第64話 Cランク達成
帰り道でも、何体かの魔物を狩り<アイテムBOX>に入れていく、特にオークはかなりの数がストックできた、当分は肉類に困らないな、特にオークジェネラルの肉が楽しみだ。
この世界では、上位の魔物ほど味が良いらしい。オークって言っても豚肉だから角煮か焼豚にしたら美味しそうだ。
『なあ皆、少し相談なんだが、流石に全部の魔物をギルドに出すと<アイテムBOX>がバレそうなんだけど、どうしたら良いと思う?』
『そうね、荷車を出しても流石に詰めないぐらい狩ったもんね』
『エイトール殿になら話しても問題は、ないと思うがな』
『でも、流石にエイトールさんだけに話が止まらなくなるんじゃないかな、解体作業もあるし』
『<アイテムBOX>が時間停止になったから小出しにしても、良いニャ』
『くふふ 皆さん贅沢な悩みですね~』
『あはは まあそうだよね、でも全部を話せるほど俺達は強くないし慎重にならないとね』
『くふふ 凄い、凄いです、こんなに強いのになんて謙虚な、サークルの強さが少し分かったような気がします』
『フハハ ワシも最近ようやく分かったが謙虚って訳ではないのだ、ライカにも何れ分かる』
『ねーねー じゃあさ小出しにしたらランク上げが遅くなるからアイテムポーチだけエイトールさんに話そうか?』
『なるほど、容量で突っ込まれそうだけど、何とか誤魔化せるかな』
『そうですねアイテムポーチは1つしかないけど複数持ってるって言ってもバレませんよ』
『名案ニャー、それでいくニャ』
『よし、それで行こうか、ところで魔物の解体はいつもギルドに任せてるけど皆は、出来るのかな?』
『ワシは、出来るぞ』
『あたいも、出来るニャ』
『私も、出来ますよ』
『ふむふむ、オーラ・ムーア・ライカの3人か、全員解体も出来るようにならないとね』
『良い機会だからギルドで討伐報告だけして、家で魔物を解体して肉は確保、他の売れる素材は明日売りに行こう』
『・・・・・全部解体するの?ちょ ちょっと覚悟がいるんだけど』
『あはは 気持ちは、分かるけど練習しないとね、6人でやれば直ぐに終わるよ』
『わ 分かったわ、私も頑張るわ』
ギルドでの言い訳?も決まり町も見えてきた、門兵さんに挨拶してギルドへ向かう入口を入ると、いつものようにエイトールさんが受付に居た、まだ時間も早いためギルド内もガラガラだ。
『ただいま、エイトールさん』
『お疲れ様でしたサークルの皆さん』
『獲物は外ですか?』
『いや、それなんですが、少し量が多いので広い場所へ行っても良いですか?』
『? は はい分かりました、ではギルドの裏にある解体倉庫へどうぞ』
『ありがとう、エイトールさん』
俺達は、エイトールさんに案内されギルドの解体倉庫へ向かう、受付からも行けるらしく俺達も後ろへ着いて行く、そこは、ギルドで買い取った魔物を解体する場所のようで結構な広さがあり何台もの解体用のテーブルや道具が並んでいた、時間が早いこともあり職人さん達は誰も居なかった、好都合だ。
『エイトールさん今日は、討伐報告だけして明日、素材を売りに来て良いですか?』
『はい、それは構いませんが、どちらに魔物を置いてあるのですか?』
『ああ、今並べていきますね』
俺は、アイテムポーチから取り出す振りをしてテーブルの上ではなく床へオークを並べていく。
30体ほど出したところでエイトールさんが驚いて話しかけてくる。
『あ アイテムポーチをお持ちでしたか、し しかし何て量の・・・』
『ええ、運よく手に入れることが出来たので重宝してます』
話をしながら倒したオーク・バイコーン・一角ウサギ・ウエアウルフ・ゴブリン等を全て出し終わる。
『な なんて量の・・・し しかもこれはオークジェネラルじゃないですか?』
『流石ですね、後は、オークメイジとオークアーチャーも倒しました』
『オークジェネラルってBランクいえ、大抵、群れでいるのでAランク魔物ですよ?』
『俺達は、運が良かったんですよ』
『うふふ なるほど全部理解しましたわ、しばらくお待ちくださいね』
エイトールさんは1体1体メモを取りながら査定をしていき俺達の下へ戻ってきた。
『お待たせ致しました査定は終わりましたが、お持ち帰りになるなら討伐証明が必要となりますが、よろしいですか?』
『はい、耳でしょうか?』
『はい、耳で結構ですよ』
『分かりました、ゴブリンは全部置いていきますので、それ以外の魔物は耳を置いていきますね』
『はい、それで結構です』
俺達は、手分けして討伐証明の耳を切り取りエイトールさんに渡し、またアイテムポーチへ入れる振りをして<アイテムBOX>へ収納していった。
『はい、確かにクエスト完了となります、うふふ とても近隣の魔物討伐じゃないですけど』
『本来ならオークジェネラル討伐なら報酬も高いのですが、依頼がなかったので安くなってしまい、申し訳ありません』
『次に各自のランクですが全員Dランクまで昇進になります、おめでとうございます、本来ならAランクでも良いと思うのですがCランクになるには、ギルド長の戦闘試験がありますのでご了承下さい』
俺達6人は、ハイタッチして喜びを分かち合う。
『ところで、その戦闘試験ってのは今からでも受けれるんですか?』
