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第26話 エア・ムーア


『すみません、宿を取りたいのですが空いてますか?』


『はい、お客さん開いてますよ、部屋は何部屋に致しますか?』


『2人部屋と1人部屋お願いします』


『はい、では、ご案内しますね』



俺達は、先に荷物を置くため部屋へ案内してもらい鍵を受け取った、ちなみに値段は高めだった流石に大きな町だけあって物価も高いのかな。荷物を置いてから下の飲食店へ向かい、それぞれ注文を取って話を始める。



『さて昼過ぎだけど、何からしようか?』


『そーね時間もないし、クロワさんが言ってた奴隷商に行って見ようか?』


『あっ 言ってましたね』


『なるほど、奴隷商って聞こえが良くないけどクロワさんの話では、そんなこともないのかな』


『新しい仲間になる人がいるかもだしね、行って見ようか』


『はい、僕もそれで良いです』



俺達は早々に予定が決まり、出てきた料理を食べながら、この町の感想やダンジョンの話をした。食事を食べ終わり、また定員さんに道を尋ねる。



『すみません定員さん、俺達は今日この町へ来たんですが奴隷商が、どこにあるのか教えて頂きたくて』


『あっ なるほど仲間探しですね、奴隷商は町の入口付近にあって噴水の近くだから、すぐ解ると思いますよ』


『やはり、冒険者で奴隷商に行く人は多いのでしょうか?』


『あまり詳しいことは分かりませんが、よくお客様が戦闘奴隷の話をされているので、そうではないかと』


『分かりました、ありがとう』



やはり戦闘奴隷と言うぐらいだから、この世界では奴隷は普通のことのようだ。


俺達は食事の料金を支払い、店を出て奴隷商へ向かうため、噴水の所へ戻る辺りを見渡すと、どうやら奴隷商らしき建物を見つける。


さすがに看板を掲げてはないようだ、店の前に立っている黒服の男性に話を聞くために向かってみる。



『すみません、此処が奴隷商でしょうか?』


『はい、此処がそうですよ、お客さんですか?』


『俺達は冒険者なのですが、仲間を探しに来ました』


『はい、戦闘奴隷を御所望ですね、こちらへどうぞ』



黒服の男性は、店の中へ案内してくれる店の中は待合室のようになっている、なるほど、ここで商談をするらしい。



『どうぞお座りください』


『それで、どういった戦闘奴隷を御所望ですか?』


『はい、種族や性別、能力というより戦闘ができる方、全員と会わせて頂きたいです』


『全員ですか?ご予算の都合もあると思うのですが?』


『はい、可能な限り全員とです、そしてこちらから話をしたいと思った方がいれば、話をさして欲しいです』



俺達は<直感>を信じて、なるべく多くの人と会わせて貰えるよう頼んでみた。俺の言いたいことは、説明しなくてもミュウもロックも分かってくれた。



『分かりました、順番にご案内しますので話をしたい人がいれば、私にお伝えください』


『分かりました』



俺達は待合所を出て奥の扉へ向かう、扉を開けると想像を裏切り広い空間に様々な人達がいた、メイド服を着た可愛い女性が並んでいる所、トレーニングをしている男女もいる。



『こちらにいるのが全員、戦闘奴隷です』


『分かりました、しばらく見せて貰いますね』


『はい、ごゆっくりどうぞ』



奴隷の方達は閉じ込められているわけでもなく、繋がれているわけでもなかった、それぞれが結構自由に行動している、只こちらへ話しかけるのは禁じられているのか俺達の方を見るが、近寄っては来なかった。


直感を頼りに見渡していくが、強そうな男女にも興味は湧かなかった。



『すみません、此処に居る方が全員ですか?』


『はい、他にも居ることは居るのですが、少し問題がありまして』


『なるほど、出来ればその方達にも会わせて頂いてよろしいですか?』


『分かりました、しかし先ほども言った通り少し問題があり、お勧めは出来ませんよ?』


『分かりました、それでも結構です』


『では、こちらへどうぞ』



俺は小声でミュウとロックに感想を聞いてみるが、俺と同じように興味が湧く人は居なかったそうだ。また、同じように案内人の方に付いていくと、ちがう部屋へ続く扉へと向い入っていく、俺達も同じように入って行った。



『『『ピクッ!!!』』』


『感じたか?』


『ええ感じたわ、この感覚まちがいないわ』


『はい、僕もなにか感じました。この感覚は?』


『んふふ ロックにも直ぐ分かるわ』



俺は新たなパーティメンバーへの出会いに歓喜を覚え<直感>が働いた方へ眼を向ける。


そこには獣人が座っていた、可愛い顔立ちの女性で猫の獣人のようだ、しかし、顔色が悪い病気か?よく見れば左腕が黒ずんでいるように見えるが、本人が隠しているように腕を組んでいるため、よく分からなかった。



