第182話 過去の謎が解き明かされ現在に至り、そして未来へ
『大地に転がるのも良きものだったのだな♪』
『ああ 気持ちが良いな♪』
『もー 無理ー 』
『もう指1本動かせませんわ』
『フハハ 出し切ったな♪』
『喋る元気があるのが驚きですよー 』
『ニャハハ でも気持ち良いニャ♪』
『んっ・・・駄目か、我はもう動けぬようだ』
『俺達もだよ』
『まさか我が全力を出せる時が来るとはな♪』
『サークルよ、礼を言う見事だ』
『とても勝ったとは言えないけどな、強すぎだろ?』
『我を倒しておいて言う言葉ではないだろう?』
『超越者にまで成った俺達を転がしておいて、そっちこそじゃないか?』
『フフ あはははは♪』
『エーテルには参った、まさかそんな物が出て来るとはな』
『龍はダンジョンに行かないんだな?』
『我らがダンジョンへ行っても得る物がないのでな』
『なるほど、金も稼ぐ必要がないか・・・』
『それよりも我に聞きたい事が、あるのではないか?』
『教えてくれるのか?』
『ここまでされては答えぬ訳にはいくまい?』
『ゴクッ 』
『ねえクオン私達も聞いて良いの?』
『ああ 一緒に聞いて欲しいんだ』
『分かったわ、でもこれだけは言っとくけど何がどうであろうと私達がクオンに着いて行くのは変わらないからね』
『ありがとう』
俺は遂に、この異世界に来た謎が分かるのかと思うと身構えてしまう。
だがバハムートが、どこまで俺の事を知っているのかは分からない。
それでも俺の事を知るたった1つの手掛かりなのは間違いない。
俺は心を静め冷静になってから言葉を発した。
『俺が何故この異世界に来たのか知ってるのか?』
『クオンよ、お前は神に愛されたのだ』
『愛された?俺が神に愛されたから、この異世界に呼ばれたのか?』
『クオンがこの世界に来るのは必然の事だ』
『・・・俺がこの異世界の人間だからか?』
『知っていたのか?』
『いや、バハムートに最初会った時、俺の事をこの世界に帰ってきた者と言っただろ?』
『なるほど我としたことが失言であったな♪』
『そうクオンは元々、この世界の人間なのだ』
『ひょっとしたらとは思ってたけど、皆と同じ世界で生まれてたと思うと少し安心したよ』
『もう、クオンが異世界人でも気にしないって言ったでしょ?』
『あはは ごめん、でもやっぱり気になってたから』
『でも俺がこの世界の人間だったなら、親兄弟も居るのか?』
『いやクオンに親兄弟は居ない、孤児だったのだ』
『そして赤子の時に異世界へと行ったので、何も覚えてないのは無理もない』
『じっちゃん・・・じっちゃんは、この世界から俺と一緒に地球へ行ったのか?』
『答えてくれ真龍王バハムート、俺のじっちゃんを知ってるのか?』
『フハハ 知っておる、知らぬ筈が無い、お前がじっちゃんと呼ぶ人物は創造神様なのだから』
『ええええええええっ』×ミュウ達
『ク クオンって神様と暮らしてたの?』
『俺もひょっとしたらと思ったけど、そうみたいだな・・・』
『でも創造神って神様の中でも偉い人じゃないのか?』
『うむ、この世界の神々を統べる最高神様よ♪』
『ぐはっ じ じっちゃん・・・』
『何故俺は赤子の時に地球へ行ったんだ?』
『何か理由があったんじゃないのか?』
『それは我からではなく、創造神様に聞く方が良いだろう』
『ちょっと待て、あ 会えるのか・・・じっちゃんに』
『うむ、会って来いクオンよ』
俺は真龍王バハムートの言葉と共に意識が遠ざかっていった。
『ク クオン?』
『心配するでない、クオンは神々に会いに行ったのだ』
『そうなんだ、良かった♪』
『フフ お主達も、これから大変だな♪』
『えっ?』×ミュウ達
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
俺は目を覚ますと、そこは真っ白で何も無い空間だった。
まるで作ったばかりの亜空間のように・・・
こ ここは・・・
そ そうだ、俺は真龍王バハムートの言葉を思い出し、辺りを見渡した。
すると1人の人間が居る事に気付いた、その人物は間違いなく俺が知っている人だった。
『じ じっちゃん』
『ふほほ 立派になったなクオンよ♪』
『じっちゃん、じっちゃ~~~~~ん』
俺はじっちゃんの胸に飛び込んだ、止めどなく涙が出てくる。
何度涙を拭っても止めることが出来なかった。
俺はまた、じっちゃんに会えた事が嬉しくて感情を抑えきれなかった。
