第42話 指名依頼
『アイテムと言うより付与効果に興味があるみたいですわね、聞かせて貰っても宜しいかしら?』
『はい、俺達は<付与術>使えるんですが付与効果があるものを、あまり見たことがなくて参考にしたいんですよ』
『ああ、なるほど、でもこのピアスほど良い物では、ありませんよ?』
『見せて貰えたら、すっごく助かるニャ』
『お嬢様、お待たせ致しました』
メイドさんが、小さいが豪華な箱を持ってローニアさんに手渡す、それは指輪だった箱を開けたままローニアさんは俺に手渡してくれる。
『これは、また綺麗な指輪ですね、どんな付与効果が付いてるんですか?』
『それは、お父様が護身用に下さった物で<即死防御(1回)>が付与されております』
『なんでも1回だけですが、即死級の攻撃を無効にしてくれるとか』
『そんな貴重な物を見せて貰って、ありがとうございます』
俺達は、全員でその指輪を見せて貰った、<鑑定>も使い、指輪に宿った付与効果の魔力を確認する。
すると<神の声>が響く、どうやらコピー出来たようだ、俺達は、ローニアさんに分からないように喜ぶ。
【ムーアが<即死防御(1回)>を<付与術>としてコピーしました。】
『ありがとうございました、とても参考になりました』
『うふふ こんなことがお礼になるとは、思えませんが喜んで頂けて嬉しいですわ』
『いえいえ、俺達にとっては、こんな貴重な物、見る機会は無いので助かりましたよ』
『でわ、そろそろお暇しますね』
『また、付与効果の付いた物が見せれるようになったら、連絡致しますわ』
『本当ですか、すっごく助かります』
門までローニアさんとザルガさんが見送ってくれる、侯爵家の方なのに全然偉ぶらず良い人達だ。
『あっ 言い忘れてましたがザルガさんの杖、仕込み杖なので、なんかの役に立てて下さい』
『では、お邪魔しました』
『えっ あ は はい、またお越しくださいませ』
クオン殿を見送り、見えなくなってから漸くお嬢様に話掛ける。
『い 今、クオン殿が帰り際に、なにかおっしゃったのですが・・・』
『うふふ 私も聞こえましたわ、ザルガ見てみなさい』
『はい お嬢様』
ザルガは、杖の持ちて部分を軽く回すとスラッと抜けた。
『こ これは、ミスリルレイピア』
『うふふ 私は、もう驚きませんわ』
『なんと美しい刀身、緻密な作り、こ これは言われなければ仕込み杖とは、気付けませんでした』
『まさか、こんな短期間にオリオン制覇とは、驚かされますわね』
『フハハ お嬢様の言う通り、飛んでもないお方達ですな』
『今回は、ザルガのお陰ね、ありがとう、これからも頼みますよ』
『はい、お嬢様』
◇ ◇ ◇
俺達は、とりあえず家へ向かいながら話をする。
『とりあえず成功したな』
『バッチリニャ』
『これ、ひょっとしてポーションの効果も<付与術>としてコピー出来るんじゃないかな?』
『『『あっ !!!』』』
『そっかHP回復とかは、魔法覚えてるんで付与出来るけどMP回復する魔法は無いから、MPポーションから<付与術>として覚えたら良いんだね』
『全然気が付かなかったよ』
『ニャハハ あたいも気が付かなかったニャ』
『僕もです、盲点でしたね』
俺達は、家へ帰ってから<付与術>として効果を付けれる物を一覧にして書き出した。
身体強化
敏捷強化
腕力強化
退魔
病気無効
毒無効
麻痺無効
呪い無効
HP回復
MP回復
自動清潔
即死防御(1回)
俺達は、もう一度付与効果を検討した、どうやらスキルとして覚えてるものは、装備に付与しても重複しないようだ<身体強化>とか<敏捷強化>は、付与しても同じだったが耐性系やMP回復は、効果を発揮した。
MPポーションを飲んだ時のように一定量回復するのではなく、徐々に回復する量が増えた、また装備にいくらでも付けれるのではなくミスリルとかウーツ鋼を使った装備は<付与術>が多く付けれた。
俺達の装備の付与を見直し皆、装備しているシルバーリングに<即死防御(1回)>を付与し防具に<HP回復>と<MP回復>を追加した。
そして、これから欲しい付与効果も一覧にしてみた。付与出来れば、どれも有用且つ強力になるものばかりだ。
HP上昇
MP上昇
切断強化
打撃強化
突強化
硬度強化
HP吸収
MP吸収
物理反射
魔法反射
自動修復
温度調節
っと、こんな感じで、これからの課題だ<付与術>の話も終わり、今後の方針の話をする選択項目は、またダンジョンへ行って素材集め・お金稼ぎ・レベル上げをするかスキル上げか<付与術>の効果集めか町の探索等々やることが多すぎて迷ってしまう。
順当にいけば、新しい武器も試したいしダンジョンに行きたいところだが、オリオン以外のダンジョンってのも興味がある。他のダンジョンの話を聞きに冒険者ギルドへ行くのも良いかな。
『さて、一旦家に帰ろうとは、思うんだけど今日は、どうする?』
『ん~ 私は、魔法のスキル上げかな』
『あたいもスキル上げしたいニャ<身体強化>とか<敏捷強化>ニャ』
『僕は、ウーツ鋼が、もうちょっとしかないので補充しときたいですね』
