第46話 オーラの武器防具作成
『ワシも正直あの者達に着いて行きたい、例え途中で倒れることになろうとも龍人として強さを求めたい、それがあの者達と共にならば出来るような気がする』
『いや、やってみせるワシは龍人の限界に挑みたい、強さとは戦闘力だけではない、己の信じる道を貫く意思力、人を庇える力、ずっと夢見ていた理想を体現する者達へ着いて行きたい』
『デルタ、いつかクランを立ち上げるときまで待っていてくれるか?』
『もちろん、オーラ兄ちゃんのクランに入れるよう僕も頑張る』
『フハハ 楽しみだな明日早速、孤児院に頼みに行くか』
『うん、僕もまず友達作らないとね』
『そうか、今まで友達も居なかったな、病気であったとはいえ、すまなかったな』
『いや、居たよオーラ兄ちゃんが僕は、全然寂しくなかったよ』
『孤児院に行くことになっても、たまに遊びに来てくれると嬉しいんだけど・・・』
『ああ、もちろんだ』
オーラとデルタは、自宅へ着いてからも、これからの夢や希望を語り合い、お互い頑張ることを誓い合う。
◇ ◇ ◇
俺達はオーラさん達が帰った後、明日は何をするか相談したが、やはり今日話を聞いたコンパスのダンジョンへ行くことに皆の意見が一致した、しかしそれは、オーラさんを待ってからの話となった。
ロックはオーラさんに、それとなく使っていた武器や防具、どういった盾を使っていたのかを聞いており、既に構想を練っているらしい。
実にロックらしいと思ったが、俺も明日手伝うことにする、オーラさんを待ちながらオーラさんの武器防具を作るのも楽しそうだ、ロックとその話をしているとミュウとムーアも乗ってきた皆でギャーギャー言いながらオーラさんの武器防具の構想を練っていると盾の作成に話が盛り上がった、どういった形状、効果、使用法、収納方法に至るまで皆で議論した結果、中々楽しそうな盾になりそうだ。
ん~ よく寝た、昨日は、オーラさんの武器防具の製作の話で盛り上がって、遅めに寝たんだった。
さってと、そろそろ起きてロックを手伝おうかなって、ロックまだ寝てるだろうな久しぶりに起こしにいくか。
俺は、ロックの部屋へ向かい扉を開ける、あれ居ないやキョロキョロしてるとロックが走ってきた。
『クオンさん、聖杯貸して!』
『早いなロック、朝食取ったのか?』
『あっ そういえば食べてないや』
『あはは 先に朝食に行こう、それから一緒にやろう』
『そうだね、そうするよ』
俺とロックが朝食を取りに、いつもの部屋へいくと既にムーアとミュウが朝食の用意をしてくれていた。
『おはよー 早いね』
『おはようございます、ミュウさんムーアさん』
『おはよー ロック珍しいわね起きてるなんて』
『起こしにいくところだったニャー』
『あはは ロック朝食も取らずに鍛冶してたんだよ』
『んふふ ほんと好きね~』
ミュウとムーアが作ってくれていたのは、輪切りのパンに卵焼きを乗せたエッグトーストのような食事で美味しかった、今度、目玉焼きを教えて上げようと思いながらロックに話しかける。
『ところでロック、聖杯を何に使う気だったんだ?』
『盾の素材に使う鋼材を最初から聖水で作ろうと思って』
『なるほど<ライトシールド>を強化出来るとか?』
『流石ですね、光属性に傾けたら効果も上がるかなと思って、ミスリルベースで考えています』
『光属性の原石欲しいわね、武器にも付けたいところじゃない?』
『そうなんですがコンパスのダンジョンで原石も採掘出来るそうなので、そっちで頑張ろうかなと』
『あ~ なるほどね、私は、<付与術>頑張ろうかな』
『あたいは、服の素材見てくるニャ』
『あ~ なら私も<付与術>用の効果探しに行こうかな』
『なら、一緒に行くニャ』
『そうね、んふふ ショッピング行こ』
『あ~ なら食材も頼んで良いかな?野菜で美味しそうなやつ』
『分かったわ』
『魚も買って良いかニャ?』
『あはは 良いよ』
『ニャー 美味しそうなやつ見てくるニャー』
『じゃ私達は、買物行くけどオーラさんが来たら<パーティトーク>で呼んでくれる?』
『分かったよ、皆なんかあったら<パーティトーク>で連絡取ろう』
『『『了解!!!』』』
俺とロックは、オーラさんの武器防具の作成に取り掛かった。昨日の夜、大体の打ち合わせをしていたので作業は、淀みなく進むロックは、非常に楽しそうだ本当に<鍛冶師>が好きなんだなと思う。昼頃になっただろうか<神の声>が鳴り響く。
【パーティスキルの<イクウィップクリエイター+2>が<イクウィップクリエイター+3>に成りました。】
【ロックの<鍛冶師+2>が<鍛冶師+3>に成りました。】
『お~ おめでとうロック』
『す 凄いですよクオンさん、僕の精度が向上したのが分かります、これなら今までより、かなり短時間で製作出来るようになりそうです』
