第18話 荷車と採掘
『う~ん、よく寝た』
俺達は宿屋に戻り、部屋は空いていたが結局2人部屋にし、属性魔法の習得を頑張った!
何から覚えるか相談したが、基本属性からやろうと決まり俺は風属性を、ミュウは土属性の魔石で練習した。
魔石が1種類ずつしかないので、同じ属性で練習出来なかったためだ!
『おはよ~ クオン君』
『おはよミュウ、昨日は頑張ったけど習得までいかなかったね』
『うん、でも良い感じよ土属性もありそうだわ』
『良いね、俺も風属性ありそうだよ、結構強い風がおこせるようになってきたよ』
『んふふ このまま全属性覚えれたら凄いのにね』
『ああ、楽しみだね~』
『さって朝食を取ってから鍛冶屋に行こうか』
『んふふ 楽しみなんでしょ~ ソワソワしてるよ!』
『あはは バレてるや』
俺達はいつものんびり仕度するが、俺が急かしたため今日は早めに出かけた。
『も~ そんなに急がなくても良いでしょ~ んふふ』
『えっ そんなに急いでた?』
『すっごい速足よ、も~ 楽しみなんですって顔に書いてあるわ』
『ごめんごめん、でも着いたよ』
『すいませーん、クオンです』
『クオンさんミュウさん、おはようございます』
『おはよー ロック君』
『おはようロック、でっ どうかな?』
『はい出来てますよ、こっちです』
『お~ 来たか、出来てるぜ見てみろ』
そこに置いてあったのは俺がスケッチしたとおりの大きさで、真ん中から山折りに折り畳めるようになっており結構小さくなる。
これなら馬車にでも乗せれる。車輪のタイヤ部分は昨日打ち合わせしたとおりブラッククロウラーの皮がぐるりと巻き付けてあり取れないように接着剤をたっぷりつけ接合部は糸で縫い付けてある。
『いやー 凄いですね、まさに注文どおりだ。ロックそれに親方ありがとう』
『ガハハ 気に入ったのなら、なによりだ』
『それと、おめーら坊主に何しやがった?今まで全然なかった感のようなモノがある』
『ちゃんとした物を作らした訳じゃねーからハッキリとはわからねーが、こいつばかりゃー教えたからと言って、すぐに身に着くもんじゃねー 明らかに昨日とはちがう!別人と言って良いほどだ』
『親方、本当ですか!ありがとうございます グスッ』
『俺達は別になにもしてませんよ、ロックの力ですよ』
『ふん、不思議な野郎どもだ』
『あら、私は女ですよん♪』
『ガハハ まあ良い、そいつは謝礼だ持っていきな』
『ありがとう親方、感謝するよ、また、ロックと遊びにくるよ』
『今まで、ありがとうございました親方、ぼ 僕、頑張って世界一の鍛冶屋を目指します』
『ガハハ ああ頑張れ、気を付けて行けよ』
俺・ミュウ・ロックは荷車を持って、そのまま鍛冶屋を出る。
『ロック疲れてないか?』
『いえ昨日は、結構直ぐに荷車が出来たので』
『自宅と荷物とかは?』
『僕は家もないので親方のとこで寝てました。荷物も今持ってるのが全部です。家族もいないので何時でも何処でも大丈夫ですよ』
気軽に聞いてしまったが、かなり苦労してたんだな・・・俺とミュウは少し目頭が熱くなる。
『ロック君、今まで苦労したのね・・・でも、これからは私達が家族よ、私をお姉さんだと思いなさい』
『えっ ミュウさん同じ年じゃ・・・』
『あはは じゃ俺は兄貴だな』
『えっ クオンさんも同じ年じゃ・・・』
『まあ、あれだ兄弟かどうかは別にして俺達はパーティだ苦楽を共にする仲間だ、よろしくなロック』
『よろしくねロック君』
俺達3人は固く握手する。
『はい僕、頑張るんで、よろしくお願いします』
ロックは丁寧にお辞儀をしながら握手をしてくれる。
『クオンさんミュウさん、これから何処か行くんですか?』
『ああ、冒険者ギルドへ行ってロックの登録しようか』
『僕もうギルドへ入ってますよFランクです』
『お~ 丁度よかった、俺達もFランクだ』
『なら買物も昨日出来たし、久しぶりにクエスト行こうか?』
『んふふ 良いわね、昨日結構お金使っちゃったし稼ごうか』
『はい僕、頑張ります』
アラバスの冒険者ギルドへ着き。クエストを見渡すと昨日行った洞窟での討伐依頼が目に付く。
『昨日行った洞窟の魔物討伐依頼あるね、ついでに採掘も兼ねて行く?ロック素材ほしくない?』
『欲しいです、欲しいです、黒鉄なんて僕なんかには、めったに触れもしないから手に入ったら、すっごく嬉しいです』
『んふふ じゃ決まりね、でもどうしよう私達ツルハシ持ってないわ』
『じゃクエストを受けてから買いに行こうよ』
『そうね、じゃシュッパーツ!!!』
俺達は3本の丈夫なツルハシを購入し、昨日行った洞窟を目指す。
『あの僕、ツルハシ持ってたんですけど、買って貰って良かったんですか?』
『あ~ うん、まだ説明してなかったね』
『えっと手頃な物ないかな・・・ああ、あれで良いやロックあそこの岩に、今持ってる武器で普通に敵だと思って叩いてみて』
『そんなに思い切りじゃなくて良いよ』
『は はい? じゃやってきます』
『んふふ 楽しみだわ』
俺の言った通りロックが武器を持って、岩まで行き両手槌を振りかぶる。
『バキッィィィィ!!!!!』
ロックの目が点になっている。ロックの両手槌は柄が折れて先が遥か彼方へ飛んでいく。キラーン。
『あああああああ ぼ 僕の武器が・・・』
『どお?ロック思い切り叩いた?』
『いえ普段どおり軽く叩きました』
『昨日説明したとおり、俺達のステータスも加算されているからなんだよ、ちょっと実感して貰おうと思ってね』
『す 凄い、これ本当に僕の力になってたんだ・・・』
『あっ でもこれから討伐なのに僕、武器なくなっちゃった・・・』
『んふふ はいどうぞ、私達からのプレゼントよ♪』
ミュウは昨日買った鋼鉄槌をロックへと渡す。
『じゃ、もう一度あの岩を叩いてみてくれ』
『えっ はい』
『バッコーン』
ロックが叩いた岩が砕け散る。予想以上の破壊力だ!