『はい、ギルドマスターの都合によりますが、確認を取りますか?』
『そうですね、今いけるならついでにやります』
『分かりました、しばらくお待ちください』
エイトールさんは、ギルドマスターに確認しに行ってくれた。
『り リーダー私でも試験行けるでしょうか?』
『そうだね今日ギルドに登録したばかりだもんね、でもきっと大丈夫』
『仮に失敗しても次で頑張れば良いだけだしね、気楽に行こう』
『皆にも言っとくけど、絶対やっちゃダメなのが、全力を出し過ぎること!』
『『『『『・・・・・・・・・・・・・了解』』』』』
『お待たせしましたギルドマスターに確認したところ大丈夫みたいです、ここで試験するそうなので、しばらくお待ちください』
しばらく待っているとギルドマスターがやってきた、ギルドマスターをやっているだけあって筋骨隆々の40代ぐらいの男性だった、意外に若く銀髪で異世界人って感じだ身長は、俺よりも高くオーラよりも低いってとこかな。
『お待たせ俺が<エンゲルラント>の冒険者ギルドマスターをしているザーランだ、よろしくな』
『俺は、サークルのリーダーをしているクオンと言います、急な頼み事をして申し訳ありません』
『あはは 噂に聞いていた感じと、えらく違うな礼儀正しい好青年じゃないか』
『ひょっとして変な噂が立っているんですか?』
『ああ、サークルには逆らうな!だ』
『フハハ 光栄に思うべきか?』
『も~ 誉め言葉じゃないでしょ』
『よし、では始めようか、最初に簡単に説明しとくが、勝ち負けが試験じゃない』
『Cランクとしての実力があるかどうかを見させて貰うだけだ、木製の武器をいくつか持ってきたんで好きなやつを選んでくれ』
『用意が出来たら一人づつ見るので順番を決めてくれ、以上だ』
『分かりました』
俺達は、少し相談をし様子見でミュウからやることになったミュウの武器は、ムチなので以前使っていた皮のムチを使って良いか了承を得てから試験に挑む。
『ほほ~ 最初は、可愛らしいお嬢さんからか、いつでも良いので掛かって来い』
『んふふ お世辞でも嬉しいわ、では行くわね』
ミュウは、まず<ライトシールド>を張り<ファイアアロー>を10本ほど出して頭上に浮かべた。エイトールさんとギルドマスターの顔色が変わる。
『ちょ ちょっと待て』
『えっ 掛かって来いって言わなかった?』
『言った確かに言ったが・・・・その魔法、俺に撃つきじゃないだろうな?』
『すみません、まずは小手調べと思ったんだけど・・・・手加減しすぎですか?』
『いや待て、それ撃たれたら俺でも普通に死ぬから、とりあえず消してくれ』
『えっ あ はい』
ミュウは頭上に出していた<ファイアアロー>を消し去る。
『ふ~ 焦った・・・・ムチの使用を許可したが、試しに普通に地面を撃ってくれないか?』
『・・・・・まあ、それぐらいなら、でわザーランさんの隣の地面を狙いますね』
ミュウが普通に振るったムチの先端がザーランの近くの地面を撃つ、軽く振ったムチの攻撃であってもフルパーティになりスキルも揃ってきた攻撃力は、地面に小さな穴があくほどの威力だった、もちろん結構な衝撃音があり土埃がまう。
『ご 合格だ次のやつ来い』
『えっ あ ありがとうございます』
『では、ワシの番だな』
ギルドマスターの眼前にオーラが聳え立つ、いつも持っている<双龍刀>が使えないので木製の槍を持って構える。
『・・・・・・ちょっと待て、お前も試しに壁に攻撃してくれないか』
『か 壁をか?まあ、良いだろう』
オーラが手加減した動きで壁の近くまでいくと、カカカンっと子気味の良い音がなり壁に3つの穴を穿つ。
『ご 合格だ・・・・次の・・・いや待ってくれ全員、実力は同じぐらいなのか?』
『いやワシは、パーティでも下の方だが?』
『・・・・・・良いだろう、お前達全員Cランクを認めよう』
『えっ 良いんですか試験やらなくて?』
『ああ、真面にやったら俺が死ぬ、そうだろうクオン?』
『あはは 大袈裟ですよ』
『オークジェネラルを討伐したと聞いたが、それをやったのは全員でか?』
『ああ、それなら、ほぼオーラ一人ですね』
『ああ、分かったサークルには逆らうな!か噂は本当のようだな』
『頼もしい、実に頼もしいが、同時に恐ろしいほどの強さだな、よく今まで隠し通せたな、分かっていると思うが既にAランク以上の実力があるはずだ』
『ふ~ 何もしていないのに汗だくだ、その若さで信じられんな、エイトールお前、分かってたんだろ?』
『うふふ かなりの実力があるのは分かってましたが、私もまさかここまでとは、思いませんでしたよ』
『全く、もう良いから冒険者カードを更新してやれ』
『あの、すみませんが』
『ああ、言いたいことは、分かってるよ余計な事は言わんよ、只それだけの実力だ、何れ領主には会って貰うぞ』
『なんとか、そっとしておいて貰えませんかね?』
『貴族とかに絡まれても我慢できるなら、そっとしておけるが?』
『分かりましたよ、どうやら俺達の言いたい事も理解して貰ってるようだし、でも領主様に会ってどうなっても知りませんよ?』
『おいおい、脅すなよ、心配しなくても悪いようにはしねーよ、この町を殲滅されても困るしな』
『あはは ザーランさん 面白い方ですね』
『ふはは 冗談に聞こえたのか?』