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第49話 コンパスのダンジョン 技


『むっ ヤミコウモリか』


『私が行くわ、見てて<エンチャット雷>!!!』



ロックにミスリルコーティングされた<スコーピオンテイル>に雷の属性が宿る、ミュウの振るうムチがパチパチと紫色の光を帯びヤミコウモリを襲う、1振りで直撃していないヤミコウモリまで地面に落ちる、あっと言う間に10匹ほどいたヤミコウモリとの戦闘が終わった。



『ミュウ殿、ワシの武器が怖いとか言ってなかったか?凶悪とか?それはなんだ悪魔の武器ではないか、なんと恐ろしいワシには、見ることも叶わぬ動き、だが美しさもある舞のようだ』


『も~ 褒めてるの?貶してるの? んふふ』


『オーラ、俺達はミュウとだけは、模擬戦しないの分かった?』


『うむ、ワシも遠慮願おう、死んじゃうわ』


『も~ オーーラーー君』


『フハハ しかし、もっと見たいとも思うぞ、ワシに君は要らぬぞ』


『なんか誤魔化されたみたいだけど、まあ良いわ、じゃオーラね、私、呼捨ては苦手なのよね』



大した魔物も居ないので階段に向けて真っすぐ向かい地下1階に下りる。



『あっ コボルトニャ、あたいが行くニャ、あたいも新しい技、考えたから見ててニャ』


『ほほ~ 』


『行くニャー <エンチャット水>!!!』



ムーアの<ジャマダハル手甲剣>に水の属性が加わる、それは煌びやかに濡れた光を纏いながら刃を覆う水の剣になる、長さも少し伸びているように見える綺麗な剣だ。


ムーアはコボルトに近づいていくが途中で止まったかと思うと「プンッ」っと聞こえるような回転斬りを独楽のように繰り出し、此方へ帰ってくる。その動きは、まさに瞬きの如く、一瞬だ。俺も驚いた、以前よりも格段に速くなっている、あの技を回避する自信が無い・・・



『むぅ、ムーア殿倒すのでは無かったのか?』


『もう倒したニャ』


『なっ なんだと、た 確かに動かないが、まだコボルトは立っておるぞ?』


『たぶん、斬り口が鋭すぎて崩れないんだよ、見てて』



俺は、コボルトに近づき軽く頭を押してみる、するとコボルトの胸の部分から真っ二つに分かれて落ちる、これには俺も驚くなんて斬れ口だ鏡のようだな。



『な なんと、これでは、あのコボルトも斬られたことも気付いてないのでは無いか?鳥肌が立つような剣技だな』


『うん、その動きは、まさに瞬きの如く一瞬だ、技名は「マバタキ」ってところか』


『ニャハハ それ良いニャー、この技は、そう呼ぶニャ』


『ムーアさん、凄いな~ 僕、回避出来ないかも』


『ロック様のほうが怖いニャー』



俺達は、更に進み地下2階に至る。



『あっ 懐かしいヤミサソリだ』


『本当だ、クオン君と倒しに行って以来ですね、僕が行きますね』


『また、厄介な魔物が、あ奴は、硬すぎて回避したほうが良い魔物と思うが?』


『今度は、僕の技のお披露目ですよ、オーラさん、見てて下さい』


『行きます <エンチャット風>!!!』



ロックは素振りのように軽く<インパクト>を振るが風属性に纏われた超重量の両手槌は素振りであっても「ブオオオオン」と言う風切り音を立てながらヤミサソリに向かう、3体いるヤミサソリの1体に掬い上げのようなロックの一振りが胴体へ当たる。


まるで蠅叩きのように吹っ飛び壁に叩きつけられ動作を止める、瞬くまにもう1体が反対の壁へ叩きつけられ最後の1体のヤミサソリに振り下ろしの一撃が叩き込まれる、「ドゴオオオオオッギンッ」といつもの<インパクト>の轟音が洞窟内に響き渡る、硬いダンジョンの地面にヤミサソリが半分ほど埋まっている。



