第60話 最後の勧誘
大きな家、いや豪邸ね、私が住んでいた村とは大違いね、こんな豪邸ってことはヒューマンの町かしら、そうだとしたら魔族を入れても良いのかしら?
私が居たのは2階だったらしく部屋から出れば幾つもの扉があり豪華な階段を下りて食堂のような所へ通される、今座っている部屋も、なんて大きなテーブル何人座れるのか分からないぐらい・・・
テーブルの上には食事が既に置いてあり、どれも美味しそう・・・そういえば2日前から何も食べてない・・・
『あっ 皆、来たみたいね』
『目が覚めたんだね、おはよう』
『おはようニャ』
『おはよう、どうやら大丈夫そうだな』
『おはよう、どお痛いとこはないかな?』
『ええ、大丈夫よ昨日は助けてくれて、ありがとう』
『良かった、まずは自己紹介しておくよ俺は、パーティ「サークル」のリーダークオンだ』
『同じくミュウよ、よろしくね』
『あたいは、ムーアニャよろしくニャ』
『僕は、ロックです、よろしく』
『ワシは、オーラだ、よろしくな』
『私は、ライカ、バラ・ライカよ』
『聞きたい事が、色々あると思うけど、まず食べようか』
『そうね、さっ どうぞバラライカさん』
『ありがとう、頂くわ』
『美味しい・・・なんて美味しいの』
『んふふ ありがとう今日は、私が作ったのよ』
『こんな美味しい料理食べたことないわ・・・使用人じゃなくて貴方が作ったの?』
『此処に使用人なんて居ないわよ、私なんて、まだまだだけど、リーダーの料理は驚くわよ』
『ミュウ、ハードル上げなくて良いぞ』
『あはは でもリーダーの料理は最高ですよ』
『ニャハハ 特に魚料理が最高ニャ』
『ワシは、肉料理だな、あれはヤバい』
『私は、スープ類ね、もう最高よ』
『皆、ハードル上げすぎ、作りにくくなるだろ』
『ご馳走様、お世辞じゃなく最高に美味しかったわ、そろそろ聞いて良いかしら?』
『ああ、どうぞ』
『貴方達は、何者?ここは何処なの?』
『俺達は、只の冒険者だ、そして此処は、<エンゲルラント>だよ』
『商業都市<エンゲルラント>?魔族の私を入れて良かったの?』
『んっ 何故、魔族が入れないのかな?』
『し 知らないの?ヒューマンの町なんかに魔族を入れたら大騒ぎになるわよ』
『そうなのか?でも帽子でも被ってたらバレないよ』
『貴方達は、なにも思わないの魔族なのよ?』
『んっ 何故?誰か分かる?』
『分かんないニャ』
『ワシにも、さっぱり』
『僕にも・・・』
『んふふ 私達は、魔族だからって恐れないわよ?好戦的なだけでしょ?』
『うふふ あはは そう好戦的なだけね、参ったわ初めてよ、そんな言われ方したの』
『貴方達、私を山賊から助けてくれたこと、ミュウさんの動きから、きっと飛んでもなく強いんでしょうね』
『外見では、とてもそうわ見えないけど』
『ぷっ くくくっ』
『みゅーーーうーーーー?』
『あはは ごめん、ごめんってば私達は、皆15歳よ』
『えっ み 皆って、皆なの?』
『何故ワシを見る?』
『ニャハハ』
『ムーア殿・・・』
『ニャハハ あたいは、何も言ってないニャー、ライカさんは何歳ニャ?』
『私も15歳よ、同じ年ね』
『『『『『えっ!!!』』』』』
『えっ ってどういう意味かしら・・・』
『んふふ とってもセクシーって意味よ』
『まあ、良いわ、後どうして私を助けてくれたの?』
『君が山賊から助けた女の子に頼まれたんだよ』
『えっ あの二人の女の子に?』
『ああ、魔族の女の子にね』
『あんな小さな女の子、しかも魔族の子供の為に私を助けてくれたの?それを信じろと?』
『信じるも何も、本当のことだよライカさんのことを、とっても心配してたよ』
『その女の子は?』
『ムーアが村まで送り届けてくれたよ』
『そう、助かったのね、良かったわ』
『こっちからも聞くけど、知らない女の子だったんだろ?どうして山賊から助けたんだい?』
『あら、小さい子供が山賊に襲われてたら助けるでしょ?』
『あはは そりゃそうだね、でもその為に、かなり危険な目にあったでしょ?』
『ええ、そうね私は、魔族のくせに弱くてね魔法も満足に出来ないけど、助けない理由には、ならないわよね?』
『ふふふ、そうだけど誰でも出来ることじゃないよ』
『後は、私の怪我を治してくれたのは誰なの?古傷まで綺麗に全部治ってるのよ、どんな方法で治したの?』
『ミュウが治したんだよ』
『ありゃ、古傷まで治しちゃった?ごめんね慌ててたから本気でやりすぎたかも』
『いえ、治したことは感謝してるは、でもいったいどうやって?エリクサーレベルじゃないと古傷まで治らない筈よ』
『只の魔法よ、心配しなくても良いわ』
『なっ ま 魔法だけ?』
