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第25話 商業都市エンゲルラント


『ケガ人は、居ませんか?』


『助けて頂いてありがとうございます、護衛の者が数人ケガをしまして、動けなかったのです助かりました』



どうやら、お抱えの護衛者が3人共、突然ウェアウルフに襲われてケガをし動けなくなり、危ない所だったそうだ。御者の方と20代の女性がおり合計5名だったようだ。



『この3人ね、大丈夫よ<ハイヒール>!!!』



ミュウの<ハイヒール>は、以前とは、比べ物にならないほど治癒効果が高く順番に<ハイヒール>を掛け3人のケガが見る見る治っていく。



『もう痛くないかな?』


『<ハイヒール>・・・ しかも連続で、あ ありがとうございます』


『助けて頂いた上に<ハイヒール>まで掛けて頂いて、なんと、お礼すれば』


『んふふ 良いのよ、治ったばかりだから無理しないでね』


『ところで、倒したウェアウルフどうします?』


『う~ん、とりあえずクロワさんと相談しようか』



俺達は助けた者達から、丁寧なお辞儀とお礼を言われクロワさんの所へ戻る。



『すみませんクロワさん、お待たせしました』


『ふふふ 私は凄い人達に護衛して頂いていたんですね』


『貴方達は素晴らしい、どうやら私の目は腐っていたようですな』


『んふふ 褒めすぎですよクロワさん♪』


『さてクロワさん、そろそろお昼ですが、どうします?あのウェアウルフもほっとけませんし』


『そうですな、ついでにあの方達を誘って食事にしますか?食材も確保できましたしな』


『分かりました、では準備しますね』



俺達は、倒したウェアウルフを1ヵ所に集め、先ほどの襲われていた方達を食事に誘う。


快く了承を得た後、昼食の準備に掛かる。どうやらウェアウルフも食用で、しかも美味いらしい。


俺とロックでウェアウルフの解体を手早く済ませ、皮・魔石・肉と分けた。


昼食なので軽めにスープにした、大きめの鍋に肉と持参した野菜、付近に自生していた香草を入れ炊きこんでいく。


最後に調味料で味付けをし皆に配る。ちなみにテーブルとイスはロックが作ってくれた。



『いやー 申し訳ない、助けて頂いた上に治療してもらい、尚且つ食事まで作って貰うとは』


『いえいえ、私達も丁度昼食でしたので、お気になさらず』


『では、クロワさん食べましょうか』


『しかし、此処まで手際よく料理まで熟すとは、いやはや恐れ入ります』


『では、頂きますかな』


『『『『『『『美味い!!!』』』』』』


『美味しい、凄く美味しいですわ』


『襲われた馬車に乗っていた一行が料理に喜んでくれる』


『いっぱいあるんで、どんどん食べて下さい』



どうやら、この世界での魔物の肉は、熟成しなくても実に美味い、オークのほうが美味かったが、これも悪くない。



『本当にありがとうございました、失礼ですが、貴方達は、何処へ向かわれているのですか?』


『私達は<エンゲルラント>へ向かっております、私は商人でしてな』


『まあ同じですわ、もし、よろしければ邪魔は致しませんので、後ろに付いて行かせて貰ってもよろしいでしょうか?』


『ええ、こちらは構いませんよ』


『ありがとうございます、お礼は十分にさせて頂きますわ』


『いやいや、どうせ行先は同じですから、お構いなく』


『クオン殿も、よろしいかな?』


『はい、全然構いませんよ』



昼食を終えた後、ウェアウルフの残骸を綺麗に燃やし、残った大量の肉を半分引き取って貰う。


こちらの半分も大量にあるのだが少し残し、後は、火魔法を調整して乾燥させ干し肉にした。


その後は、何事もなく夜になり、俺達は今回購入したテントを組み立て野営の準備をする。


夕食は少し残していた肉をステーキにする、昼間作った干し肉を使い簡単なスープも作った。


少し残していたと言っても大量にあるので、後ろの馬車にも声を掛け共に食事を取った。


その際、今日中に食べようとしていたのか、保存用のパンではなく柔らかいパンを御馳走になった。



『夕食まで共にして頂き、ありがとうございます、もし、よろしければ、お名前をお聞きしても宜しいかしら?私はカタ・ローニアと申します』


『はい、私は商人のクロワと申します』


『俺はパーティ『サークル』のリーダーをしているクオンです』


『同じくシャーリー・ミュウです』


『同じくクローク・ロックです』


『ローニアさんは<エンゲルラント>へは、何をしに行かれるのですか?』


『私達は小用で地方に出掛けており、帰る途中でしたの』


『そうでしたか、それは災難でしたね』


『サークルの方達は<エンゲルラント>へは、護衛のみの目的ですか?』


『いえ、仲間探しとダンジョンを目指してます』


『まあ、そうでしたの、お若いのに大変な強者なのも頷けますわ』


『少し童顔なのですが俺もロックも15歳なので、そんなに若くないんですよ』


『ぷっ くくっ』


『ミューウー・・・』


『あはは、ごめんごめん』


『私達、皆15歳なんですよ』


『し 失礼しましたわ成人なさっていたのですね』


『もし、よろしければクロワさん共々、私どもの家へ起こし願いたいですわ』


『宿屋替わりにでも、なさってくださいませ』


『私は商売がありますので、申し訳ありません』


『俺達もお気を使わなくて結構ですよ、旅は道連れ、世は情けと言いますし』


『お時間があれば、お寄りになるだけでも結構ですわ、うふふ 良い言葉ですね』



俺達は、ローニアさん一行と旅をすることになり道中何事もなく順調に進んだ、あえて聞かなかったが話し方を聞いていると、まちがいなく貴族のようだ、夜の見張りは人数が増えたため非常に楽になった。


