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第40話 賃貸一軒家


ローニアさんの執事さんは、出掛ける事をメイドさんに告げ俺達を案内してくれる、良い感じで年齢を重ねた好々爺と言うのか、まさに執事って感じの方だ。



『こちらが商用ギルドですな』


『ありがとうございます』


『ついで、ですから私も参りましょう』



執事さんがスタスタと商用ギルドへ入っていく、めっちゃ優しいな逆に気を遣うぐらいだ。これは、なにかお礼しないとな。



『これはこれは、ザルガさん、珍しいですな』



どうやら執事さんは、ザルガって言うらしい当然のように知り合いかな。



『本日は私では無く、こちらのクオン殿に貸し家を見て頂きたい』


『パーティ「サークル」のリーダーをしておりますクオンと言います、よろしくお願いいたします』


『これは、ご丁寧に、私は、商用ギルドのギルド長をしておりますゲルマンと申します』


『今、ザルガさんが言ってくれたとおり、貸し家を探しているのですが色々教えて頂きたくて』


『分かりました、お伺いいたしましょう、こちらへどうぞ』



商用ギルドの中にある応接室のような豪華な部屋へ案内され座ると直ぐにお茶を出してくれた、日本並みの接客だ、俺達は、それぞれの希望をゲルマンさんに伝え出来るだけ希望した家、そして費用がどれぐらい掛かるのかを聞いてみた。



『そうですな、それですと結構な広さと部屋数が要りますので月に金貨20枚ほどで如何ですか?』


『それぐらいなら、なんとかなりそうです』


『ほほ~若いのに大した稼ぎですな、それでは今からでも見に行きますか?』


『はい、お願いします』



俺達は、どんな家かワクワクしながらゲルマンさんについていく。



『まずは、こちらの家です、どうぞお入りください』



そこは、高級住宅街のような塀に囲まれた一軒家で、結構でかい構造は石作りで瓦葺きのようだ2階建てで庭もあるが横一列に並んでいる家の1件だ、広めの庭があるとはいえ、そんなに鍛冶の音が気になるが<エアウォール>でどうにかなるかな?』


中へ入ると大き目のリビングがあり、皆で集まって食事できそうな空間とキッチン、倉庫があり2階も合わせると6部屋ある。



『へ~ なかなか良いところね』


『広いニャー、庭があるニャー』


『こちらには、残念ながら地下室は無いのですが倉庫が内壁も石作りと成っておりますので簡単な改装で火炉も置けるかと思います』


『なるほど、いくつか見せて貰っても良いでしょうか』


『分かりました、では次の家へ参りましょう』



俺達は3件ほど見せて貰ったが、やはり月金貨20枚では、さすがに地下室って訳にはいかないらしい。



『う~ん、流石に大き目の地下室ってのは厳しいね』


『あっ 私は良いわよ、流石に贅沢よね』


『ふむ、予算内で地下室付きも、あるにはあるのですが、少し問題がありまして、それさえ我慢して頂ければお値打ちとなっておりますが』


『問題ですか?』


『ええ 体験していただいた方が分かりやすいかと思いますので、ご案内致します』



その場所は、町の奥まった貴族街の外れにある豪邸だった、外観は城だ、広大な庭、3階建、何部屋あるのかわからないぐらいだった。



『さ 流石に此処は、予算内では無理でしょう?』


『ええ、以前ここは、子爵家の家でしてな、余り良い噂の聞かない方で恨みを買ったんでしょうな家全体に呪いを掛けられまして、今まで何人かに御貸ししたのですが、我慢できなくなりすぐに出ていかれましてな、私共も困っている物件なのですよ』


『怖い呪いなのですか?』


『それは、まあ入って頂ければすぐに御理解頂けるかと』



俺達は不気味な話で軽くビビって恐る恐る玄関に入ると何かおかしい、そうだ動きだ玄関から入った瞬間極端に動きが遅くなった、なんだこれ?