『なるほど、俺達は<鍛冶師>ランクだけじゃなくて<イクウィップクリエイター>があるからなランクが上がっていけば、どんどん精度も上がっていきそうだな、彫金とかも<イクウィップクリエイター>で、かなり上手く出来るようになるんだろうな』
『うん武器防具の装飾が、かなり出来るようになってきたよ』
『ああ、そうか装飾は彫金の部類になるのか』
『それでロック、盾の素材にしようとしてるミスリルに聖水を馴染ませてるけど、こんなもんで良いかな?』
『うん、これで作ったらかなり<ライトシールド>も強化されるはず、それで今思いついたんだけど形状は昨日考えていたやつよりも、もっと細身にして地面に突き刺したら左右に広がり盾の形になるようにしたらどうかな?』
『それだと、かなり薄くならないか?』
『盾の強度だけじゃなくて、<ライトシールド>の効果を倍増出来そうだから、それで補えるんじゃないかな?』
『それにオーラさんの武器に考えている、あれ片手でも使えるけど両手で持ったほうが真価を発揮するでしょ?』
『確かに、そうなると盾の形状は、こんな感じかな?』
俺は、スケッチを取り出し図示してみる。
『そうですね、盾の先端を杭状にして、肘撃ちの様に地面に突き刺すと、ジャバラ状に盾の形状になるように』
『左腕に装着するとして長い手甲に見えるね、盾の先端はオーラさんでも頭上を越えそうだ』
その盾は、背の高いオーラさんに合わせて細身で左腕の手甲のように装着する、それは、かなり長かった1.5メートルぐらいあるだろうか、装着して左手首の方が盾の上部になる、肘打ちのように盾の先端を地面に刺せるよう微調整は必要そうだ。
『しかし 武器の方も凶悪だね、2メートル超えてるんじゃない?ロックの武器より怖いよ』
『あはは クオンさんの圓月輪も凶悪ですよ』
『そうだな、確かにこれは、ヤバい手加減するのが大変だ』
『さて後は、仕上げだな<付与術>は、ミュウを待とうか』
『そうですね』
俺とロックが仕上げに取り掛かっているとミュウとムーアが帰ってくる。
『ただいま~ ロックおめでとう』
『<神の声>聞こえたニャー、おめでとうロック様』
『でっ どうだった収穫のほうは?』
『残念ながら良い糸は、無かったニャー』
『んふふ 私のほうは、良いのあったわよ』
『ええっ ほんとですか?』
『ロック喜びすぎよ、なんと<付与術>で<硬度強化>がついてる盾を見つけたわ』
『うわ~ それ武器にも防具にも使えるじゃないですか』
『ロックそれなら、あの盾完全にいけそうだな』
『はい、これで完璧ですよ』
『ん、なにか分からないけど喜んでくれて嬉しいわ♪』
『後は、ミュウさんとムーアさんの武器も下さい、さっき<鍛冶師>と<イクウィップクリエイター>のランクが上がってコーティング技術が出来るようになったんで二人の武器もミスリルでコーティングして魔法属性を流せるようにします』
『ええ~~ 凄いじゃないロック』
『嬉しいニャー、クオン様みたいに魔法剣使えるニャ』
俺達は、ミュウが買ってきてくれた<付与術>の<硬度強化>を皆の武器防具につけオーラさんの装備も完成した、ミュウのスコーピオンテイル、ムーアのジャマダハル手甲剣、ロックのインパクトにもミスリルコーティングが終わり、俺達の装備がまた一つ強化された。
全ての作業が終わり、後はオーラさんを待つだけになったので昼食の準備をすることにした。
『ん、誰か来たニャ』
『おっ ひょっとして』
『待ってました』
『あはは まだ分からないよ』
俺は、期待しながら玄関の扉を開けるオーラさんだ、デルタ君は居ないようだ、思わず笑顔になるが、待て待てまだ返事を聞いていない最悪、断りの来訪かもしれない、とりあえず中へ入って貰う。
『こんにちわオーラさん』
『こんにちわサークルの皆さん、昨日は色々とお世話になり、すまなかった感謝の言葉もない』
『デルタ君の体調は、どうですか?』
『ああ、お陰様で絶好調だ、朝起きてからも呼吸が楽に出来ることに驚いていた。今日も朝から孤児院に行ってデルタを預かって貰えるよう話をつけてきたところだ』
『それは、良かったわ』
『オーラさん それでは僕達のパーティに?』
『ああ、お世話になろうと思う、しかし』
『しかし、なんニャ?』
『ワシは、弱い!君達に追いつけるよう粉骨砕身で頑張るつもりで来た、何年掛かるか分からないが本当にポーター役しか出来ないかも知れないが気長に待ってほしい』
『ニャハハ 3日ニャ、3日ぐらいで追いつけるニャ』
『んふふ いいえクオン君の次に強く成れるわ』
『僕達は、この間までオーラさんより弱かったですよ、たぶん』
『オーラさん、オーラさんは、俺達の誰よりも強く成れるよ!』
『き 君達は、ワシのことを、そんなに信じてくれるのか?』
『信じると言うより確信です!では皆、覚悟は良いか?』
『『『いつでも!!!』』』
『オーラさん 俺達のパーティ「サークル」に入って下さい、お願いします』
『『『お願いします!!!』』』
『ああ、宜しく頼むワシは、その期待に応えて見せる!』