じっちゃんは以前と変わらず、優しい笑顔で俺の頭を撫でてくれていた。
しばらく時が経ち、俺は落ち着いてくると恥ずかしくなり、じっちゃんから離れた。
『じっちゃん、今回の課題はちょっと厳し過ぎじゃないか?』
『ふほほ 今回のは課題では無かったからの♪』
『じゃが、ワシが想像を遥かに超えよって何度驚かされた事か分からんぞい♪』
『やっぱり俺が地球に連れて行かれたのには理由があったんだね?』
『うむ、すまんかったのクオン・・・だが仕方なかったのじゃ』
『その理由を聞いても良いか、じっちゃん』
『もちろんじゃ、当時はとても言えなかったのじゃが、ようやく言えるわい♪』
『クオンがプラスと呼ぶスキルがあるじゃろう?』
『ああ 俺のユニークスキルなんだよな?』
『ふほほ あれはユニークスキルどころではない、そのスキルは当時神々ですら震撼させたものだからの』
『そ そんなにだったのか・・・ちょっと分かる様な気もするけど』
『うむ、なにせワシ等でも初めて見るスキルだったからの、それも神であるワシですらその全容は分からんかった』
『クオンが産まれた時から、そのスキルを持っておっての』
『ワシが分かっておったのは、そのスキルは出会いが全てを決めると言う事だけじゃった』
『クオンにとって、その時に一番求める者に出会った時、発動するスキルだったのじゃ』
『赤子の時に、その凄まじいスキルが発動されておれば、どうなっていたか分からんかったのでな』
『それに出会う者によって、その能力は千差万別に変わるのだ』
『とても放置は出来んかった、せめて物事を判断できる年齢になるまでワシが預かる事にしたのじゃ』
『この世界では不安だったからの、異世界である地球へ行ったのだが、まだ問題があっての』
『困ったことに地球人と出会っても、その能力が発動する危険があったのじゃ』
『何とも凄まじいスキルでな、仕方が無いので山奥で誰にも会わんように暮らすしかなかったのじゃ』
『・・・それっておかしくないか?何でじっちゃんとプラスが発動しなかったんだろ?』
『いやいや、危なかったぞい何度ひやひやしたことか・・・』
『クオンはワシの孫と思い込み、仲間では無いと意識したのじゃ』
『ワシはその能力を知っておったから出来た訳じゃが、何も知らない者にはクオンと友達になっただけで発動したじゃろう』
『ふほほ じゃが何時の間にか本当にワシの孫と思っておったがの♪』
『クオンには寂しい思いをさせて、すまんかったがワシの最愛の孫であることには変わりないわい♪』
『流石に何時までもワシと2人で暮らす訳にはいかんかったのでな、成人になるまで待っておったのじゃ』
『それならそう言ってくれてたら・・・ってそれも無理だったのか』
『そうじゃ、最初からその能力を知っておったなら、誰もが躊躇するじゃろうな』
『もはや運命に任せるのが一番と思っての、なにせ神ですら分からんスキルだったのだからな』
『じゃがクオンがこの世界に来てからは、ワシ等神々ですら驚愕の毎日じゃった』
『凡庸な毎日を送るのも良しと思っておったが、まさか亜空界にサークルの世界や飛んでも無い飛空艇を造り、真龍王まで倒してしまうとはな♪』
『流石に、やりすぎじゃろう?』
『俺も必死だったんだぞ?真龍王はやっと見つけた手掛かりだったんだからな』
『ふほほ なに頃合いを見てクオンに会いに行こうと思っておったのじゃが、真龍王へ向けて頑張っておるクオンの邪魔をする訳にはいかんかったからの』
『ええっ それじゃあ死ぬ気で真龍王に挑まなくても良かったのか?』
『ふほほ 勝ったのじゃから良かろう?』
『ぐはっ 今日一番でかいダメージを食らったよ?』
『いやいや強さを求めたのは必然じゃったのかも知れんの』
『えっ?』
『ここからはクオンの仲間にも聞いて貰おうかの♪』
俺は場面が切り替わる様に目を覚ました。
そこには俺を取り囲んで見つめてくれているミュウ達が居た。
『クオン♪』
『良かった目が覚めないかと思ったじゃない』
『おはようミュウ♪』
『神には会えたのかクオン?』
『ああ 俺を育ててくれた、じっちゃんに会って来た♪』
『ニャー やっぱり神様に育てられたんニャ』
『フフ どこまでも凄い人ですね♪』
『それがな皆とも会って話すような事言ってたんだけど・・・』
『ええっ 僕達も会えるんですか?』
『ちょっと何時なのよ?』
『いや、それが分かんなくてさ』