『・・・・・・言葉もないわ』


『んふふ ロックの技<インパクト>よ2回攻撃なの分かった?』


『むぅ、ワシには振り下ろしの一撃にしか見えなかったが?』


『ロックのあの武器は中が中空になっていて衝撃の反動で中に入ってる錘が2撃目をほぼ同時に叩き込むんだよ』


『故に<インパクト>武器の名前と技の名前が同じなの』


『あの超重量での2連撃か、あれが当たる時、魔物が死ぬ時なのだな、しかしあんな小さな体格なのに、力で勝てる気がせんわ』



その後も、どんどん進んで行き地下8階に至る。



『あ~ もうストーンゴーレムが居る、オリオンではボスだったのに』


『流石に、中級ダンジョンだね今度は、俺が行くよ』


『せっかくだし、俺の新技もお披露目するよ』


『えっ いつの間に新技作ったの?全然そんな素振り見せなかったのに』


『<ファイア>しなくて良いの?』


『うん、俺に任せて <エンチャット闇>!!!』



クオン君は、ストーンゴーレムが3体も居るのに、いつもの熱疲労を利用した<ファイア><ウォーター>コンボじゃなくて、軽くストーンゴーレムの攻撃をひょいひょい回避しながら進んで行く、闇属性に覆われた<ウーツガントレット>が禍々しく見える、あれ<圓月輪>じゃない!ってことは、新技って格闘技なんだ3体のストーンゴーレム相手に胴体・頭・胸と場所を変えながら軽くパンチを当てていくと何故かストーンゴーレムの動きが止まって行く。全てのストーンゴーレムの動きが止まるとクオン君はスタスタと歩いて皆の所へ帰って来た。



『終わったよー』


『『『『えっ!!!』』』』


『終わったって倒したの?ムーアみたいに斬ったようには見えなかったけど』


『あたいにもパンチしか見えなかったニャ』


『僕も、軽いパンチしか』


『ぬぅ、お主達でも見えない攻撃なのか?』


『いや、パンチしかしてないよ、ストーンゴーレムの後ろを見て』



皆は、俺の言ったとおりストーンゴーレムの後ろを見に行った。



『な なんで後ろ側が吹っ飛んでるんだ?』


『ストーンゴーレムのコアが後ろから飛び出してるニャ』


『んふふ クオン君、今の新技ってなんて言うの?』


『流石はミュウ、よく新技って分かったね、名前は、「寸勁」パンチの衝撃を魔物の内部へ叩き込む技だよ』


『ふあ~ それで後ろ側だけ破壊したんですね正面は無傷なのに・・・』


『そ そんなことが可能なのか?い いや結果を見ても信じられぬ・・・』


『確かに、この技なら硬い魔物でも関係なく倒せますね』


『し しかし何故ストーンゴーレムのコアの位置がわかったのだ?』


『ん~ それは、感かな』


『な 只の感だと?』


『んふふ オーラさん、クオン君の<直感>は、私達とは、ちょっと違うのよ、なんやかんや言っても私達は、今のクオン君に勝てないわ、もう予見って言っても良いぐらいの力よ、このパーティ最強は、間違いなくクオン君なのよ』


