第1話 異世界そしてエルドラの町
ん んん・・・・ここは、どこだ!
目が覚めると草原で寝ていた・・・・服装は寝たときのままだ、靴も履いてるしリュックサックも担いでいる。
どういうことだ?じいちゃんどこだ『じいちゃーん、じいちゃーん』ん~ どうやら近くには居ないようだ、風薫る様子がいつもとちがう、家の近くってわけでもなさそうだ、山も近くにはないようだし、本当に何処だ此処は?考えてても仕方ない、ちょっと探索するか・・・
気持ちの良い風の吹く草原。近くには、小川があり遠くに森も見える、綺麗なところだな、とりあえず顔でも洗おう、とぼとぼ小川まで歩いて行く、のんびり釣りでもしたくなるとこだなー。
『プハー うーー 冷てー でも、さっぱりした』さてどうしようか。
んっ なんだろ・・・草原の中に透明な塊がある。ソフトボールぐらいかな・・・『うわっ』しばらく見ているとピョンピョンと動いて離れていく、なんだあれはプルンプルンしながら跳ねていく生き物なのか・・・
飛び跳ねていくプルピョン(仮称)が、花のようなもの止まると花が溶けていく。いや食べているのか、つーかあの花見たことねーぞ、じいちゃんのせいで日本の花はほぼ記憶しているはず・・・日本じゃねーのか此処は・・・ま~ あんな変な生き物もいるしな、よし、人を探そう聞かないと分かりそうもなさそうだ、方向はあっちだな、もちろん感だ。
2~30分ほど歩いただろうか、やっと見つけた草原の切れ目に人の足跡、車輪の跡もある馬車か何かか?まー 行ってみよう。
お~ あったあった石作りの塀に囲まれた町っぽいのがある、結構な大きさだ、此処なら情報が入りそうだ、でも言葉通じるかな・・・門兵さんも二人いるし聞いてみるか。
『すみません』
『ん、なんだい』
40代ぐらいの軽鎧を着た男性が返事してくれた、良かった、どうやら言葉は通じるみたいだ。
『少しお聞きしたいのですが、此処は、何という名前の町なんですか?』
『んっ ああ、此処は、辺境の町≪エルドラ≫だ、ここらの者でもなさそうだが、どこから来たんだい?』
ん~ 知らない町の名前だ、当然か、しかし本当の事言っても信じてくれないだろうし、ちょっと設定作るかな。
『15歳になったので、かなり田舎のほうから、冒険がてら旅の途中なのですが、町には入れますか?』
『15歳?いや失礼、もっと子供かと思ったよ、なにか身分証は持っているかな?』
『いえ、なにも持ってないです、お金もないので出来れば働いて稼ぎたいのですが、身分証がなければ入れないのでしょうか?』
『そうか、かなり田舎から来たんだな、ん~ そうだな15歳なら商人ギルドか冒険者ギルドまで連れて行ってあげるから、そこでカードを作れば身分証になるし、冒険者ギルドならクエストで稼げるだろう、それでどうだ?』
えええっっ ヤバい冒険者ギルド?此処は、異世界なのか?言葉が通じるのもおかしいし、軽鎧もおかしい、不思議な生き物、知らない花、ここが異世界ならすべて納得できてしまう・・・・
『そっ それでは冒険者ギルドへ連れて行っていただいて良いでしょうか?』
『おう、かまわんよ、おい!この少年を少し送ってくるからそれまで頼むよ』
『分かりました!』
『ありがとうございます』
やさしい人で良かった。しかし困ったな、まさかの展開、ま~ 後でゆっくり考えるとして今は、とりあえず宿と食事を確保しないとな。
『此処が冒険者ギルドだよ、カードを作ったら見せに来てくれ、俺の名前は、ガルドだ』
『ありがとうございますガルドさん、俺の名前は、クオンです』
『おう、頑張れよクオン君』
やさしいガルドさんは、そう言い、また門へ帰っていった。
建ち並ぶ家々は、木造の板張り2階建が多いな、レンガ造もあるか、道幅もそこそこあり高さ2メートルほどある石塀にぐるっと囲まれてる、冒険者ギルドは木造2階建、結構年季が入っている。
入ってみるとカウンターのような受付と飲食店のようなテーブルがいくつか、冒険者らしき人も3人居る。
受付らしきカウンターにいる女性のところに行ってみよう。
『すみません冒険者登録に来たのですが、此処で良いですか?』
『はい、此処で承ります、初めての登録でしょうか?』
よく見ると猫耳だ!異世界確定だな・・・しかし可愛いな、大きな眼、整った顔立ちショートカットの似合う同年代ぐらいの女性だ。ずっとじいちゃんと二人暮らしだったからな、緊張するのが自分でもわかる、ヤバい赤面してしまう。
『お客様?』
『あっ すみません、ぼーっとしてました』
猫耳の受付嬢さんが、クスクスと、笑っている。
『ウフフ 良いですよ。初めての登録でしょうか?』
あ~ 笑っても可愛いな、おっとヤバい、また見惚れてしまう。
『はい、初めての登録です』
『冒険者ギルドでのクエストは危険な物もございます、15歳ぐらいになるまでは、お待ちになるのが良いと、存じ上げますが、如何ですか?』