『ふほほ もう来とるよ♪』
『じ じっちゃん』
『えっ ええええええええええっ』×ミュウ達
『か 神様?』
『そう畏まらんでもええよ、クオンの爺ちゃんじゃからの♪』
『何時もクオンが世話になっておるようですまんの感謝するぞい♪』
『い い いえ、お世話になってるのは私達の方で・・・』
『あはは ミュウでも緊張するんだな♪』
『あ 当たり前でしょー 神様なんだよ?』
『簡単に会える人じゃないんだからね?』
『ふほほ それにしても、よくもまあこれだけの才能に巡り合えたの?』
『巡り合ったと言うか、本能が教えてくれたんだよな・・・なっミュウ』
『そ そうね、何か直感が教えてくれたと言った方が良いかな?』
『フフ 私は最後でしたから分かりませんでしたけどね♪』
『ニャハハ そうだったニャ♪』
『でも今思えば、最初から決まっていたような気もするよな?』
『フハハ 運命であったと言う事だろう?』
『あはは そうかも知れませんね♪』
『いや、間違いなく運命だったのだろう、今そなた達の力が必要なのじゃからな』
『えっ?』×サークルメンバー
『神をも超える運命が、この世界を救えと言っておるのじゃろう』
『じ じっちゃん?』
『うむ、実はの今妖精の国では大変な事がおこっておるのじゃ』
『悪魔族と呼ばれる者達に攻められようとしておる』
『悪魔族の力は強大での、龍をも超えるかも知れん』
『妖精の国を助ける事が出来るのはクオン達だけであろう』
『はいいいいいいいい?』×サークルメンバー
『今思えばクオン達の力は、この世界を守る為にあったのかも知れんな』
『で でも妖精の国たって・・・』
『あっ 』×サークルメンバー
『ある・・・妖精の国へ行く手段が』
『妖精の鍵か・・・』
『我らでは妖精の国へ行けないのでな、羨ましいことよ♪』×真龍王
『クオンよ、全てが分かっただろう?我も運命としか思えぬ』
『ふほほ こんな飛んでも無い飛空艇まで作ってしまうのだ導かれたのだろう』
『この飛空艇なら妖精の国へと行けるじゃろうて♪』
『じゃが、どうするかはクオン次第じゃ』
『相変わらず意地悪だよな、じっちゃん選択肢なんて無いだろ?』
『んふふ 誰かが困ってるならクオンが動かない訳ないわ♪』
『フハハ 新たな強者もおるしな♪』
『フフ スローライフは未だ先になりそうですわ♪』
『ニャハハ 戦闘狂が多くて困ったもんニャ♪』
『ムーアも同類ですー♪』
『破壊神が何言ってるニャー 悪魔族より怖いニャー♪』
『そ それは無いですよー 』
『あはははは♪』
俺の生い立ちは全てじっちゃんの優しさだったのが分かり、清々しい気分になった。
いや、そんな事よりじっちゃんに、また会えた事が一番嬉しいのかも知れない。
これからは何時でも会えるらしいので、俺達はボロボロになった飛空艇で皆の所へ帰った。
皆は帰ってきた俺達に涙を流して喜んでくれた。
激闘の末ボロボロになった俺達と飛空艇を見て、皆は驚いていた。
どれだけ凄まじい戦いだったのか、アダマンタイト製の闘技場を見たら一目瞭然だったのだから。
そして妖精の国の事を告げると、驚きを通り越して呆れられてしまった♪
真龍王達もスカイサークルが気に入ったのか、ちょくちょく遊びに来るようになった。
遊びに来るたびに模擬戦になるので、俺達は更に強く成っていった。
それから一カ月後、俺達はサークルメンバー全員を連れて妖精の国へと旅立つ事になった♪
『今度は妖精の国か~ それものんびりしてられないのよね~ 』
『クオンと居ると激動の毎日になるのよね?』
『こらこら、俺のせいにするんじゃない』
『ニャハハ そう思う気持ちも分かるニャ♪』
『フハハ だがワシ等6人が揃ったからなのだろう?』
『フフ 会うべくして出会った、だから運命と呼ぶのでしょう♪』
『皆満足してるんだから良いじゃないですか♪』
『良い事言うじゃないかロック、さあ妖精の国で旨い物を探そうか♪』
『食べ物メインですかーーーーー 』×サークルメンバー
『美味しい物は正義なんだぞ?』
『クオンはブレないニャー 』
『あははははは♪』
ブックマークして下さっていた方、長らくお待たせしてすみませんでした。
掲載してから6年も掛かってしまいましたが、最後まで読んで頂いた方感謝致します。
これで「サークル」は完結とさせて頂きます。
次は3年程前から書き始めたローファンタジーを掲載する予定ですので、読んで頂けたら嬉しいです。