『まあ、信じられんかもしれんがミュウ殿は、腕が千切れてても治せるんだよ』
『ま まさか大僧侶クラスじゃないと・・・』
『んふふ 今度見せようか?』
『大僧侶クラスの治療魔法を使い、あの見えないほどの動きが出来るって・・・只の冒険者じゃないんでしょ?』
『う~ん、俺達は、駆け出しの冒険者だよ、能力については、まだ言えないけど』
『まだ?いずれ言ってくれるの?』
『それは、ライカさん次第だよ』
『こちらからも少し聞いて良いかな?あの女の子と同じ村出身じゃないみたいだけど、どこから来たのかな?』
『・・・・・・どうして私の素性なんかを?』
『俺達が、信用出来ないのは分かるけど、正直にその質問に答えるなら興味があるからかな』
『うふふ 魔族の私に興味が?まあ助けて貰った恩もあるし、正確な場所とかは言えないけど答えるわ』
『私は、少し遠い場所にある魔族の村で育ち、今は旅をしてるの』
『一人で旅をしてるのかな?』
『そう一人でよ、まあ正確に言えば旅と言うよりは放浪してるの、どこにも居場所がなくてね・・・』
『生まれ育った故郷があるんでは?』
『私は、小さい頃から何にも出来なくて魔族のくせに魔力は低いし凄く弱かったの、出来損ないってやつね』
『貴方達が言ったように魔族は好戦的なの、誰にでも喧嘩を売るし皆強いわ、種族的な事ね』
『でも私は、弱かったし好戦的にも成れなかった・・・逆に誰にでも喧嘩を売る皆を恨んだわ、皆のせいで魔族が嫌われるとね・・・』
『誰も、私なんかに興味を持たなかったわ親でさえ疎まれて育ったの、私と仲良くしてくれたのは、人間の子だけだった、もちろん私が魔族なんて知らなかったけどね』
『その人間の子にも魔族だってバレてから会ってないわ・・・なんとか15歳になるまで村に置いてくれたけど、流石に居ずらくなって旅に出たの』
『それからは、ずっと放浪生活よ魔族の村にも迂闊に入れないしね私は、弱いから下手したら同族に殺されるわ』
『野宿ばかりだったから魔物にも襲われて体中傷だらけだったけど、それが全部綺麗に治ってたら驚くわよね?』
『どお?私の話なんて面白くも、なんともないでしょ』
俺達は、号泣していた嗚咽が止まらない。
『ちょ ちょっとどうしたの?どうして泣いてるの?』
『ごめん、辛かったんだね嫌な話させてごめんね』
『ひょっとして同情してくれてるの?くふふ 不思議な人達ね、何度も言うけど魔族に同情してどうするのよ』
俺達は、しばらくの間、涙が止まらなかったが、落ち着いてから話をする。
『これからの予定を聞いても良いかな?』
『なにもないわ、また放浪生活よ、どこかに誰も居なくて安全な場所があれば落ち着くかもだけど』
『なら率直に言おう、良かったらずっと此処に居ないか?』
『魔族なのに雇ってくれるって言うの?』
『いや、俺達のパーティに入ってくれないか?』
『私に、冒険者に成れっていうの?言ったでしょ魔族だけど弱いのよ』
『俺達と世界最強の魔族目指して頑張らないか?』
『うふふ あはははは 正気なの?』
『『『『『本気だ!!!』』』』』
『えっ じょ 冗談って訳じゃなさそうね・・・・』
『どうして?迷惑にしかならない私を誘うの?何にも出来ないわよ?』
『それは、現状の話だろう未来は、ちがう』
『ライカさん、私達は、全員弱かったのよ頑張って、ここまで強くなったの』
『ワシも弱かった、種族でも最弱だったが、皆がワシを強くしてくれたのだ』
『あたいは、奴隷だったニャ皆が助けてくれたニャ』
『僕も、何にも出来なかったけど皆に助けて貰ったんだ』
『ライカさん、俺達と頑張ってみないか?俺は絶対に裏切らない』
『・・・・・・・・くふふ 酔狂な人達ね』
『でも、素直に返事出来ないわ』
『信用出来ないのは分かるが、 』
『いいえ信用してるわ、でもよく考えて、私が仮に強く成ったとしても何れ重荷になるわ』
『何故そう思うんです?』
『貴方達は、凄く良い人達だと思うわ、魔族の私を誘ってくれた初めての人達よ』
『私は、そんな貴方達に迷惑を掛けたくない』
『んふふ 迷惑には成らないわ』
『あはは 貴方はリーダーをまだ知らないから、そう思うんですよ』
『ニャハハ リーダーに種族なんて関係ないニャ』
『ワシらのリーダーは、でかいぞ』
『・・・・・・うふふ 皆、凄く信頼してるのね、よく考えたら私、人に頼まれ事したの初めてだわ』
『良いわ、私の命を預けましょう、何も出来ないかもしれないけど全力で頑張るわ』
『ありがとう、本当にありがとう』
『ありがとう、これからよろしくね』
『ありがとう、これからよろしくです』
『ありがとニャ、これからよろしくニャー』
『ありがとう、これからよろしくな』