『ふむふむ、まあウーツゴーレムが、たまたま居たら良いんだけど、確認を兼ねてオリオンでスキル上げしようか?』
『『『賛成!!!』』』
俺達は、今日やることが決まり家へ戻り昼食を軽く取ってから冒険者ギルドへ向かう、オリオンのダンジョンに行くついでに他のダンジョン情報も聞いておくためだ。
『こんにちわ、エイトールさん』
『こんにちわ、クオンさん、今日もダンジョンですか?』
『はい、それで少しお聞きしたいのですが、オリオンのダンジョン以外にお勧めのダンジョンって、どこでしょうか?』
『う~ん、そうですねコンパスのダンジョンなんて人気がありますよ』
『ふむふむ、少し詳しく聞いて良いですか?』
『はい、この町から近いと言うこともあるんですが地下50階まであり、オリオンより攻略難度が高くなっており下層では貴重な魔物やレアアイテムも確認されております、中級以上の冒険者に人気があるようです』
『また、火山フィールドがあり各種鉱物や原石が採掘でき、未確認ですがゴールドを落とす魔物がいるとか、ゴールドは装飾品や単体でも非常に高値で買い取っているため金策でも人気があります』
『へええ~ なかなか良さそうなダンジョンですね、ありがとうございます』
『あっ それとクオンさん少し御相談したいことが、あるのですが、よろしいでしょうか?』
『良いですよ、パーティ全員で聞いた方が良いですか?』
『はい、奥の部屋へお通し致しますので是非、お願い致します』
いつもお世話になっているエイトールさんが、なにか神妙な感じで話をしている、なにか分からないが俺は、皆に声を掛け奥の部屋に着く。
『皆様、貴重なお時間を割いて頂きありがとうございます実は、個人的なご相談になるのですが、皆様のお人柄と実力をお見込みして是非、ポーターを1人雇って欲しいのです』
『個人的にですか?なにか訳ありって感じですね』
『はい、私には、妹がいるのですが、近くの森で採集しているときに運悪くサーベルタイガーに襲われたそうで、サーベルタイガーは臆病な魔物で町の近くになど滅多に来ないのですが、妹が1人であったためか襲われ危ない所1人の龍人に救われました』
『その達人は、左腕をサーベルタイガーに咬まれ負傷し、それから動かせなくなったのです』
『私は、妹と直ぐにお礼に行ったのですが、お礼もお金も受け取ってくれず、その時には腕の負傷も聞かされませんでした』
『しかし、冒険者ギルドの伝手で調べたところ、その龍人の方は冒険者でタンク兼ポーターの仕事をしていたそうで左腕が動かなくなってからタンク役が出来なくなったことが分かり、恩返しも出来ないまま苦慮しております』
『現在は、ポーター専門として斡旋所で働いているようなのです。報酬の方は、私から出しますので短期間でも結構です、是非その龍人の方を雇って貰えないでしょうか?』
『私に出来ることは何でもします、どうか是非、お引き受け下さいますよう、お願い致します』
「切羽詰まる」と言う言葉を思い出すほどエイトールさんは、深々と頭を下げ必死になっている。
俺達に頼んだのは最後の手段なのだろう、しかし個人的に会いたくなってきたな龍人か。
『なるほど、事情は分かりました、少し相談さして貰って良いでしょうか?』
『分かりました、私は、受付で業務しながらお待ちしています』
俺は早速、皆と相談することにする。
『俺は、受けようと思う皆は、どお?』
『んふふ ちょっとその龍人に会いたくなったわ』
『僕も、会いたいですね~漢ですね』
『あたいもニャ』
『あはは 相談の必要なかったね、俺は、皆を誇りに思うよ』
『んふふ 何言ってるのよ一人でも受けたくせに』
『逆ですよリーダー、俺達の誇りがリーダーですよ』
『ニャハハ あたいは、皆が好きニャア』
『サークルの意見は、一致した行こうか皆』
『『『了解!!!』』』
俺達の相談は、1分掛からなかった皆良い奴だ、感謝しよう。部屋の扉を出るとエイトールさんはカウンターにいたのですぐに話掛ける。
『エイトールさん、俺達は、喜んでお受けします』
『ありがとうございますクオンさん、サークルの皆さん感謝致します』
エイトールさんは、涙を流しながら喜んでくれた。エイトールさんも、また気持ちの良い方だ。
『では、早速行ってきます、どこへ行けば会えますか?後、名前は何というのですか?』
『はい、ありがとうございます、このギルドの隣の建物がパーティメンバー斡旋所になっているのですが、そこで待機してると思いますので、よろしくお願い致します。名前はフート・オーラさんです』
『後は、申し訳ないのですが私からの依頼と言うのは内緒にして頂けますか』
『分かってますよエイトールさん、行ってきますね』
俺達は、ギルドを出て隣の斡旋所へ向かう。
『へ~ ギルドの隣って斡旋所だったのね、流石に大きい町は色々あるわね』
『ニャハハ そういえば忘れてたニャ』
『僕も知りませんでしたけど、普通は、こういう所でメンバー探すんですね』
『ごめん、俺も全然考えてなかった・・・』