直感>で何とか凌いだ。
【サークルが特殊スキル<縮地>を習得しました。】
『カカカッカカカカカツカカッカカカカカカカカドカッ』
『ふぅ~~もう良いだろう?』
『えっ 終わりですか?少し残念ですね・・・』
『バカ野郎、年寄りに運動させやがって、もうしんどいわ』
『あはは ありがとうございました、とても楽しかったですよ』
『つ 次は、ワシがやる』
『オーラ、ズルいわ、次は、私よ』
『あたいが、やるニャー』
『僕まだやってないんだから僕ですよ』
『わ 私もやりたいです』
『ちょ ちょっと待て俺を殺す気か?今日は、もう駄目だ、しんどい疲れた』
『全く、なんて奴らだ・・・』
『あっ すみません借りていた木剣ボロボロにしちゃいましたね』
『遠慮なく打ち込みすぎだ、もうちょっとこっちを労わりやがれ、俺の木剣もボロボロになったじゃねーか』
『あはは 皆ごめんね、俺だけ楽しんじゃって、でわエイトールさん明日素材売りに来ますね』
『は はいお待ちしております』
俺は、皆がギルドマスターとの模擬戦をやりたがっているのを謝りギルドを後にする。
◇ ◇ ◇
『ギルドマスター大丈夫ですか?すごい汗ですけど』
『ふぅ~ 流石に疲れたぞ、なんて奴らだ』
『ギルドマスター相手に、ここまで戦えるなんて本当に強いんですね』
『ふははは 彼奴が本気でやってたら俺は、死んでただろうな』
『全然、本気を出してないぞ彼奴は』
『そ そんなに強いんですか?クオンさん15歳ですよ?』
『ああ、彼奴だけじゃなくて6人全員が、俺より強いだろうな』
『全く恐ろしい奴らだ、分かってると思うが彼奴らの事は、秘密だぞエイトール』
『うふふ 分かってますよ、なにせ私は、サークルのファンですから』
『あの短時間の模擬戦で俺の技術を恐ろしいスピードで盗みやがった、こりゃースキルも盗まれたかもしれねーな、彼奴は、これからもっと強くなるぞ』
『今日から俺もサークルのファンだな、実に楽しみな奴らだ、フハハハハハ』
◇ ◇ ◇
俺達は、家に帰り狩ってきたオークの解体準備を始めた、屋内では処理が大変そうなので庭で<アースメイク>を使いテーブルを作り並べてからやることにする。
『ところでリーダー、上手くコピー出来たニャ』
『ああ、冷や汗も掻いたけど、皆の協力もあって何とか<縮地>を取得できたね』
『後は、<スキルハンター>と<威圧>もランク上がったしね』
『でも、本当に楽しそうだったから、私も模擬戦やりたかったわ』
『ワシも、やりたかったぞ』
『僕もですよ、あんなに楽しそうに模擬戦やってたら、やりたくなりますよ』
『私も、やりたかったですー』
『あら、皆、演技じゃなくて本当にやりたかったんだ』
『でも、皆も上手く手加減出来るかな?』
『『『『『・・・・・・・・・・・』』』』』
『・・・・・・・俺だけにして、良かったよ』
『じゃ、予定通り解体していこう、まず手本見せて貰って良いかな?』
『うむ、ワシがやろう』
テーブルの上に置いたオークを、まずオーラが解体してくれるムーアとライカは経験者なので俺とミュウ・ロックが見て覚えることにする。
血抜きは狩場で済ませてきたので血で汚れることはないが、不要な物を捨てるにしても庭に埋めるのは嫌だしな・・・
処理できる物があれば良いのだが取り合えず大き目の袋に不要な臓器類を入れて<アイテムBOX>に入れることにする。
オーク1体の処理をオーラに見せて貰い、俺達は解れて解体作業に掛かる慣れるまで未経験者の3人で処理していたが何体か解体し慣れてきたら1人1体解体していった。
オークだけでも何十体もあるので流石に時間は掛ったが、全員で作業しただけあって途中<解体>スキルも取得し、バイコーンを含めた肉類全てを解体できた。
<解体>スキルを取得してからは、効率も上がりペースも熟練度も上がった、今日だけで<解体+3>になった、やはりスキル経験値も6倍になってるのかな。
『ふ~ これで終わりかな、皆お疲れ~』
『流石に多かったわね、<クリーン>!!!』
『ミュウありがとニャー』
『しかし便利な魔法だな、皮のなめしから魔石の掃除ワシも魔法使えるようになってから<クリーン>を一番使ってるな』
『生活魔法なんだから以前からも使えたはずよ!』
『ワシは、魔法に苦手意識があったからな』
『あはは 分かります僕も出すよ』
『私は、生活魔法ぐらいしか使えなかったから、重宝してましたわ』
『しかし、これだけ解体すると廃棄物の処理に困るね。今は<アイテムBOX>に入れてるけど』
『ふむ、スライムが居れば綺麗に処理してくれるんだがな』
『なるほど、またエイトールさんに聞いて見よう』
『さて、今日は、ライカの歓迎会だから、御馳走にするよ』
『『『『やった!!!』』』』
『あ ありがとうございます、美味しい物が食べれるんですね』
『あはは ああ今日は、俺が気合を入れて作るよ皆手伝ってくれ』
『『『『『了解!!!』』』』』