『あー 大丈夫です今年15歳になったので』
『えっ 失礼しました』
うーん、日本人は、かなり年齢低く見られるようだし、子供に見えるのかな?ま~ 15歳でも子供か・・・
『それでは、この水晶に手を置いてください、名前・年齢・レベルが表示されますが、良ろしいですか?』
『はい、結構です』
水晶玉に手を置くと、淡い光を放ち文字が刻まれる。
『はい、良いですよカードに転写いたしました、クオン様ですねレベルは1、ランクはGからになりますクエストを消化し、一定値のポイントが溜まりますと昇段となります。
ランクにより受けれるクエストが異なり上級ランクになるほど危険度も上がりますが、その分報酬も上がります。はい、どうぞカードをお渡ししますね』
結構簡単なんだ、クレジットカードぐらいの大きさで茶色だ、Gランクと表示されている。
『ありがとうございます、これは無料なんでしょうか?』
『はい無料ですよ、冒険者が増えればギルドも潤うので登録は無料となっています、しかしカードの紛失には注意してください、再発行には金貨5枚かかりますので』
『なるほど、それでは早速なにかクエストを受注したいのですがお勧めは、ありますか?』
『はい、それでしたら薬草・魔草採集がいいですよGランクでも受けれますので』
お~ なんか良いなー楽しくなってきた。自然に笑みがこぼれる。
『では、それでお願いいたします』
『はい、まず場所ですが近辺の草原に行けば結構自生しております、次に、こちらの絵をご覧ください、こちらが薬草です、大きさも実物大となっておりますので、これ以上小さいものは、引き取り出来ません。根本からナイフで切り取りください、5本でクエスト完了となりますが何本でも買い取りは出来ます。魔草も同じです、買い取り価格は薬草1本銅貨3枚、魔草1本銅貨5枚となっています。』
『ちなみに宿屋って1泊どれぐらいでしょうか?後、食事とか?』
『宿屋ですか?そうですね~ 安いとこなら銀貨1枚ぐらいでしょうか、食事なら銅貨3枚ぐらいでありますよ』
良かった、ホっとし、思わず笑顔になる。とりあえずクエスト完了で今日は、野宿しなくてすみそうだ。
『ありがとうございます、後、お名前をお聞きしてよろしいですか?』
また、猫耳の受付嬢さんが、クスクスと、笑っている。
『ウフフ 私は、≪カリーナ≫と申します。近辺の草原にも弱めのモンスターも出現いたしますので十分ご注意ください。』
俺は、カリーナさんの気遣いと笑顔に答えるよう、丁寧にお辞儀をし、笑顔でギルドを後にした。
隣にいた、受付嬢がニヤニヤしながらカリーナに喋りかける。
『ねーねー カリーナ今の子供、珍しい黒髪でクリクリした黒目、あどけない仕草だし可愛かったねー』
カリーナは、微笑みながら返答する。
『あの子はクオン君だよ、あれでも15歳なんだって、すっごく童顔だよね。何か緊張してたみたいで可愛かったな~ 言っとくけど私が担当だからね!!取っちゃダメよ』
『ずるーーい、次は、私が応対するーーーー』
『だ~め、私も気に入っちゃった、無事に帰ってきてくれると良いんだけど・・・ちょっと心配ね』
来た道を戻り門兵のガルドさんを探す、あー 居た居た。
『ガルドさーん、先ほどは、ありがとうございました無事カード作って頂きました、薬草採取のクエストも受けれたので、なんとかなりそうです』
『クオン君だね、おめでとう!これで君も冒険者だ!しかし冒険者は危険な職業だ、死ぬ者も少なくない、そこで1つだけアドバイスをしよう、外では常に退路を考えておきなさい。つまり、ちょっとでも危険と思えば逃げるんだ、生きていれば次がある!』
『分かりましたガルドさん、ありがとうございます、じゃ行ってきます』
『うむ、気を付けてな』
あ~ 此処は、良い町だな~ みんな親切だし、さー やる気が出てきたまずは、目指せ宿代だ!ワクワクが止まんないや自然に笑顔になる、さて草原って言ってたから適当に探してみよう。
・・・・・・・・・・・・ヤバい、なかなか見つからない結構厳しいな・・・草原には来たものの雑草と薬草の見分けが付きにくい、1時間ほど探しまくってたら、あった!やっとあった!この葉の形まちがいない、ナイフは何故かホルダー付きのサバイバルナイフがリュックサックに入っていた、なので今は腰に装備している。
何故か、訳が分からないものまで色々入っているが、夜にでも確認しておこう、今は薬草だ説明して貰ったとおり、根本からナイフで切断し念願の1本目ゲット!よし、この調子で後4本がんばるぞ魔草もないかな・・・
それから更に1時間ほど探した結果、薬草6本、魔草3本見つけた、どうやら場所に関係があるのか2~3本固まって群生してるみたいだ。魔草は、かなり少ないっぽい魔草を後2本欲しいとこだけど、宿屋も手配しとかないとだし、いったん帰ろうかな。