『すみません、彼方の獣人の方は病気ですか?』


『はい彼女は、15歳で元冒険者でしたがダンジョンで罠に掛かり毒に侵されたそうで、左腕が壊死し衰弱したため病気に掛ったようです』


『身寄りが無かったのか、苦しんでいるところを内が引き取ったんですが、治療には高額なポーションが必要なため、満足に処置ができずに現在に至っております』


『なるほど、話をしても良いですか?』


『病気がうつる可能性が御座いますが、よろしいですか?』


『はい、結構です』


『分かりました、では、こちらへ』



黒服の男性は、獣人の女性の方へ向かい話しかける。



『ムーアこちらの、お客様が話をしたいそうだ』


『あ あたいに?ふふ 物好きな客も居たもんね、どうぞ!どうせ暇だしね』


『こんにちは、俺は冒険者をやっているクオンと言います』


『でっ どういう話が聞きたいんだい?』


『冒険者と聞きましたが、どうしてこうなったのですか?』


『そんなこと聞いてどうするのさ?』


『ムーア、ちゃんと答えなさい規則ですよ』



黒服の男性からムーアさんへ注意が入る、やはり厳格な規則がありそうだ。



『分かってるけど余り面白い話でもないのよ、ちょっとダンジョンでヘマやってね、罠解除のときに左腕に毒を食らって動けなくなったら、その時に組んでいたパーティに捨てられて金目の物も全部持っていかれたのよ』


『なんとかダンジョンからは、脱出できたんだけど、どうにもならなくてね、今は死ぬのを待つだけなの、分かった?』


『同じパーティの者は、助けに来なかったのですか?』


『あはは 面白いこと言うね。あんた、どんな甘い人生だったのか分かるよ』


『同じパーティって言っても、ダンジョンに入る前に罠感知と罠解除要員として雇われただけで、仲間でもなんでもないよ』


『と言うことは同じパーティだった者を捨てて、尚且つ金目の物も、そいつらに取られたんですか?』


『ああ、そうだよ、そんなもんだろ?誰がミスった奴を助けてくれるんだい?』



俺達は激昂し殺気が溢れた。今聞いたばかりの話であったが頭に血が登る。臨時とはいえ仲間を捨てただと・・・



グッ グゥゥ な なんて殺気を放ちやがる、こんな子供が、何者だ・・・全身から汗が吹き出る。



『グッ お お客様』



俺は、黒服の言葉になんとか反応し殺気を鎮めるよう深呼吸した。



『ミュウ、ロック抑えてくれ』


『ふー ふー わ 分かったわ』


『ギリギリギリ わ 分かりました』


『な なに、なんなの貴方達は?』


『ふ~ すみません、少し感情が高ぶりました』


『単刀直入に言うと、ムーアさんを引取りたいです』



俺は病気の治療がしたいことを、ここでは言えなかったメディカルポーションは、高価であるため所有してることも知られたくなかったからだ。



『俺達は決して悪いようにはしません、どうか信用して話を聞いて貰えませんか?』


『そのまえに、すみませんムーアさんを引取りたいのですがお幾らほど掛かりますか?』


『あ ああムーアなら無料で、いや今までの食事代と手数料で金貨3枚ほどで結構です』


『良かった、払えそうですムーアさん詳しい話は、宿屋に行ってからでも良いですか?』


『ふふふ、どうせ死ぬ身だ、その話ってのを聞いてから死ぬのも良いわ』


『あはは 今すぐ死ぬかと思ったけどね、貴方達、凄い殺気だったわ、最近は何にも反応出来なかったのに汗が噴き出たわ』


『す すみません』



ロックが申し訳なさそうにムーアさんに謝る。



『ふふふ 謝らなくても良いわよ、でも分かってるの?病気うつるかもよ』


『んふふ そんな心配しなくても良いわよ♪』


『それでは引き取りに際し準備がありますので、先ほどの待合室でお待ち願ってよろしいですか?』


『分かりました、ではムーアさん後ほど、そしてありがとう』



俺達は来た道を戻り扉を開ける、広い空間になっている場所にでるが、そこに居た人全員がこちらを見て警戒している。


ああ、そうか先ほど感情が高ぶって殺気みたいなのが出てしまったのか。


俺は何時のまにか殺気を放てるようになったのかと苦笑し待合室に向かう。



『ふ~ 行ったか、しかし何者だ汗が止まらん』


『ふふふ さーね、でも面白い連中だわ、あんな子供なのにね~』


『貴方にも、お世話になったね感謝するわ』


『ムーア悪い奴らじゃなさそうだが、あの殺気、只者じゃない十分気を付けてな』


『以前から話をしたとおり左腕を切り落とせば助かるかもしれん、しかし冒険者に戻るのは厳しくなる、それだけにあの者達の真意がわからんが』


『あはは どうせこのままじゃ、死んじゃうのを待つだけだしね、あの子達、私の話を聞いて怒ってくれたのよ?面白そうだわ』


『確かに面白そうな連中だ、そろそろ準備しよう<クリーン>さっ 服を着替えてくれ』


『ツッ いてて、ふふふ確かにもう、この腕はダメね・・・切り落としてでも生きたいと思ったら切るわ』



俺達は、待合室のような場所でムーアさんを待つ、しばらくすると黒服の男性が顔を出す。続いてムーアさんも来たが、やはり顔色がかなり悪い、治療を急がないと。



『お待たせしました、それでは奴隷契約に移りますので手をお出しください』


『いや、奴隷を解除してくれませんか?』


『俺達は、奴隷契約を解除して引取りたいです』


『な なんと、しかし規則ですので、それはご容赦を』


『ムーアについては、病気のため普通とは異なりますが借金奴隷の扱いになりますので、もし助かれば治療費や借金等返したことが証明できれば奴隷契約を解除できることになっております』


『仕方ありませんね』



俺は腕をだしてムーアさんの右手の甲に手を乗せる、すると光の紋章のようなものが浮き出て次第に治まる。



『これで奴隷契約は終わりました、では金貨3枚になります』



俺は金貨3枚を支払い、ムーアさんを連れて店を出る。


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