第2話 冒険者ギルド
足早に帰路をたどり、町が見えてきたガルドさんが今も警備している。
『ガルドさん、ただいまです』
『クオン君、無事だったようだね、少し心配してたんだが薬草は取れたかね』
『はい、ありがとうございます、幸いモンスターとも遭遇しませんでした。薬草も少しだけ取れたので換金してきます』
『また、なにか聞きたいことがあったら、いつでも来なさい』
ガルドさんに、お礼を伝え、足早にギルドへ向かうと、先ほど応対してくれた受付嬢のカリーナさんが居たので嬉しくなり笑顔で駆け寄っていく。
『カリーナさん、薬草取ってきました』
『クオン君、無事で良かったわ、このカウンターへ置いてください査定しますね』
カリーナさんは、満面の笑顔で対応してくれた。言われたとおりカウンターに薬草と魔草を置く。本当に可愛いなー年齢は何歳ぐらいなんだろ・・・
『え~と、薬草6本に魔草が3本ですね。状態も綺麗だし乾燥もしていないので、少しサービスして、合計で銀貨4枚になりますね、クエストとしては、5本で1セットなので、薬草採集1回分ポイント加算になります』
『ありがとうございます、これで今日は、野宿しないですみそうです。お勧めの宿屋ってありますか?』
『はい、安くて良い宿屋ならギルドを右へ出て、少し歩けばある≪陽だまり亭≫がお勧めですよ』
『助かります、早速行ってきますねカリーナさん、ありがとう』
さすが冒険者ギルドの受付嬢だけあってサービス満点だ。いやカリーナさんが特別なのかな微笑みながら手を振ってくれている、丁寧にお辞儀してから、お礼を言いギルドを後にし、宿屋に向かう。
あ~ 和むわ~ 荒くれ者の対応ばかりじゃ気が滅入るもんね、クオン君、毎日来てくれないかなと思っていたら隣の受付嬢がプンプンした表情で喋りかけてくる。
『も~ カリーナ次は、私が対応したかったのに』
『だって入るなり子犬のように、真っすぐ私のところに来てくれたんだもん』
『あ~ 私が最初に応対したかったなー、まっいっか隣で見てても癒されるからね』
えーっと、陽だまり亭、陽だまり亭っと、あったあった木造の2階建で1階は、定食屋さんになっていて、結構お客も入ってるようだ。割烹着のおばさん?いや、お姉さんって言っても良いぐらいの顔立ちの整った方がいる年齢は40歳ぐらいかな。
『すみませーん』
『はいはい、お客さんご注文ですか?』
『いえ、今日1泊お願いしたいのですが空いてますか?』
『はいはい、空いてますよ1人部屋なら夜朝の食事つきで銅貨12枚だよ』
安い、よかった食事も付いてる、そういえば昼時で、お腹も減ったしご飯も、此処で食べていこうかな。
『分かりました、それでお願いします、それとお昼ご飯もいいですか?』
『お昼は、銅貨2枚だよ、同じ値段で弁当にも出来るよ』
『はい、それでお願いします』
ほほ~ 1種類しかないのか、なんかいいな、そういうのも。
『あいよー しかし見かけない顔だね、最近こっちへ来たのかい?』
『はい、今日の早朝にきて冒険者になりました。以後よろしくお願いします』
『はぁ 冒険者って危ないんだよ、15歳ぐらいまで待てないのかい?』
『あっ いえ、あの~ 15歳です。見た目が若く見られるみたいで・・・』
『・・・・・よし、サービスしてやるから、いっぱい食べな、大きくなって力付けないと冒険者なんてやってらんないよ』
うーん、しかし異世界の住人ってみんな、ごついのかな・・・しばらく待っていると水と煮物のような物が山盛り入ってるのが運ばれて来た。で でかい木器が・・・丼にしてもでかい。
『待たせたね、たっぷり食べな』
『ありがとうございます、頂きます』
『しかし、丁寧な喋り方だね、貴族でも、なさそうだし夕飯も此処で出すからね暗くなったらきなよ。』
『分かりました』
忙しそうに戻っていく、さてお腹も減ったし頂くかな箸ではなく、粗く削った木のスプーンが付いていた、なにかの肉と大根っぽい物に軽く煮込んだような葉っぱが乗っている。
まずは肉からパクっといく、美味い、牛系じゃないな鳥のモモ肉っぽいけど色は、牛肉っぽい塩味だ、でも食べた事が無いような野菜の旨味が十分出ていて凄く美味い、大根みたいな物も触感がタケノコに近いかな。
ふ~ お腹いっぱいだ、全部食べれた自分でも気づかないぐらい、お腹減ってたんだな。
また、水も美味い田舎に住んでたから、水は美味かったけど、それ以上に美味いな。
『ご馳走様でしたー』
テーブルカウンターに置いてあった布で、さっとテーブルを拭いてから店を出た。
さてと、時間は、昼過ぎってとこか、町の中を探索したいとこだけど、お金が厳しいから、もっかい薬草取ってこようかな、大体システムは、分かったからギルドに行かなくても事後報告で良いと思うし。
門へ向かうとガルドさんは、居なかったお昼休みかな?門兵さんにカードを確認してもらい外に出る、朝行ったところと逆の方向に行ってみよう、また草原を探しながら歩いていると誰かがいる、喧嘩かな?いや女性が絡まれているっぽいな30代ぐらいの冒険者風の男3人に同い年ぐらいの女の子かな?様子を見に行くか。