『うはっ 凄いなロック』
『か 軽い、こんなにも重そうな槌なのに・・・それに、この破壊力』
『んふふ それは普通の両手槌よ、ちょっと頑丈だけどね、それだけ力が上がったのよ』
『そうか、それでツルハシも頑丈なものに・・・』
『あはは そーいうことだ』
細かい説明をロックにしながら道中を歩いて行く、ちなみにツルハシとかは荷車に乗せているので非常に楽だ。
『ここね昨日の洞窟、クオン君<サーチ>指定どうする?』
『う~ん、そうだなロック、この場所って黒鉄以外で取れる物ある?』
『はい、他には鉄と銅と銀、めったに取れないですが原石も取れるはずです』
『じゃ価値のある鉱物と魔物で<サーチ>しようか』
『そうね、それでいきましょう』
『じゃロックやってみようか、説明するよ』
『はい、お願いします』
『昨日、簡単に説明したけど言葉はこんな感じ』
『<マップオープン>価値のある鉱石と魔物を<サーチ>』
『どぞ』
『はい、えっと<マップオープン>価値のある鉱石と魔物を<サーチ>!!!』
ブンッ!!っと音を立て目の前に<マップ>が出現する。
『うわっ 凄い、壁の中が鉱石で、通路にいるのが魔物ですね?』
『うん、色指定も出来るから、必要なら詳細に言うだけでOK』
『凄い、凄すぎる・・・・』
『だよねー これ覚えてから薬草とか集めてたから、すっごかったよ』
『確かに凄いです、ミュウさんの<ウィンドウ>でしたっけ』
『あ~ そっか私の潜在能力に反映してるのが<ウィンドウ>だっけ意識した事なかったな』
『索敵スキル要りませんね、これがあれば』
『いや、あったほうが安全だよ、マップ出してないときの不意打ちとかあるからね』
『じゃ近場から採掘していこうか』
『『はい』』
『この先に魔物がいるね、狩っちゃおう』
『まだ3人での連携決めてないから、個別撃破で行こうか』
『『了解!!』』
『この間も居たヤミコウモリね、先制攻撃行くわ』
ミュウは新規購入した弓でヤミコウモリを攻撃する。
『ギギッ ギギッ』
『おー すごいな2匹共、見事に命中だね』
『んふふ もともと弓は得意なのよ』
6匹いたヤミコウモリはすべてミュウの弓矢の餌食になる。
『ふわ~ 凄いです全部一撃ですね』
『も~ 褒めても何にも出ないわよ』
『やっぱり遠距離武器は飛んでいる敵に有利だね』
『ええ、高かったけど買ってよかったわ、凄く使いやすいし命中補正が良いわね』
『じゃ荷車に全部積んじゃおうか』
『はい、凄く便利ですね荷車』
『ふふふ そう言って貰えると嬉しいよ』
『そこのポイントに反応があるね、次は採掘しようか』
『は~い』
3人でツルハシを構え、カツンカツン掘り出す。
『おっ なんか出た』
『それは鉄鉱石ですね』
『ほほ~ 凄いな<鑑定>要らずだね』
『いえいえ、鍛冶やってれば誰でも知ってることなので、あっ 僕も出ました』
『んふふ 色々出て楽しいわ♪』
『ああ、面白いね採掘って』
『あはは 楽しんで貰えて嬉しいです♪』
『大体掘りつくしたね、じゃ移動しようか』
ちょっと暗くなってきたので生活魔法のライトを俺とミュウで使う。
『ふあ~ 魔法使える人が多いって便利ですね~』
『なに言ってるのよロック君も使えるのよ』
『あっ そっかでも使ったことないです僕、魔法は苦手で』
『帰ったら教えて上げるね!クオン君も私が魔法教えたのよ』
『あはは うん俺の魔法の先生だもんね』
『んふふ そーよ、敬いなさい あはは』
『あっ また魔物だけど見たことないわね』
『あれはヤミサソリです、すっごく硬くて尻尾に毒があります』
『なるほど毒は注意しようか、では個別撃破で!!』
俺はヤミサソリに斬りつける。ミュウは弓矢を放つ。
『クッ 斬れないな、こいつ硬すぎる』
『私も矢が刺さらないわ、ムチにしても効かなさそうね』
『僕が行きます』
ロックは両手槌をヤミサソリの頭へ振り下ろす。
『バキィィン』
『うは~ すごいな地面にメリ込んでる。こりゃロックの独壇場だな。ロック毒には注意して俺が引き付けるよ』
『分かりました』
3体居たヤミサソリが次々と倒されていく。止めはすべてロックが指した。
『これロックの武器じゃなかったら倒せなかったな』
『ええ適材適所ね、ロック助かったわ』
『いえあの、たまたま武器の相性が良かっただけで』
『でも冒険者やってると、それが大事になってくるね俺も格闘武器、購入しないとな』