『ちょっと褒めすぎじゃないか?』


『ニャハハ でもほんとニャ』


『あはは そうですね』


『いや俺も改めて皆凄いと思ったよ、もちろんオーラさんもだよ』


『フハハ いやワシから見たら皆、化物だ、しかし楽しさが止まらぬ、ワシも化物に成りたいものだ』


『さあ、普通にストーンゴーレムが出てくるぐらいだから油断せず進もうか』


『『『『了解!!!』』』』



強めの魔物と言っても俺達には、まだ敵と呼べる魔物は無く、遂に地下10階のボス部屋の前に着く。


そこには他のパーティが既にいて順番を待っているのか?6人パーティで誰がリーダーなのか分からなかったので一番近くに居た魔法使いっぽい男性に聞くことにする。



『すみません、お聞きしたいのですが、ボス部屋の順番待ちでしょうか?』


『ああ、いや違うんだ地下10階で狩りをしているんだが、ここはセーフゾーンだから休んでいたんだよ、君達はボス部屋挑戦かい?』


『はい、今から挑戦しようかと』


『見た所5人パーティだし、それに皆若いボスは強いから、やめておいた方が良いんじゃないか?』


『ありがとう、でも俺達は大丈夫だから、通して貰うよ』


『あ~ 待て待て俺達も本当は、地下12~14階で、狩りをしようと来たんだがボスが倒されてなくて諦めたんだ、それだけここのボスはつええんだぜ』


『うん、焦らなくても、もっと強くなってから挑戦したほうが良いわよ?』



親切にも俺達のことを心配して他のパーティの方が声を掛けてくれるが、さてどうしたものか・・・



『う~ん、困ったな・・・』


『じゃ、ここでちょっと狩りして認めて貰うってのはどうかな?』


『そうだな、せっかく心配してくれてるのを無碍には、出来ないしな』


『皆も、それで良いかな?』


『『『『了解!!!』』』』


『俺は、このパーティ「サークル」のリーダークオンって言います、少しここで狩りしていきますので、それでボスに挑めるか判断して貰えますか?』


『き 君達が「サークル」なのか?』


『あれ、知ってるんですか?駆け出しの新人なんですが・・・』


『君達ギルドの斡旋所で、ひと悶着起こしただろ?』


『『『『『あっ』』』』』


『あ あれ、そんなに広まってるんですか?』


『どうやら覚えがあるようだな、俺達が聞いた噂じゃ「サークルには手を出すな」だ!』


『見たところ、そんなに危険な者達には、とても見えないが、一体何したんだ?』


『・・・・・・・べ 別になにもしてないわよ』


『フハハハハ いや斡旋所でワシが同じ冒険者に絡まれてなサークルに助けて貰ったのよ』


『あんたの事も知ってるわ、ポーターやってた龍人でしょ?』


『よく知っておるな』


『あなた、かなり目立つから1度見たら忘れないわよ』


『ワシって目立つのか?』


『『『『かなり!!!』』』』


『むっ そ そうなのか・・・』


『ま まあ良いサークルの中で一番弱いワシが実力を見せるから、それを見て判断してくれんか?』


『一番強いの間違いだろ?』


『いや、間違ってはおらぬ』


『確か左腕動かないからポーターやってたのよね?間違いでもないかもよ』


『いや、もう左腕は治っておるが、サークルで一番弱いのはワシだ』


『まあ、良いそこまで言うなら見せて貰って良いか?俺達も若い奴らに死んで欲しくないんだよ』


『ああ、行こう』



なんやかんやで話は、纏まり俺達の実力を見せるために魔物を探す。<マップ>で探すと近くに5体の魔物が居るのがわかり、そこへ向かう。



『お おい、あれはハイオークだぞ、しかも5体だ俺達も加勢しよう』


『いや、見ていてくれオーラ行けるか?』


『うむ、任されよ』



オーラは、<ライトシールド>を唱え盾は使わずにオークに斬りかかるエンチャットは、まだ練習中のため付いていないが2メートルを超えるオーラの<双龍刀>がハイオークに襲い掛かる、片手で振った一撃が2体のハイオークを真っ二つにする、そのまま残り3体のオークに詰め寄る、オークも強襲を受けたため反撃の猶予もなく、あっさりと斬り伏せられた。


オーラは、ドロップした魔石を拾い、こちらへ帰ってくる。



『でっ どうだワシらを認めてくれるか?』


『な なんて強さだ、右腕しか使ってないのに一瞬でハイオーク5体を倒すとは』



向こうのパーティリーダーらしき人は返答してくれたが、他のメンバーはオーラに怯えているようだ。



『わ 分かった十分だろう、悪かった行ってくれ』


『心配してくれて、ありがとう、またどこかで会いましょう』



俺達は、向こうのパーティへ軽く会釈してからボス部屋へ戻る。



『ふう~ あの龍人凄まじいな』


『わ 私は、怖かったわ寿命が縮んだわよ』


『な~ でも本当にあの龍人がサークルで一番弱いんだったらどうする?』


『ま まさか子供ばかりだったわよ』


『でも、あの龍人ウソを言ってるように見えなかったしハイオーク5体いたのに、他のメンバー全然怯えてなかったぞ』


『サークルには、手を出すなか・・・こりゃー 友達になるしかねーな?』


『『『『『賛成!!!』』』』』


『それにあの龍人の話が本当なら予定どおり地下12階へ行けそうだしよ』


『あはは そうだな扉の前で待ってようかリーダー』


『そうしよう』


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