『どうですか?お分かり頂けたかと思います、この通り普通に話はできるのですが移動速度が約半分になる呪い「スロー」が家全体に掛けられております』


『ニャハハ 面白いニャー』


『これ走ってようやく歩くスピードぐらいですね』


『なるほどね、こりゃー不便だわ』


『家自体が良いから試しに借りる方は居ても、すぐに嫌になるんだろうね』


『しかし、ここでしたら石作りの地下室、火炉も容易に置けますし裁縫、錬金すべてご要望どおりいけます』


『少し相談さして貰っても良いですか?』


『もちろん結構ですよ』


『えっと 言わんとしてること大体分かるよね?』


『借りるしかないでしょ?そして作るしかないでしょ』


『手伝いますよ、ディスペルポーション!』


『失敗しても、あたいたちなら普通の速度で動けるニャ』


『あはは 説明は、要らないみたいだね、決まりだ借りよう』



俺達4人は、ハイタッチして喜びを分かち合う。



『すみません、お待たせしました、ここを、お借りします』


『おお、そうですか、こちらも助かります』


『早速、商用ギルドへ戻って書類を作ります、急がなくても結構ですから今日また起こしいただけますか?』


『すぐに借りれるんですか?』


『はい、書類にサインをして頂いて今月分の金貨20枚で家の鍵をお渡ししますよ』


『分かりました、今日中にお伺い致します』


『ザルガさん、ありがとうございました、お陰様で良い家が見つかりました』


『宜しかったのですかな、動きにくそうですが・・・』


『俺達には、あまり支障には、なりませんので』


『フハハ なるほど、ではまた、お嬢様にもお会いしに来て下さいますと喜ばれますので宜しくお願い致します』


『はい、ローニアさんにも宜しくお伝えください』



さて、ここからが本番だ、とりあえず宿屋に戻ってディスペルポーションが出来ないと話が進まない、必要な材料を揃え宿屋の部屋に集まり作業を開始する。



『さって、じゃ気合入れて行こうかな、今までの<錬金術>と違って錬金術スキルを使わないと、出来ないみたいでね本気出すよ』


『そういえば、比較的簡単な<錬金術>しか私もやったことないわね』


『俺も、メディカルポーション作ったときに、ちょっとかじった程度なんだよ』


『僕の<鍛冶師>スキルの派生みたいなスキルですよね』


『そうそう冶金術だっけ、あれみたいなやつが<錬金術>にもあるんだよ』


『あたいも錬金術の本読ませて貰ったけど難しそうニャ』


『うん、今後の為にも皆で見てて』


『まず、「オリオンの聖杯」から聖水作るね、っとこれをビーカーへ入れてっと』


『次は、呪いの紙を用意して、さー 始めるよ』


『熔解:これは、まず金属だろうがなんだろうが液体状にする、これで呪いの紙を熔かす』


捏和ねつか:次に、熔けた呪いの紙と聖水を混ぜる』


『精製:これで必要な物だけ抽出する』


『昇華:ここで、聖水で呪いの紙成分が解呪されてる効果を一段引き上げる』


『固定:そして、一段引き上げた効果を固定する』


『凝華:最後に、固定した効果を液体に戻す』


『完成だ!』


『『『『おお~ パチパチパチ!!!』』』』



【クオンの<錬金術+1>が<錬金術+2>に成りました。】



『丁度スキルも上がったね』


『難しいニャー』


『すっごく難度上がってない?』


『<錬金術>も覚えたいです、きっと<鍛冶師>でも役に立ちそうですね』


『さー 鑑定してみるよ、うまく出来てると良いんだけど』


『<鑑定>!!!』



【アンサー ディスペルポーション効果【大】:最大級の解呪効果を秘めたポーション。】



『うわ~ ちょっと、これ最大級のポーションじゃない』


『えっと、これきっと<エンハンス>のせいじゃないかな、<錬金術>のランクまだ低いし』


『やったニャー、これなら魔導書も解呪できそうニャ』


『うわ~ 流石リーダーですね』


『ロック煽てても何も出ないぞ』


『あはは』


『さっ 本番だ!ミュウ「解呪の魔導書」貸して』


『はい、お願いね』


『「解呪の魔導書」にポーション掛けるって緊張するね、行くよ』



俺は、「解呪の魔導書」にディスペルポーションを少しずつ垂らしていく、魔導書は濡れると言うよりもポーションが魔導書を包み込んでいく感じだ、全部のポーションを垂らし終わった後、淡い光を放ち魔導書に吸い込まれて行く、すると魔導書が輝きだす、スーっと光が消えていき元の魔導書に戻ったようだ。



【クオンが魔導書の解呪に成功しました。】



『お~ やったね』


『『『おお~ パチパチパチ!!!』』』


『よし、じゃ念のために<鑑定>!!!』



【アンサー 解呪の魔導書:無属性魔法<ディスペル>が封じ込められた魔導書。魔導書を開いた者が習得することが出来る。】



『よし、無事成功だね、次はミュウの番だ』


『んふふ まあ【プラス】の効果で誰が覚えても同じなんだけどね』


『んじゃー、いきます!』



ミュウは目の前に置いた「解呪の魔導書」をゆっくり開く、すると古代文字が刻まれた魔法陣が魔導書の上に現れ、俺達4人の頭へ直接知識が入ってくる。



【ミュウが無属性魔法<ディスペル>を習得しました。】



『ふ~ なんか不思議な体験だったね』


『私も、まさか自分が魔導書を開く事があるなんて思ってなかったわ』


『この魔導書売ってたら飛んでもない値段になるんでしょうね』


『お金どころか王族へ献上したら貴族にも成れたかもしれないニャ』


『あはは 俺達には、貴族になるより覚えたほうが有意義だよ』


『ニャハハ 本当ニャ』


『準備は整った、行こうか』


『『『了解!!!』』』



俺達は、予定通り無属性魔法<ディスペル>を習得し商用ギルドへ向かい扉を叩く。



『すみませんゲルマンさん居られますか?』


『はい、しばらくお待ちください』



しかしギルドの受付嬢ってのは、容姿面接だな間違いない皆美人過ぎるしスタイル良いし、眼福だ。



『お待たせしました、書類は出来てますよ、御確認下さい』



俺は日本人だけあって書類を徹底的に読み分からないところは、更に子細に聞いた全てを納得しサインをする。



『ありがとうございます、では金貨20枚お納め下さい』


『確かに、これが鍵になります、お渡ししておきます』



俺達は、ワクワクしながら新しい家へ向かう。これから<ディスペル>を使うので、人目が気になったが全く人通りがないので杞憂に終わった。



『さ~ ミュウ頼むよ、少し広いから全体に効くか分からないけど試してみようか』


『んふふ 任せて』


『行くわよ <ディスペル>!!!』



ミュウの<ディスペル>が借りた豪邸を包んでいく、やがて豪邸全体を包み込み終わると浄化の光が輝く。



【ミュウが、豪邸に掛けられた<スロー>の解呪に成功しました。】



『『『『おお~ パチパチパチ!!!』』』』


『ミュウ大丈夫?MPポーションあるぞ』


『んふふ 全然余裕よ、ありがとね』


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