『ちょっとー あんた達、この子が嫌がってるんだから、やめなさいよ』
『なんだぁーお前、俺たちゃー、その子に用があるんだよ、しゃしゃり出てくんじゃねー』
『そーだよ、美味い物でも食いに行こうって、その子を誘ってるだけじゃねーか』
『どーでも良いわ、そんなこと全部あんた達の都合じゃない、明らかに嫌がって怯えてるのが、分からないの?大体おっさんに着いていくわけないでしょ、正気なの?もしかして盗賊?』
『お おっさんだと、まー良い、じゃお前が代わりに付き合えよ』
『まっ たまには気のつええ女も良いか、ガハハ 何なら二人でも良いぜ』
『アハハハハハハハ やっぱ正気じゃないのね、オークのほうがマ・シ・よ!いえゴブリン以下、スライムにでも土下座して弟子にでもして貰いなさい。コ・ト・ワ・ラ・レ・ルでしょうけど』
『な な なんだと、小娘があああああああああああああああ』
言い争っていた男が、女性の顔を殴りつける、ドガッっと派手な音がする。
『ぎゃっ』
小走りで様子を見に行っていた矢先、あ あのクソ野郎女性の顔を殴りやがった、全身の毛穴が開く、あの野郎ゆるさん、全力で走り出す。
『がふっ』
あのクソ野郎倒れている女性の腹を、思い切り蹴りやがった。ぐぅぅぅ殺してやる。
『おりゃあああああああ』
俺は、女性を殴りつけていた、クソ野郎に全速力からの飛び蹴りを腹に入れる。
『なんだぁ~ガキが、いてぇじゃねーか、これでも食らえ』
このクソ野郎、全然効いてないのか殴りつけてくる。クッ 早い ギリギリ避けれた、いつのまにか3人に囲まれてる、くそう、この世界の身体能力は、異常に高いのか、いくらなんでも全力の蹴りが鳩尾に入れば、しばらく動けない筈だ手ごたえもあったが、まるでタイヤを蹴ったみたいだ。
『ぐはっ』
ぐぅぅ 後ろに居たクソ野郎に脇腹を蹴られたのか、なんて重さだ、やはりまちがいない、この世界の身体能力は、かなり高い、じいちゃんに鍛えられ格闘もやってきたのに、このクソ野郎共に、負けるのか。
『クソガキが、よええ癖に、でしゃばりやがってカスが蹴り殺してやる、おらぁ』
『がはっ ぎゃあああああああああああああ』
ぐぅぅ なんて回し蹴りだ左腕でガードしたのに肘から折れたか、痛いすごく痛い、まずいな女性はどこだ、気絶したままか、なんとかしないと。
『どうしたクソガキ、かかって来いよ、くっそよええな、よく聞けクソガキ、今から両手両足ぶち折って、誰だかわからんようになるまで殴ってやるよ ギャハハハハハハハハハ』
『坊主、死ぬなよ、死んでも、やめねーけどな ガハハハハハハハハハ』
『おいおい、俺にもやらせろよ、簡単に殺すなよ、ゆっくり楽しもうぜ ギヒヒヒヒ』
ドガッ あっ ヤバい側頭部を殴られたのか、意識が遠のく バキッ ドカッ バキッ ドカッ バキッ ドカッ バキッ ドカッ。
うっ うぅぅん私、意識を失ってた、あいつらは、誰かを殴ってる、まさかあの女の子を、ちがう男の子だわ、やめさせないと。
『ちょっと、おっさん達やめなさいよ、私に文句があるんでしょ、その子は関係ないわ』
『ああ~ん、気が付いたのか、このガキは、弱いくせに、でしゃばってきたんだよ、だから今から死ぬんだよ ギャハハハハ』
バキッ ドカッ バキッ ドカッ バキッ ドカッ バキッ ドカッ バキッ ドカッ バキッ ドカッ!
『やめて、やめなさい死んじゃうわ、わかったから、謝るから、やめてよお願い』
『ほほ~ やっと分かったか最初からそう言えば良いのに、生意気だからこうなるんだよ、でも俺は、優しいからなー誠心誠意、謝ったら許してやるかもよ』
『ごめんなさい、もう許してください』
『なんだそりゃ、おい、お前達、このお嬢さん謝り方を、知らねーみたいだぜ、そのクソガキ殺せ』
『待って、分かったから』
『ああ~ん、なんだって、分かっただって』
『・・・・・分かりました、私がまちがってました、どうかお許し下さい』
土の上で、土下座している、私の後頭部を男は、踏みつける体重を乗せ蹴りつけるように。
『ぐぁぁ』
『おら~ 地面にキスしながら、もっかい言えよ』
小石で顔に傷ができ血が流れるが男は、なお必要に踏みつけてくる。
『す すみませんでした、もう二度と生意気な事は、言いません、どうか許してください』
『んん~ そうだな俺は、寛大な男だから許してやるよ、お・ま・え・は・な!カハハ』
『そこのガキが、なぐり殺されるのを一緒に見ようか、それで気分も晴れるってもんよ、ギャハハハハ』
『この外道、あなた達はクズよ』
私の髪の毛を、鷲掴みにされ乱暴に立たされる、痛いすごく痛い。
『きゃああ あ あ あ』
『やめろ、クソ野郎ども、俺は、大丈夫だからお前は逃げろ』
死力を尽くし、折れてない右腕で女性を庇う、しかし、もうほとんど体が動かない、なんとしても、この女性だけは、助けないと。
『このクソガキまだ、動けるのか、もう手加減は、無しだ死ね』
ドカッ バキッ ドカッ バキッ!
『おい、お前たち何をやっている』
薄れゆく意識の中、誰かの怒声が聞こえるが誰か分からない・・・意識が闇に落ちる。
『おい、ありゃ門兵だ、逃げるぞ』
『チッ 運の良いガキだ』