クロワさんには<エンゲルラント>の色々な情報を頂き、ダンジョンのことも聞いた、どうやら最低でも冒険者ギルドEランクが入場制限らしい、あまり低ランクだと死者が増えるため救済措置だろう。


ウェアウルフの皮は、腐らないように丁寧に<クリーン>を掛けた、皮をなめすなら大変な手間が係るのだが<クリーン>を掛けただけでも余分な皮脂や汚れが取れ綺麗に乾燥している、少しゴワゴワしているが座布団代わりにして馬車の椅子に乗せていく、少し振動でお尻が痛かったので丁度よかった。


雨も降らず良い天気が続き、遂に<エンゲルラント>の町が見えてくる。


やはりこの世界の町は魔物が出るためか高い塀がどこも設置されているが、ここの塀は特に高い、石作りの塀は、3メートルはあるだろうか、そのため中は見えないが門も大きい、今まで見てきた町もそこそこ大きかったが、此処は3~4倍あるだろうか草原の中、木々も、ちらほら見える街道沿いに<エンゲルラント>の町がある。


同じように<エンゲルラント>の町へ訪れたであろう人達の馬車が並んで門兵のチェックを受けている、俺達も並ぶことにし最後尾に向かおうとするが、ローニアさんに呼び止められた。


ローニアさんが門兵の方と少し話をした後、簡単な馬車のチェックと身分証明を見せただけで、並ぶことなく<エンゲルラント>の町へ入れた。やはり、ここの有力な貴族なんだなと改めて思う。


門を潜ると、そこは広間になっており噴水がある、石畳の道幅は広く見える限りの建物は、石作りであり建築には悠久の時を感じさせる、ゴミ1つ落ちていない綺麗な街並みだ、道行く人並みも優雅であり噴水の水で遊ぶ子供達がいて喉かな気分になる。



『ローニアさん俺達まで配慮して頂いて、ありがとうございます、しかし大きな町ですね』


『ありがとうございます、この道を真っすぐ行った先に私の家が御座います、このままご招待させて頂きたいところですが、お疲れでしょうから、いつでも結構ですので、お寄り下さいませ』


『それから、これを、助けて頂いたお礼です、どうぞお受け取り下さい』



ローニアさんは俺に綺麗な布袋を手渡す、手に直接渡されたため受け取ってしまったが、中にはコインが数枚入っているようだ。



『ローニアさん本当にお礼を貰うような事はしていませんので、雇い主のクロワさんも同意していますし、貰えませんよ』


『いえ私達も、ほんのお礼ですから、ご遠慮なさらずお受け取り下さい』



俺達とクロワさんはローニアさんに押し切られ、申し訳ない気持ちになりながらも遠慮なく受け取ることにする。その場でローニアさんと別れ、クロワさんと護衛完了報告をしに冒険者ギルドへ向かう。


ギルドへ着いて、いつものように受付嬢を探すと奥に数人いるようだ、しかし、何時も思うがギルドの受付嬢はレベルが高い、大きな町だけあって人数も多いが全員美人だ、俺は手の空いている方の方へ向かう。決して好みの受付嬢のところへではない。



『すみません、アラバスから此処までの護衛完了報告に来ました、これが受領書です』


『はい承ります、確認が取れました護衛完了となります、お疲れさまでした』


『では、こちらが報酬となります、お受け取り下さい』


『ありがとう、後すみません、俺達は<エンゲルラント>の近くにあるダンジョンでミスリルが取れると聞いて来たんですが、どこのダンジョンかご存知ですか?』


『それでしたら<オリオン>のダンジョンですね、ここから徒歩で30分ぐらいの場所に御座います』


『なるほど、ありがとう俺はパーティ「サークル」のリーダーをしているクオンと言います、これからしばらくダンジョン探索に努めていきたいと思いますので、よろしくお願いします』


『ご丁寧な挨拶ありがとうございます、私は<エンゲルラント>冒険者ギルドの受付嬢を務めています<エイトール>と申します、以後お見知りおき下さい』


『ありがとう、また来ますね』



俺達は護衛完了報告を済ませ、クロワさんに以前話していたポーションを買い取ってもらい、ギルド前で別れた。



『さて用事は済んだし宿屋を取りに行って、予定を立てようか?』


『そーね、もうお昼頃だし昼食も取りましょうか』


『はい、分かりました』



とりあえず、今後の予定を決めるために宿屋へ向かう、冒険者ギルドから見える場所に宿屋の看板が見えたので、そこへ向かってみた。


ローニアさんの所へ泊まるようにも誘われていたが、さすがに貴族の家で泊るのは気が引けた。


いつもの宿屋と同じように1階が飲食店になっている、やはり都合が良いからだろう。


ギルドもそうだったが宿屋も石作り2階建てで重厚な建物だった。飲食店にいる店員さんを見かけ俺達は、先に宿の予約を入れることにした。


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